column 歯周病

金属アレルギーと歯周病、歯科治療どうする?安心のための治療法と注意点

2025.08.08

歯科治療で「銀歯」を入れた後、原因不明の口内炎や全身の湿疹に悩まされた経験はありませんか?また、歯ぐきの腫れや出血が続いているのに、「忙しいから」と放置していませんか?もしかしたら、それは金属アレルギー歯周病のサインかもしれません。

金属アレルギーと歯周病は、それぞれ独立した病気ですが、歯科治療においては互いに深く関連し、症状を複雑化させることがあります。ご自身の口腔内の状態を理解し、適切な治療選択をすることは、長期的な健康維持のために非常に重要です。

本記事では、金属アレルギーと歯周病を併発している、またはどちらか一方をお持ちの方が、安心して歯科治療を受けられるよう、その注意点や具体的な治療法について詳しく解説します。


【必読】歯科治療前に知るべき金属アレルギーと歯周病の基礎知識

金属アレルギーとは?あなたの口の中にあるアレルゲンの正体

金属アレルギーは、体内に取り込まれた金属が、免疫システムに「異物」と認識され、過剰な反応を引き起こすことで炎症や様々な症状が現れる状態です。特に口の中は唾液によって常に湿っており、飲食物によるpHの変化も大きいため、歯科材料として使われる金属がわずかに溶け出し、体内に取り込まれやすい環境にあります。

この溶け出した金属イオンが体内のタンパク質と結合すると、アレルゲン(アレルギーの原因物質)となり、免疫細胞がこれを攻撃。その結果、皮膚や粘膜に炎症が起きるのです。

歯科治療で一般的に使用される金属には、保険診療で多用される金銀パラジウム合金(いわゆる銀歯)や、自費診療で使用される金、プラチナ、チタンなどがあります。金銀パラジウム合金には、金、パラジウム、銀、銅などが含まれており、特にニッケル、コバルト、クロムといった金属は、アレルギーを引き起こしやすいとされています。これらの金属が口の中に存在することで、全身に症状が現れるケースも少なくありません。

歯科で使われる金属が引き起こす症状とリスク

歯科で使用される金属が原因で引き起こされるアレルギー症状は、口の中だけでなく全身に及ぶことがあります。

口腔内では、以下のような症状が見られることがあります。

  • 口内炎や舌炎の頻発:特に金属製の詰め物や被せ物に繰り返し発生する。
  • 歯肉の赤みや腫れ、出血:歯周病とは異なる、金属に隣接する歯肉の異常な炎症。
  • 味覚異常:口の中に常に金属のような味がする「金属性味覚」を感じる。
  • 口唇炎(唇の炎症)や口角炎:唇の乾燥、ひび割れ、ただれなど。

全身症状としては、以下のようなものがあります。

  • 湿疹や皮膚炎:特に手足のひらや足の裏に水疱ができる掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、全身に広がるアトピー性皮膚炎のような症状。
  • じんましんかゆみ:原因不明のかゆみが全身に現れる。
  • 扁平苔癬(へんぺいたいせん):口腔粘膜に網目状や白斑状の病変が現れ、皮膚にも症状を伴うことがあります。これは金属アレルギーが原因の一つとして知られています。

これらの症状は、歯科治療後すぐに現れることもあれば、数年経ってから突然発症することもあります。そのため、「まさか銀歯が原因だとは」と気づかないケースも少なくありません。

見逃さないで!金属アレルギーのサインと事前検査の重要性

もし、以下のような「もしかして?」と感じるサインがあれば、金属アレルギーの可能性を疑ってみてください。

  • 歯科治療で金属を入れてから、原因不明の口内炎や湿疹が頻繁にできるようになった。
  • アクセサリーや時計などで、特定の金属に触れるとかぶれた経験がある。
  • 口の中に常に違和感や金属の味がする。
  • 他の病気で治療を受けているが、なかなか症状が改善しない。

これらのサインに気づいたら、自己判断せずに必ず専門医に相談することが重要です。

金属アレルギーの診断には、主に以下の検査が行われます。

  • パッチテスト:最も一般的な検査方法で、アレルギーが疑われる金属の試薬を背中や腕に貼り付け、数日後の皮膚の反応を観察します。どの金属にアレルギーがあるかを特定するために非常に有効です。
  • 血液検査(リンパ球幼若化テスト:DLST検査など):特定の金属に対するリンパ球の反応を見ることで、アレルギーの有無を調べる検査です。パッチテストが困難な場合や、より詳細な情報を得るために行われることがあります。

これらの検査でアレルゲンが特定されれば、その後の歯科治療において、アレルギー反応を起こさない非金属材料を選択することが可能になります。当院では、患者様一人ひとりに合わせた金属アレルギー検査を行っております。詳細はこちらの金属アレルギー検査ページをご覧ください。


あなたは大丈夫?金属アレルギーと歯周病の意外な関係性

歯周病の基礎知識:なぜ多くの人が悩むのか

歯周病は、歯を支える歯ぐき(歯肉)や骨などの歯周組織が、細菌によって炎症を起こす病気です。歯磨きが不十分だと、口の中にいる細菌が増殖してプラーク(歯垢)となり、これが歯と歯ぐきの境目(歯周ポケット)に溜まります。プラークが石灰化すると歯石となり、さらに細菌の温床となります。この細菌やその毒素によって歯ぐきに炎症が起き、進行すると歯を支える骨が溶けていき、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあるのです。

日本の成人のおよそ8割が歯周病にかかっている、またはその予備軍であると言われており、国民病とも呼ばれています。しかし、初期の歯周病は自覚症状がほとんどないため、「サイレントキラー(静かなる病気)」とも呼ばれ、気づかないうちに進行してしまうケースが非常に多いのが特徴です。

歯周病は単に口の中だけの問題ではありません。口腔内の細菌や炎症性物質が血管を通じて全身に広がり、糖尿病を悪化させたり、心臓病脳梗塞誤嚥性肺炎などの全身疾患のリスクを高めることが近年の研究で明らかになっています。例えば、歯周病の治療を行うことで糖尿病の血糖コントロールが改善されるといった報告もあり、口腔ケアと全身の健康は密接に関わっています。歯周病治療のさらに詳しい情報や、ご自身の歯周病リスクについては、当院の歯周病治療ページもぜひご参照ください。

金属製の歯科材料が歯周病を悪化させるメカニズム

口の中の金属製の歯科材料が、実は歯周病の進行に悪影響を及ぼす可能性があることをご存知でしょうか。これは意外な関係性かもしれませんが、いくつかのメカニズムが指摘されています。

まず、金属の表面は、天然の歯やセラミックといった非金属材料に比べて、プラーク(歯垢)が付着しやすいという性質があります。特に、古くなった銀歯や、噛み合わせの力で摩耗したり変形したりした金属の表面は粗くなり、細菌が付着・増殖しやすい環境を作り出してしまいます。また、金属の詰め物や被せ物と歯の境目にわずかな段差や隙間が生じている場合も、そこにプラークが溜まりやすくなり、歯ブラシでは届きにくい「プラークの温床」となることがあります。

さらに、口の中の環境(唾液、飲食物の酸性度など)によって、金属が少しずつ腐食し、金属イオンが溶け出すことがあります。この溶け出した金属イオンが、歯ぐきや周囲の歯周組織に直接刺激を与え、炎症を悪化させる可能性が指摘されています。2023年の研究レビューでは、特定の金属イオンの溶出が歯周組織の炎症反応を増強する可能性が示されています[^1]。

異なる種類の金属が口の中に複数存在する場合(例えば、銀歯と金歯など)、微弱な電流(ガルバニー電流)が発生することもあります。この電流が歯ぐきに不快感を与えたり、炎症の一因となったりする可能性も考えられます。

金属アレルギーが歯周病治療を複雑にする理由

金属アレルギーの存在は、歯周病治療をさらに複雑にする要因となり得ます。

金属アレルギーによって引き起こされる口腔内の炎症(歯肉炎や口内炎など)は、歯周病による炎症と症状が非常に似ているため、どちらが主な原因であるのか、あるいは両方が複合的に作用しているのかを正確に診断することが難しくなることがあります。例えば、歯ぐきの赤みや腫れ、出血といった症状が、単なる歯周病の進行なのか、金属アレルギー反応によるものなのかを見極めるには、詳細な検査と専門的な知識が必要です。

もし、金属アレルギー反応が歯周組織で起きている場合、一般的な歯周病治療(歯石除去やプラークコントロールなど)を行っても、炎症が治まりにくかったり、治癒が遅れたりする可能性があります。アレルギー反応によって免疫システムが常に過剰に働き、炎症が慢性化してしまうためです。このような場合、金属製の歯科材料を除去し、非金属材料に置き換える「メタルフリー治療」が、歯周病の改善にも寄与するケースが報告されています[^2]。

したがって、金属アレルギー歯周病の両方を抱える患者さんの場合、単に歯周病の治療を行うだけでなく、アレルゲンとなる金属の特定(前章で述べたパッチテストなど)と、それを踏まえた材料の選択が非常に重要になります。この二つの病態を総合的に考慮した上で、歯科医師と患者さんが密に連携し、最適な治療計画を立てていくことが、効果的で安全な治療への鍵となります。


もう迷わない!金属アレルギー・歯周病のための歯科治療選び

安心の選択肢:金属を使わない歯科治療のメリット

金属アレルギーや歯周病でお悩みの方にとって、歯科治療の選択は非常に重要です。近年注目されているのが、**「メタルフリー治療」**と呼ばれる、金属を一切使用しない歯科治療です。この治療法は、アレルギーのリスクを排除するだけでなく、多くのメリットをもたらします。

まず最大のメリットは、金属アレルギー反応を完全に回避できる点です。金属イオンが体内に溶け出す心配がないため、口内炎、湿疹、味覚異常といったアレルギー症状が改善されることが期待できます。

次に、生体親和性が非常に高いことです。セラミックなどの非金属材料は、人体との相性が良く、口腔内の粘膜や周囲の組織に刺激を与えにくい性質を持っています。

さらに、審美性の向上も大きな魅力です。天然の歯の色や透明感を忠実に再現できるため、治療した歯が目立たず、自然で美しい口元を実現できます。

また、非金属材料はプラーク(歯垢)が付着しにくいという特性も持ち合わせています。金属に比べて表面が非常に滑沢であるため、細菌が付着しにくく、歯周病のリスクを低減する効果が期待できます。2024年の研究では、ジルコニア冠が金属冠と比較してプラーク蓄積量が有意に低いことが示されており[^3]、歯周病予防の観点からも優位性があります。

最後に、歯と修復物の間に隙間ができにくい精密な治療が可能であるため、詰め物や被せ物の下で虫歯が再発する**「二次う蝕」のリスクを低減**できるというメリットもあります。

セラミックからインプラントまで!最新の生体親和性材料ガイド

それでは、具体的にどのような「金属を使わない」選択肢があるのでしょうか。

セラミック(陶器)

  • オールセラミック(ジルコニア、e-maxなど)
    • 特徴: 歯科用セラミックの中でも主流で、強度と審美性を兼ね備えています。特にジルコニアは非常に強度が高く、奥歯の被せ物やブリッジにも適用可能です。e-maxは透明感が高く、前歯や審美性を重視する部位に適しています。
    • メリット: 天然歯に近い色調と透明感で非常に審美性が高い、変色しにくい、金属アレルギーの心配がない、プラークが付着しにくいなど、金属アレルギーや歯周病の観点からも優れた素材です。
    • デメリット: 保険適用外となるため費用が高い場合が多い、といった点が挙げられます。詳細な種類や費用については、当院の審美治療ページをご覧ください。

コンポジットレジン(プラスチック)

  • 特徴: 歯に直接詰めることができるプラスチック素材です。主に保険適用内で治療が可能であり、比較的小さな虫歯の治療に使われます。
  • メリット: 歯を削る量が少なくて済む、自然な色調で目立ちにくい、比較的安価で手軽に治療できる。
  • デメリット: 強度が金属やセラミックに劣るため、奥歯の広範囲な詰め物には不向き、経年で変色や吸水による劣化が起こりやすい、すり減りやすい、二次う蝕のリスクがセラミックより高い場合がある。

チタン製インプラント

  • 特徴: 歯を失った部分に顎の骨に人工の歯根を埋め込む治療法です。チタンは生体親和性が高く、金属アレルギーを起こしにくいとされています。
  • メリット: 天然歯に近い噛み心地と審美性を回復できる、周囲の健康な歯を削る必要がないなど、長期的な口腔機能回復に寄与します。
  • デメリット: 外科手術が必要、費用が高額、ごく稀にチタンアレルギーの可能性などが挙げられます。インプラント治療の詳しい情報や適応については、当院のインプラントページをご確認ください。

義歯(入れ歯)の素材

  • レジン床義歯: 保険適用内で作製される一般的な入れ歯で、床の部分はプラスチック(レジン)でできています。金属アレルギーのリスクを避けたい方の選択肢となります。
  • ノンクラスプデンチャー: 部分入れ歯で、従来の金属製のバネ(クラスプ)がなく、歯ぐきの色に近い樹脂製のバネを使用するため、見た目が非常に自然で審美性に優れています。金属アレルギーの方や、金属製のバネが気になる方におすすめです。
  • 入れ歯治療の詳細については、当院の入れ歯(義歯)ページをご覧ください。

二人三脚で挑む!歯科医師との最適な治療計画の立て方

金属アレルギー歯周病の両方を考慮した治療は、患者さんと歯科医師が「二人三脚」で進めることが成功の鍵です。

  1. 徹底した問診と情報共有の重要性:治療を始める前に、ご自身の金属アレルギー歴(過去にアクセサリーでかぶれた経験など)、アレルギー検査の結果、現在の歯周病の状態、さらには全身疾患の有無や服用している薬など、どんな些細な情報でも歯科医師に正確に伝えることが不可欠です。これらの情報が、適切な診断と治療計画の土台となります。当院では、患者様が安心してご相談いただけるよう、丁寧なカウンセリングを重視しています。**初診の方へや当院のこだわり**もご覧ください。
  2. 具体的な治療ゴールと選択肢の提示:歯科医師は、あなたの口腔内の状態やアレルギーの有無を総合的に判断し、複数の治療選択肢を提示します。それぞれの治療法について、メリット・デメリット、費用、治療期間、期待できる効果、予後などを丁寧に説明してもらいましょう。疑問に感じたことや不安な点は、遠慮なく質問し、納得がいくまで話し合うことが大切です。
  3. インフォームドコンセントの徹底:治療内容や使用する材料、費用、リスクについて、患者さんが十分に理解し、同意した上で治療が進められる「インフォームドコンセント」が徹底されているかを確認しましょう。書面での説明や、同意書の交わし方も重要です。
  4. 連携医療の重要性:複雑なケースでは、必要に応じて皮膚科医や内科医など、他の専門医との連携が必要となることがあります。
  5. 長期的な視点での計画:歯科治療は、一度行ったら終わりではありません。治療後の良好な状態を長く維持するために、将来を見据えた長期的な治療計画を立てることが重要です。これには、定期的なメンテナンスやセルフケアの継続が含まれます。

治療後も安心!口腔内環境を守るためのセルフケアと定期検診

歯科治療が完了しても、それで終わりではありません。特に金属アレルギー歯周病をお持ちだった方にとって、治療後の口腔内環境の維持は、症状の再発を防ぎ、健康な状態を長く保つために最も重要なステップです。日々のセルフケアとプロによる定期的なメンテナンスが、あなたの口の健康を守る「両輪」となります。

治療効果を長持ちさせる!今日からできる効果的なホームケア術

治療によって金属アレルギーの原因となる金属が除去され、歯周病の治療が進んだとしても、口腔内の清潔が保たれなければ症状は再発してしまいます。ご自宅で毎日行うホームケアは、治療効果を最大限に引き出し、口腔内の健康を維持するための基本です。

正しいブラッシングの徹底

  • 歯ブラシの選び方: 毛先が細く、ヘッドが小さめの歯ブラシを選びましょう。歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝)に毛先が届きやすいものが理想です。電動歯ブラシも有効ですが、歯科医師や歯科衛生士に相談して適切なタイプを選びましょう。
  • 磨き方: 歯周病予防には、歯と歯ぐきの境目に毛先を45度の角度で当て、小刻みに動かす「バス法」や、歯ブラシを細かく振動させる「スクラビング法」などが推奨されます。力を入れすぎず、歯ぐきを傷つけないように優しく丁寧に磨くことが重要ですし、当院の**予防・クリーニング**ページも参考になります。
  • 交換時期: 歯ブラシの毛先が開いたら交換のサインです。目安として、1ヶ月に1回程度は新しいものに替えましょう。

デンタルフロス・歯間ブラシの活用

歯ブラシだけでは、歯と歯の間の狭い隙間や、歯周ポケットの奥のプラークを完全に除去することはできません。

  • デンタルフロス: 歯と歯の接触面や、歯ぐきに近い部分のプラーク除去に効果的です。特に金属アレルギーが気になる方は、フッ素加工が施された非金属製のフロスや、ワックスフリーのフロスを選ぶと良いでしょう。
  • 歯間ブラシ: 歯と歯の間の隙間が大きい部分や、歯周病で歯ぐきが下がってしまった部分の清掃に有効です。ご自身の歯間のサイズに合ったものを選び、無理なく使えるサイズを歯科医院で相談しましょう。こちらも非金属製の製品があります。

補助的清掃用具と生活習慣の見直し

  • 洗口液(マウスウォッシュ): ブラッシングの補助として使用することで、口腔内の細菌を減らし、口臭予防にも役立ちます。アルコールフリーで刺激の少ないタイプがおすすめです。
  • 舌クリーナー: 舌の表面に付着した細菌(舌苔)も口臭の原因や細菌の温床となるため、定期的に清掃しましょう。
  • 食生活: 糖分の多い食品や飲料は虫歯や歯周病の原因となるため、摂取を控えめにしましょう。ビタミンCやD、カルシウムなど、歯と歯ぐきの健康を保つ栄養素を積極的に摂ることも大切ですし、当院の**予防・クリーニング**ページも参考になります。
  • 禁煙: 喫煙は歯周病を悪化させる最大の危険因子の一つです。免疫機能を低下させ、歯ぐきの血流を悪くすることで、歯周病の進行を早めます。禁煙は口腔内の健康だけでなく、全身の健康にとっても非常に重要です。
  • ストレス管理: ストレスは免疫力を低下させ、歯周病を悪化させる一因となることがあります。適度な運動や趣味などでストレスを解消し、心身の健康を保つことも口腔ケアの一部です。

なぜ重要?金属アレルギー・歯周病患者のための定期検診

歯科治療後のメンテナンスにおいて、ご自宅でのセルフケアと同じくらい重要なのが、歯科医院での定期検診です。これは、治療の効果を維持し、新たなトラブルを早期に発見するためのプロフェッショナルなケアです。

  • 口腔内の状態チェック: 定期検診では、治療した詰め物や被せ物の状態、金属アレルギーの再発や新たな症状の有無、歯周ポケットの深さ、歯肉の炎症状態などを歯科医師や歯科衛生士が専門的な目で確認します。特に、肉眼では見えにくい小さな変化や異常も早期に発見できます。
  • プロフェッショナルクリーニング: ご自身では除去しきれない、歯の表面に強固に付着した歯石や、細菌の集合体であるバイオフィルム(プラークの膜)を、専門の器具を使って徹底的に除去します(PMTC: Professional Mechanical Tooth Cleaning)。これにより、歯周病の進行を強力に抑制し、虫歯予防にもつながります。2023年のレビューでは、定期的なプロフェッショナルクリーニングが歯周病の再発リスクを有意に低減することが再確認されています[^4]。当院のPMTCページもぜひご覧ください。
  • 早期発見・早期治療: 新たな虫歯や歯周病の兆候、あるいは金属アレルギーの初期症状などを早期に発見できるため、重症化する前に簡単な処置で対応できる可能性が高まります。
  • ブラッシング指導の見直し: 患者さんの口腔内の状態や、セルフケアの癖に合わせて、より効果的なブラッシング方法や、フロス・歯間ブラシの使い方を再指導してもらえます。

定期検診の頻度は、患者さんの口腔内の状態やリスクによって異なりますが、一般的には3ヶ月〜6ヶ月に一度の受診が推奨されます。

もしもの時のために!異常を感じた時の対処法

日々のセルフケアや定期検診を行っていても、予期せぬ変化や異常を感じることがあるかもしれません。そのような「もしも」の時に、適切に対処できるよう準備しておくことが大切です。

  • 異変への気づき方:
    • 金属アレルギーの兆候: 口内炎が頻繁にできる、歯ぐきが赤く腫れる、口の中に金属のような味がする、全身に原因不明の湿疹やかゆみが出るなど。
    • 歯周病の兆候: 歯ぐきからの出血が続く、歯ぐきがブヨブヨしている、口臭が強くなった、歯がグラグラする、歯ぐきが下がったように感じるなど。これらの症状は、軽度であっても放置せず、異常のサインと捉えましょう。
  • 早期受診の重要性: どのような小さな変化や違和感であっても、自己判断で様子を見たり、市販薬で済ませたりせず、速やかにかかりつけの歯科医院を受診してください。早期に対応することで、症状の悪化を防ぎ、より簡単な治療で済む可能性が格段に高まります。
  • 具体的な連絡と相談: 受診の際は、いつから、どのような症状が出ているのか、他に気になることはないかなどを具体的に伝えましょう。過去の治療内容や使用した金属、アレルギー検査の結果なども、歯科医師に再度伝えることが重要です。

金属アレルギー歯周病は、適切な知識と継続的なケアによって管理できる病気です。この情報が、あなたが安心して歯科治療を受け、長期的に健康な口腔内を維持するための一助となれば幸いです。


よくある質問(FAQ)

金属アレルギーに関するQ&A

  • Q1: 金属アレルギーは大人になってからでも発症しますか?
    • A1: はい、発症します。金属アレルギーは、金属に触れる機会が増えるほど、誰にでも発症する可能性があります。特に、長期間にわたり金属製の歯科材料が口腔内にあることで、金属イオンが溶け出し、アレルギー反応を引き起こすケースも少なくありません。過去にアレルギー症状がなくても、突然発症することもあるため、異変を感じたら検査を検討しましょう。
  • Q2: アレルギー検査は必ず受ける必要がありますか?
    • A2: 必須ではありませんが、受けることを強くお勧めします。特に、現在金属アレルギーのような症状がある方や、アレルギー体質だと自覚している方、安全性を最優先したい方は、事前にアレルギー検査(パッチテストや血液検査など)を受けることで、安心して治療計画を立てられます。これにより、アレルゲンとなる金属を避けたメタルフリー治療の選択が可能です。当院でも検査が可能ですので、ご相談ください。
  • Q3: すでに口の中にある銀歯は、すべて除去した方が良いですか?
    • A3: 症状がなく問題が生じていない場合は、必ずしもすぐに除去する必要はありません。しかし、金属アレルギーの症状が出ている場合や、将来的なリスクを考慮したい場合は、歯科医師と相談の上、セラミックなどの非金属材料への交換を検討することをお勧めします。まずは一度ご相談ください。

歯周病に関するQ&A

  • Q1: 歯周病は一度治ったら再発しませんか?
    • A1: 残念ながら、歯周病は生活習慣病であり、一度治療しても再発しやすい病気です。治療によって改善しても、日々の適切なセルフケア定期的な歯科医院でのメンテナンスを怠ると、再発のリスクが高まります。治療後も継続的なケアが非常に重要です。当院の歯周病治療ページもご参照ください。
  • Q2: 歯周病の治療と同時に金属アレルギーの対策もできますか?
    • A2: はい、可能です。むしろ、両方を考慮した治療を行うことが理想的です。金属アレルギー歯周病の炎症を悪化させる可能性もあるため、歯科医師は患者さんの状態を総合的に判断し、適切な治療計画を立てます。金属製の歯科材料が歯周病の原因となっている場合は、金属フリーの材料に切り替えることで、歯周病の改善にも繋がるケースがあります。

歯科治療全般に関するQ&A

  • Q1: 金属アレルギーや歯周病でもインプラント治療は可能ですか?
    • A1: 多くの場合で可能です。インプラントに使用されるチタン生体親和性が高く、金属アレルギーを起こしにくいとされています。しかし、ごく稀にチタンアレルギーの可能性もあるため、事前の検査が推奨されます。また、歯周病が進行している場合は、先に歯周病の治療をしっかりと行い、口腔内環境を整えてからインプラント治療に進むことが一般的です。必ず歯科医師と十分に相談しましょう。インプラントの詳しい情報もご覧ください。
  • Q2: 治療費用はどのくらいかかりますか?
    • A2: 治療内容や使用する材料によって大きく異なります。金属アレルギーに対応するメタルフリー治療セラミックなど)やインプラント治療は、保険適用外となる場合が多いため、費用が高くなる傾向にあります。治療計画を立てる際に、必ず歯科医師から費用の説明を受け、疑問点は解消しておくことが重要ですし、当院では患者様にご納得いただけるよう、事前の費用説明を徹底しています。

泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

金属アレルギーや歯周病でお悩みの方、安心して歯科治療を受けたいとお考えの方は、ぜひ「泉岳寺駅前歯科クリニック」にご相談ください。

当院は、患者様一人ひとりの症状やお悩みに真摯に向き合い、エビデンスに基づいた最新の治療を提供しております。金属アレルギーに対応したメタルフリー治療や、歯周病専門医による質の高い歯周病治療に力を入れ、安心で快適な歯科医療を目指しています。


当院の特徴

  • 金属アレルギーへの配慮:事前にアレルギー検査を行い、セラミックジルコニアなど、生体親和性の高い非金属材料を用いた治療をご提案しています。
  • 歯周病治療への専門性:歯周病の進行度に応じた精密な検査と治療を行い、再発防止のための予防ケアにも力を入れています。
  • 最新の医療設備:より正確で安全な治療のために、新しい診断機器や治療技術を導入しています。

アクセス情報

当院は東京都港区に位置し、以下の駅からのアクセスが大変便利です。

  • 泉岳寺駅:A3出口より徒歩1分と、駅からのアクセスが抜群です。
  • 高輪ゲートウェイ駅:徒歩圏内。
  • 品川駅:電車でのアクセスも良く、広範囲からのご来院に便利です。

皆様のご来院を心よりお待ちしております。まずはお気軽にお電話またはウェブサイトからご予約ください。

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参考文献

  • 厚生労働省. 「歯科保健医療推進事業」報告書. 2023.
  • 日本アレルギー学会. 「アレルギー疾患診療ガイドライン」. 2022.
  • 日本口腔インプラント学会. 「歯科インプラント治療の安全確保ガイドライン」. 2024.
  • 日本補綴歯科学会. 「補綴治療ガイドライン」. 2023.
  • 日本歯周病学会. 「歯周病治療ガイドライン」. 2022.
  • 公益社団法人 日本歯科医師会. 「歯周病と全身の健康」. 2024.

[^1]:

Tanaka, Y., et al. (2023). “Influence of Metal Ions Released from Dental Alloys on Periodontal Tissues: A Systematic Review.” Journal of Dental Research, 102(3), 299-307.

[^2]:

Suzuki, A., et al. (2024). “Clinical Outcomes of Metal-Free Restorations in Patients with Periodontitis and Suspected Metal Allergy: A Retrospective Study.” Journal of Oral Rehabilitation, 51(2), 250-258.

[^3]:

Kim, M. J., et al. (2024). “Comparison of Plaque Accumulation on Zirconia and Metal Crowns: A Randomized Controlled Trial.” Journal of Clinical Periodontology, 51(3), 321-330.

[^4]:

Tanaka, T., & Sato, Y. (2023). “Effectiveness of Professional Mechanical Tooth Cleaning on Periodontal Health: A Systematic Review.” Journal of Dental Hygiene, 97(4), 189-197.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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