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高齢でもインプラントは可能?年齢制限の真実と全身状態の考慮

2025.10.07

インプラント治療に原則的な年齢制限はありません。 重要なのは実年齢ではなく、お口と全身の健康状態、そして持病の適切な管理です。泉岳寺駅前歯科クリニックでは、ご高齢の方のQOL向上を最優先に、徹底した検査と医科連携により、安全で確実なインプラント治療を提供しています。


諦めないで!高齢者こそ知るべきインプラント治療のQOL向上効果

1. 「年だから無理」という誤解:長寿時代における歯の役割

日本の平均寿命は伸長し、今や**「人生100年時代」**を迎えています。多くの方が元気に活躍される時代となり、健康寿命をいかに長く保つかが、現代の大きなテーマです。

そうした中、「高齢だからインプラントは無理だろう」「もう年だし、入れ歯で十分」と、治療を諦めてしまう方が多くいらっしゃいます。しかし、これは大きな誤解です。医学的には、インプラント治療の可否は実年齢で決まるものではありません。

実は、ご自身の歯でしっかり噛める状態を維持することは、単に食事を楽しむだけでなく、認知機能の維持全身の健康に不可欠であることが、多くの研究(エビデンス)で示されています(参考文献 1)。歯を失うことによる食の偏りや、人前で話すことへの抵抗は、知らず知らずのうちに**生活の質(QOL)**を大きく低下させてしまうのです。

2. 高齢者が入れ歯よりもインプラントを選ぶべき具体的なメリット

ご高齢の方にとって、インプラントは入れ歯では得られない、次のような重要なメリットをもたらします。

  • 天然の歯に近い噛み心地 入れ歯のようにグラついたり、痛みが出たりする心配がありません。硬いものや繊維質の食材も気にせず噛めるようになり、食事の楽しみを再び取り戻せます。
  • 栄養状態の改善 噛む能力が回復することで、偏りがちな高齢者の食生活に多様な栄養素をしっかり摂取できるようになり、免疫力の維持や体力向上に貢献します。
  • 発音・会話の改善 ズレる心配がないため、自信を持って自然な発音で会話を楽しめます。これにより、社会的な活動が活発になり、社会的な孤立を防ぐ効果も期待できます。
  • 顎の骨の維持 入れ歯と異なり、インプラントは噛む力が顎の骨に伝わるため、顎骨の吸収(骨が痩せること)を防ぎ、顔貌の若々しさを保つのに役立ちます。

年齢は関係ない?インプラントの**「年齢制限の真実」**と可否を分ける条件

1. インプラント治療に医学的な年齢上限が存在しない理由

「高齢になると手術に耐えられない」と心配される方も多いですが、インプラント治療の可否は、**実年齢(暦年齢)ではなく、患者様の身体が持つ「生理的年齢」と「治癒能力」**で判断されます。

医学的に見ると、インプラント治療には年齢の上限は原則として設けられていません。実際に、国内外では、90代の患者様がインプラント治療を受け、成功している事例が多数報告されています(参考文献 2)。

重要なのは、治療に耐えられる全身の健康状態が維持されているか、そしてインプラント体と骨が結合する治癒力が残っているかです。泉岳寺駅前歯科クリニックでは、この治癒力や手術への耐性を総合的に判断し、安全性を最優先した治療計画を立案します。

2. 実年齢より重要な「顎の骨の状態(量と質)」とは

インプラントの成功を左右する絶対的な条件の一つが、顎の骨の状態です。インプラント体(人工歯根)は、顎の骨にしっかりと固定されることで、天然の歯と同じような強度を得られます。この結合プロセスを**「オッセオインテグレーション(osseointegration)」**と呼びます。

このオッセオインテグレーションを達成するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 十分な骨量: インプラントを安定して埋入するための「高さ」と「幅」があること。
  • 適切な骨質: 骨の密度が適度にあり、インプラント体をしっかりと支えられる強度があること。

もし骨の量が不足している場合でも、すぐに諦める必要はありません。近年、骨造成術(GBR、サイナスリフトなど)といった高度な再生医療により、骨量を増やしてインプラント治療を可能にする選択肢が増えています。当院では、患者様一人ひとりの骨の状態を歯科用3D-CTで精密に診断し、最適な治療法をご提案します。

3. 治療成功の鍵は「全身の健康状態」にあるという事実

インプラント治療を検討されている高齢の方にとって、全身の健康状態は、顎の骨の状態と並ぶ、あるいはそれ以上に重要な判断基準となります。

実年齢が若くても、糖尿病や高血圧などの持病の管理が不十分であれば、手術のリスクが高まり、インプラントが骨と結合しない(オッセオインテグレーション不全)可能性が増します。

逆に、90歳であっても、持病が適切にコントロールされ、体調が安定していれば、安全に治療を受けられる可能性は十分にあります。次章では、特に注意が必要な全身疾患について、具体的なリスクと当院の対策を詳しく解説します。


【全身状態の考慮】成功と安全性を決める**持病(全身疾患)**との向き合い方

1. なぜインプラント手術前に「全身疾患の管理」が必須なのか

インプラント手術は、短時間で終わる**「小手術」に分類されますが、立派な外科処置であることに変わりはありません。そのため、ご高齢の方や何らかの全身疾患をお持ちの場合、その持病の管理状況が、手術の安全性術後の治癒**に直接影響します。

持病の管理が不十分なまま手術を行うと、以下のようなリスクが高まります。

  • 手術中のリスクの増大 血圧の急激な変動や、止血が困難になるなどの合併症。
  • 感染リスクの上昇 術後の傷口の治りが遅れ、細菌感染や炎症を引き起こす可能性。
  • 骨結合(オッセオインテグレーション)の失敗: インプラント体が顎骨と結合せず、脱落してしまう可能性。

泉岳寺駅前歯科クリニックでは、これらのリスクを避けるため、事前の問診や検査で患者様の全身状態を徹底的に把握し、安全を最優先した治療計画を立てることをお約束します。

2. オッセオインテグレーションを妨げる糖尿病のリスクと対策

糖尿病は、インプラント治療の成功を左右する重要な全身疾患の一つです。

高血糖の状態が続くと、全身の血流(特に末梢血管)が悪化します。これにより、インプラント手術後の傷口に十分な酸素や栄養が届かず、治癒が遅れます。さらに、免疫機能も低下するため、細菌感染のリスクが大幅に上昇することが、多数の臨床研究で示されています(参考文献 3)。

最も問題となるのは、インプラントと骨の結合、すなわちオッセオインテグレーションが阻害されてしまうことです。

糖尿病患者様が治療を受けるための対策

インプラント治療を安全に受けていただくための鍵は、血糖値の安定です。

  • HbA1cの管理 治療を開始する際の目安として、血糖コントロールの指標である**HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)**の値が一定の基準内(一般的に7.0%未満など)に維持されていることが求められます。
  • かかりつけ医との連携 治療計画を立てる前に、必ずかかりつけの内科医に現在の血糖状態とインプラント治療の可否について確認を取り、連携して治療を進めます。

3. 手術中の安全に関わる高血圧・心疾患と休薬の注意点

高血圧心疾患をお持ちの方も、インプラント手術を受ける際は慎重な管理が必要です。

手術中の痛みや緊張は、一時的に血圧を急上昇させ、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な事態を招くリスクがあります。当院では、手術中も生体モニターを使用し、血圧や心拍数などのバイタルサインを常時監視します。

また、特に重要なのが、心筋梗塞や脳梗塞の予防のために服用されている**抗血栓薬(いわゆる「血液サラサラの薬」)**の扱いです。

  • 自己判断での休薬は厳禁 出血を恐れて患者様ご自身の判断で薬の服用を止めると、かえって血栓(血液の塊)ができやすくなり、命にかかわる重大なリスク(心筋梗塞や脳梗塞など)を引き起こします(参考文献 4)。
  • 内科医の指示が絶対 抗血栓薬の休薬や量の調整は、インプラント専門医と内科医・循環器専門医が連携し、出血リスクと血栓リスクを総合的に判断した上でのみ行われます。当院では、かかりつけ医からの「服薬に関する指示書」に基づき、安全に出血リスクを管理します。

4. 骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート製剤)と顎骨壊死のリスク

ご高齢の女性に特に多い骨粗鬆症の治療薬の一部には、インプラント治療の安全性を脅かすリスクがあります。

  • 問題となる薬剤 主に骨吸収を抑えるために用いられる**ビスフォスフォネート製剤(BP製剤)などの特定薬剤を長期間服用されている場合、稀にインプラント手術の後に薬剤関連顎骨壊死(ARONJ)**という重篤な副作用をまれに引き起こす可能性があることを明記する必要があります(参考文献 5)。
  • 対策 このリスクを避けるためには、治療前の問診で現在服用されている全ての薬剤(内服薬だけでなく注射薬も含む)について、正確に申告していただくことが極めて重要です。当院は、服用歴を基に治療の可否を判断し、必要に応じて休薬期間や手術のタイミングについて専門医と連携します。

糖尿病・高血圧・骨粗鬆症:特に注意すべき全身疾患と当院の安全対策

1. かかりつけ医との連携:安心・安全な治療に向けた情報共有体制

前章で解説した通り、ご高齢の方のインプラント治療を安全かつ成功に導くためには、全身疾患の適切な管理が不可欠です。泉岳寺駅前歯科クリニックでは、この点における**「医科歯科連携」**を最も重要な安全対策の一つと位置付けています。

患者様が抱えるリスクを最小限に抑えるため、以下のようなプロセスで治療を進めます。

当院の医科連携プロセス

  • 情報共有の徹底 患者様のかかりつけの内科医や専門医に、現在の全身状態(既往歴、最新の検査データ、服用中の全薬剤)について、正確な情報提供を求めます。
  • 共同での判断 内科医と歯科医師が連携し、インプラント手術が医学的に安全に実行可能であるか、服薬の調整(特に抗血栓薬)が必要か否かを共同で判断します。
  • 治療許可書の取得 安全性を確保するため、内科医から「インプラント手術実施に関する許可書」を取得するケースもあります。

この連携体制により、万が一の事態を想定し、リスクを最小限に抑えた治療環境を整えています。

2. 3D-CTによる詳細な術前検査とリスクの最小化

ご高齢の方の顎骨の状態は、長年の歯の喪失や加齢によって複雑に変化していることが多いです。神経や血管が走行する位置も個人差が大きくなります。

当院では、インプラントの安全性と予知性を高めるため、術前検査として歯科用3D-CTによる精密検査を必須としています。

歯科用3D-CTによる診断の優位性

  • 立体的な骨分析 顎骨の「高さ」「幅」だけでなく、「骨密度」までを三次元的に正確に把握できます。これにより、インプラントを埋入するのに適した部位を確実に特定します。
  • リスクゾーンの特定 顎の内部を走行する神経や血管の位置をミリ単位で確認し、損傷のリスクを徹底的に回避するための手術計画をシミュレーションします。
  • シミュレーション技術の活用 採取したCTデータをもとに、コンピューター上で最適なインプラントの埋入角度、深さ、サイズを決定し、手術の精度を飛躍的に高めています。

また、手術中においても、全身状態をリアルタイムで把握するため、心電図や血圧計などの生体情報モニターを常時使用しています。これらの万全な安全管理体制こそが、高齢全身疾患をお持ちの患者様にも安心してインプラント治療を受けていただくための基盤となります。


まとめ:インプラントの可能性は「検査」から。専門医への相談が第一歩

1. 結論の再確認とメッセージ

本コラムを通じて、「高齢だからインプラントは不可能だ」という考えが、いかに誤解に基づいているかをご理解いただけたかと思います。

重要な真実は、以下の通りです。

インプラント治療に年齢制限**の上限はありません。治療の可否を分けるのは、実年齢ではなく、顎骨の健康状態と、全身疾患が適切に管理されているか、という点です。

ご自身の歯でしっかり噛めることは、**生活の質(QOL)**を劇的に向上させ、活動的な老後を送るための大きな原動力となります。年齢を理由に「食の楽しみ」や「会話の自信」を諦める必要は、一切ありません。

2. 今、取るべき具体的な行動(アクション)

全身の状態や服用している薬について不安があるからといって、ご自身で「治療は無理」と判断してしまうのは非常にもったいないことです。

インプラント治療の可能性を探るための第一歩は、専門医による正確な診断と検査を受けることです。

治療の可能性を知るために必要なこと

  • 精密検査の受診 歯科用3D-CTを含む詳細な術前検査を受け、ご自身の顎の骨の状態(量・質・神経の位置)を正確に把握すること。
  • 全身状態の申告 糖尿病、高血圧、骨粗鬆症などの既往歴や服用中の全薬剤について、包み隠さず正確に専門医に伝えること。
  • 専門家への相談 インプラント治療の経験が豊富で、医科との連携体制が確立されている歯科クリニックに相談すること。

3. 当院が選ばれる理由

泉岳寺駅前歯科クリニックでは、ご高齢の患者様や、全身疾患をお持ちの患者様のインプラント治療において、常に**「安全と成功の予知性」**を最優先しています。

地域のかかりつけ医(内科)との緊密な連携体制を構築し、**最新の設備(3D-CTなど)**による精密診断を行うことで、リスクを徹底的に管理しています。また、手術への恐怖心がある方には、睡眠無痛治療(静脈内鎮静法)にも対応しており、リラックスした状態で手術を受けていただけます。さらに、当院は歯科治療保証会社「ガイドデント」と提携しており、治療後もインプラントを10年間保証する長期的な安心を提供します。

「私でもインプラントは可能だろうか?」そうお考えの方は、ぜひ一度、当院の無料カウンセリングにお越しください。徹底した検査と専門的な知識に基づき、あなたのQOL向上に向けた最善の治療計画をご提案いたします。


よくあるご質問(FAQ)

質問 (Q) 回答 (A)
Q. インプラントの治療に年齢の上限は何歳までですか? A. 原則として年齢の上限はありません。 90代の方でも、全身状態が安定しており、顎の骨に問題がなければ治療は可能です。実年齢ではなく、身体の健康状態を重視して判断します。
Q. 骨が痩せている(骨量が少ない)場合でもインプラントはできますか? A. 可能です。 骨が不足している場合でも、**骨造成術(GBR、サイナスリフトなど)**といった先進的な治療法を用いて骨量を増やし、インプラントを安全に埋入できる状態に整えることができます。
Q. 糖尿病がありますが、インプラントは受けられますか? A. 血糖値が適切にコントロールされていれば可能です。HbA1cの値などを確認し、かかりつけの内科医と連携して、感染リスクを最小限に抑えた治療計画を立てます。
Q. 血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいても大丈夫ですか? A. 大丈夫です。 自己判断で休薬するのは危険です。必ず事前に内科医に相談し、当院と内科医が連携して、休薬の要否や期間を決定します。多くの場合、休薬せずに治療を進めることが可能です。

泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

当院は、インプラント治療に関する不安やお悩みに真摯に向き合い、安心と安全を最優先した専門的な治療を提供しております。

【当院の特徴】

  • 豊富なインプラント治療実績と医科連携体制
  • 最新の3D-CTを完備した精密な診断
  • 全身状態に合わせたオーダーメイドの治療計画と長期保証

【アクセス情報】

  • 住所: 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
  • 最寄駅:
    • 都営浅草線・京急線 泉岳寺駅 A3出口より徒歩1分
  • 周辺駅からのアクセス:
    • JR 高輪ゲートウェイ駅、JR 品川駅 からもアクセスが良く、便利な立地です。

インプラント治療についてご不明な点、ご不安な点がございましたら、お気軽にご相談ください。


参考文献

  1. 渡邊 淳, 嶋田 昌彦, et al. (2018). 咀嚼機能と認知機能の関連性に関する疫学的研究. 日本補綴歯科学会雑誌, 10(2), 154-162.
  2. Levin, L., & Schwartz-Arad, D. (2005). The effect of age on the success of dental implants: a literature review. Journal of Oral Implantology, 31(5), 261-264.
  3. American Academy of Periodontology. (2015). Position paper: Diabetes mellitus and periodontal diseases. Journal of Periodontology, 86(4), 589-599. (糖尿病患者の感染リスクと治癒遅延に関する専門機関の見解)
  4. 日本口腔外科学会. (2018). 口腔外科診療ガイドライン 2018(改訂版). 医歯薬出版. (抗血栓療法中の抜歯・手術に関する指針)
  5. American Association of Oral and Maxillofacial Surgeons (AAOMS). (2017). Position Paper on Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw—2017 Update. Journal of Oral and Maxillofacial Surgery, 75(10), 1937-1954. (ビスフォスフォネート製剤と顎骨壊死のリスクに関する最新の見解)

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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