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虫歯になりやすい・なりにくいを分けるのは体質?習慣?徹底解明と予防策

2025.07.21

「また虫歯ができちゃった…」「どうしてあの人は全然虫歯にならないんだろう?」

もしあなたがそんな疑問を感じているなら、この記事はきっと役立つでしょう。虫歯のなりやすさは、遺伝的な要素を含む体質と、日々の生活習慣が複雑に絡み合って決まります。決して「運」や「不運」だけで決まるわけではありません。

この章では、まず虫歯ができる基本的なメカニズムから確認し、あなたの虫歯リスクがどこにあるのかを理解する第一歩を踏み出します。

なぜ私だけ虫歯になるの?体質?習慣?その疑問を徹底解明

虫歯はなぜできる?基本メカニズムをおさらい

虫歯の主な原因は、口の中に潜む虫歯菌(主にミュータンス菌)です。この菌が、食べ物や飲み物に含まれる糖質をエサに酸を作り出し、その酸が歯を溶かすことで虫歯を引き起こします。この歯が溶ける現象を「脱灰(だっかい)」と呼びます。健康な口の中では、唾液が酸を中和し、溶かされた歯の表面を修復する「再石灰化(さいせっかいか)」という働きも行われています。しかし、脱灰と再石灰化のバランスが崩れ、脱灰が優位になると、やがて歯に小さな穴が開き、それが進行して虫歯となるのです。

虫歯ができるまでには、以下の4つの要素が揃う必要があると言われています。

  • 歯の質:歯が酸にどれだけ強いか
  • 虫歯菌:口の中に虫歯菌がどれだけいるか、活動性が高いか
  • 糖分:虫歯菌のエサとなる糖分の摂取頻度や量
  • 時間:口の中が酸性になっている時間

これら4つのバランスが崩れることで、虫歯リスクが高まります。初期の虫歯は痛みなどの自覚症状がないことが多く、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。

虫歯を放置すると、歯の内部にある象牙質、さらには神経へと進行し、激しい痛みや膿の原因となることもあります。最悪の場合、歯を失うことにもなりかねません。虫歯菌が血管を通じて全身に影響を及ぼす可能性も指摘されており、口腔内の健康は全身の健康にも直結しているのです。

あなたの虫歯リスクは?体質と習慣の相互作用を理解しよう

「歯磨きはしているのに、なぜかいつも虫歯ができる」

「甘いものをよく食べるのに、虫歯になったことがない人がいる」

このような疑問は、虫歯のなりやすさが体質生活習慣のどちらか一方だけで決まるものではないことを示しています。両者が複雑に絡み合い、互いに影響し合っているのです。

たとえば、生まれつき「唾液の量が少ない」という体質の人でも、適切な食習慣や丁寧な口腔ケアを心がければ、虫歯のリスクを大きく減らすことができます。反対に、元々「歯が強い」体質の人でも、ずさんな口腔ケアや不規則な食習慣を続けていれば、虫歯になってしまう可能性は十分にあります。

ご自身の虫歯リスクを正しく理解し、効果的な予防策を見つけるためには、まず「体質」と「習慣」それぞれがどのように虫歯に影響するのかを知ることが大切です。次の章からは、それぞれの要素をさらに深く掘り下げていきましょう。


虫歯になりやすいのは「生まれつき」?体質が持つ意外なメカニズム

「あの人は甘いものをよく食べるのに虫歯にならない」「私は歯磨きを頑張っているのに、すぐ虫歯ができる」と感じたことはありませんか?実は、虫歯のなりやすさには、生まれ持った体質が大きく関わっています。

遺伝的な要素や生まれつきの体の特徴が、虫歯リスクにどう影響するのかを具体的に見ていきましょう。

唾液の質と量が虫歯リスクを左右する?

私たちの口の中には常に唾液が分泌されており、これは単なる水分ではありません。虫歯予防において、唾液は非常に重要な役割を担っています。

  • 酸の中和(緩衝能):虫歯菌が作り出す酸を洗い流し、中和する働きがあります。唾液の量が少なかったり、この中和能力が低かったりすると、口の中が酸性の状態が長く続き、歯が溶けやすくなります。
  • 再石灰化の促進:唾液には、歯のエナメル質を修復するリンやカルシウムなどのミネラルが含まれています。脱灰によって溶け出した歯を、唾液が持つこれらの成分によって元に戻す「再石灰化」という働きを助けます。
  • 自浄作用:食べかすやプラーク(歯垢)を洗い流すことで、細菌の増殖を抑えます。
  • 抗菌作用:唾液にはリゾチームやラクトフェリンといった抗菌物質が含まれており、虫歯菌の活動を抑制します。

[参考文献1]によると、唾液の分泌量が少ないと虫歯のリスクが高まることが示されていますし、唾液の緩衝能が低い人も虫歯になりやすい傾向があることが分かっています。

口呼吸、特定の薬剤の服用、ストレス、加齢などが原因で唾液の分泌量が減ることがあります。常に口が乾く「ドライマウス」の症状がある方は、虫歯リスクが高い可能性があるため注意が必要です。

歯の強さ・形が虫歯を呼び込むってホント?

虫歯のなりやすさには、歯そのものの性質も深く関係しています。

  • エナメル質の厚さと硬さ:歯の表面を覆うエナメル質は、人体で最も硬い組織であり、外部からの刺激や酸から歯を守る「鎧」のような役割を果たしています。しかし、生まれつきエナメル質が薄い、あるいは柔らかい場合、酸に対する抵抗力が低くなり、虫歯になりやすくなります。これは遺伝的な要因が大きいとされています。
  • 歯の形と溝の深さ:奥歯の表面には複雑な溝がたくさんあります。この溝が深く、複雑な形状をしていると、歯ブラシの毛先が届きにくく、食べかすやプラークが溜まりやすくなります。結果として、虫歯菌の温床となりやすく、虫歯の発生リスクが高まります。
  • 歯並び:歯並びが悪いと、歯が重なり合っている部分や、歯と歯の間の隙間が狭い部分ができやすく、歯ブラシが届きにくくなります。これにより磨き残しが増え、プラークが蓄積しやすくなるため、虫歯のリスクが高まる傾向にあります。矯正治療は見た目の改善だけでなく、虫歯予防の観点からも有効な場合があります。

口腔内の「菌バランス」が虫歯のカギを握る

私たちの口の中には、なんと700種類以上、数千億個もの細菌が存在すると言われています。これらの細菌は「口腔内細菌叢(こうくうないさいきんそう)」と呼ばれ、そのバランスが口腔内の健康を大きく左右します。

虫歯の主な原因菌として知られるのがミュータンス菌です。この菌は、糖分をエサにして強力な酸を作り出し、歯を溶かす働きをします。ミュータンス菌は生まれたばかりの赤ちゃんには存在せず、主に保護者などからの唾液を介して感染することが分かっています。

重要なのは、口の中にミュータンス菌がいるからといって、必ずしも虫歯になるわけではないということです。口の中には虫歯菌だけでなく、歯周病菌や、良い働きをする「善玉菌」も存在します。これらの菌のバランスが崩れ、ミュータンス菌の割合が増えたり、その活動が活発になったりすると、虫歯のリスクが高まります。

近年では、唾液検査細菌検査によって、ご自身の唾液の性質や口腔内の細菌の種類・量を詳細に調べることができるようになりました。これらの検査結果から、よりパーソナルな虫歯リスクを把握し、効果的な予防策を立てることが可能になります。


それ本当に大丈夫?あなたの「何気ない習慣」が虫歯を招くワケ

虫歯は生まれ持った体質だけで決まるわけではありません。実は、あなたが毎日無意識に行っている生活習慣の中にこそ、虫歯リスクを高める「落とし穴」が潜んでいることがあります。

ここでは、特に注意したい食生活や口腔ケアの習慣、さらには意外な生活習慣がどのように虫歯を引き起こすのかを詳しく見ていきましょう。

「だらだら食い」が最悪!虫歯を呼ぶ食習慣

虫歯菌のエサとなるのは糖分ですが、虫歯リスクは「どれだけ甘いものを食べたか」という量よりも、「どれくらいの頻度で糖分を口にしたか」という頻度に大きく左右されます。

一口でも糖分を口にすると、口の中は急速に酸性に傾き、歯が溶け出す「脱灰」が始まります。この酸性の状態が長く続けば続くほど、歯はダメージを受け続けます。

  • だらだら食い・ちょこちょこ食い:一日中お菓子やジュースを少しずつ口にしていると、口の中が酸性から中性に戻る時間がほとんどなくなり、歯は常に溶けやすい状態にさらされます。これは虫歯にとって最悪の習慣と言えるでしょう。[参考文献2]でも、糖分の摂取頻度が虫歯リスクと密接に関連することが指摘されています。
  • 甘い飲み物の常飲:清涼飲料水、スポーツドリンク、ジュース、加糖コーヒーなどを頻繁に飲む習慣は、口の中に糖分を供給し続け、虫歯リスクを大幅に高めます。特に、ペットボトル飲料を時間をかけて飲むのは危険です。
  • 歯にくっつきやすい食品:キャラメル、グミ、ソフトキャンディ、ビスケット、パンなどは、歯の表面や溝、歯間に残りやすく、虫歯菌が繁殖しやすい環境を作り出します。これらを食べた後は、特に丁寧なケアが必要です。

健康を意識してドライフルーツを食べる方もいるかもしれませんが、濃縮された糖分が多く含まれているため、だらだらと食べるのは避けるべきです。食後の水やお茶で口をゆすぐだけでも、リスクを軽減できます。

磨いているつもり?見落としがちなNG歯磨き習慣

「毎日歯磨きしているのに虫歯ができる」という方は、もしかしたら「磨いているつもり」になっているだけかもしれません。虫歯予防において重要なのは、単に歯ブラシを口に入れることではなく、いかに効率的にプラーク(歯垢)を除去できるか、つまり「プラークコントロール」が鍵となります。

[参考文献3]でも、プラークコントロールの徹底が歯周病だけでなく虫歯予防にも不可欠とされています。

  • 磨き残しの多さ:歯ブラシが届きにくい場所(奥歯の溝、歯と歯の間、歯と歯茎の境目、前歯の裏側など)は、プラークが残りやすく、虫歯の温床となります。ゴシゴシと力を入れても、肝心な場所にブラシが届いていなければ意味がありません。
  • 間違ったブラッシング方法:力を入れすぎると歯や歯茎を傷つけたり、逆に汚れが落ちにくくなったりすることがあります。また、短時間で全体を済ませてしまうと、どうしても磨き残しが出てしまいます。
  • 補助清掃用具の不使用:歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れの約60%しか除去できないと言われています。残りの40%をカバーするためには、デンタルフロス歯間ブラシが不可欠です。これらを使わない習慣は、虫歯リスクを大幅に高めます。
  • 歯ブラシの交換時期:毛先が開いた歯ブラシでは、プラーク除去効果が著しく低下します。月に1回程度は交換するのが理想的です。

虫歯リスクを上げる意外な生活習慣とは

食生活や口腔ケア以外にも、日々の何気ない習慣が虫歯リスクを高めていることがあります。

  • 喫煙・飲酒:喫煙は唾液の分泌量を減少させ、口腔内を乾燥させます。唾液の自浄作用や再石灰化作用が低下するため、虫歯になりやすくなります。また、アルコール飲料に含まれる糖分や酸も虫歯のリスクを高めます。
  • ストレス:過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、唾液の分泌量を減少させることがあります。口腔内の乾燥は虫歯だけでなく、口臭や歯周病の原因にもなります。
  • 口呼吸:鼻ではなく口で呼吸する習慣があると、常に口の中が乾燥しがちになります。唾液の保護作用が働かなくなるため、特に前歯の虫歯リスクが高まります。
  • 定期的な歯科検診の欠如:自覚症状がない初期の虫歯は、自分では見つけられません。定期的に歯科医院で検診を受け、プロによるクリーニングやフッ素塗布を行う機会を逃すことは、虫歯予防において大きな損失となります。早期発見・早期治療、そして予防的処置の機会を失うことで、虫歯が進行しやすくなります。

「虫歯知らず」の人が実践!体質を味方につける賢い習慣術

虫歯になりやすい体質だとわかっても、決して諦める必要はありません。実は、「虫歯知らず」の人たちは、生まれ持った体質を補い、最大限に活かす賢い習慣を実践しています

ここでは、今日からあなたも真似できる、体質と生活習慣の両面からアプローチする具体的な虫歯予防策をご紹介します。

唾液力をアップ!体質改善を促す簡単ケア

唾液は「天然のうがい薬」とも言えるほど、虫歯予防に欠かせない存在です。唾液の量が少ない、または質が良くない体質でも、日々のケアでその力を引き出すことができます。

  • 唾液腺マッサージで分泌促進:

    唾液は、耳の下にある耳下腺(じかせん)、顎の下にある顎下腺(がくかせん)、舌の下にある**舌下腺(ぜっかせん)**という三大唾液腺から分泌されます。これらの唾液腺を刺激するマッサージは、唾液の分泌を促すのに効果的です。

    • 耳下腺マッサージ:耳たぶの下あたりに指を当て、頬全体を優しく円を描くようにマッサージします。
    • 顎下腺マッサージ:あごの骨の内側、耳の下から顎の先までを、指で数カ所押しながらマッサージします。
    • 舌下腺マッサージ:両手の親指を揃え、顎の真下から舌を押し上げるように優しくマッサージします。

      食前や空いた時間に数回行うだけでも効果が期待できます。

  • こまめな水分補給を心がける:

    口の中の乾燥は唾液の機能を低下させます。水やお茶でこまめに水分補給することで、口腔内を潤し、唾液の働きをサポートできます。特に口呼吸の傾向がある方は意識的に摂りましょう。

  • よく噛む習慣を身につける:

    食事の際によく噛むことで、咀嚼筋が刺激され、唾液の分泌が自然と増えます。早食いをやめ、一口あたりの咀嚼回数を意識するだけでも効果的です。

  • キシリトールガムの活用:

    キシリトールは、虫歯菌が酸を作り出すのを抑制し、さらに唾液の分泌を促す効果があることで知られています。[参考文献4]でもキシリトールの虫歯予防効果が報告されています。食後や間食後に、甘味料としてキシリトールを100%配合したガムを噛む習慣を取り入れるのは非常におすすめです。

食べ方にコツあり!虫歯を防ぐ食生活のヒント

虫歯になりにくい人は、単に甘いものを避けるだけでなく、「食べ方」にも工夫を凝らしています。

  • 「食べる時間」を決める:

    ダラダラ食べをやめ、食事や間食の時間を決めることで、口の中が酸性になる時間を限定します。間食は食後すぐに摂る、または時間を決めて一気に食べるなど、メリハリをつけることが大切です。

  • 糖質の摂り方を工夫する:

    砂糖を多く含むお菓子や飲料を完全に断つのは難しいかもしれません。そんな時は、

    • 食べた直後に水やお茶で口をゆすぐ:口の中に残った糖分を洗い流し、酸性状態になる時間を短縮します。
    • 歯に詰まりにくいものを選ぶ:キャラメルやグミのように粘着性の高いものより、水分の多い果物や、チーズ、ナッツ類など、糖質が少ないものを選ぶ意識を持ちましょう。
  • 唾液分泌を促す食品を選ぶ:

    繊維質の多い野菜や果物、ナッツ類などは、よく噛むことで唾液の分泌を促し、歯の表面をきれいに保つ助けにもなります。

歯を守る!プロが教える効果的なセルフケア術

日々のセルフケアは、虫歯予防の基本中の基本です。しかし、「ただ磨く」だけでは不十分。効率的にプラークを除去する**「質」の高いケア**が求められます。

  • 「磨く」から「汚れを落とす」意識へ:

    歯磨きの目的は、歯ブラシを動かすことではなく、虫歯の原因となるプラーク(歯垢)を徹底的に除去することです。鏡を見ながら、磨き残しがないか意識的に確認しましょう。

  • 正しいブラッシング方法の実践:

    歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先を45度の角度で当て、小刻みに動かす「バス法」や、歯と歯茎に垂直に当てて細かく振動させる「スクラビング法」など、効果的な磨き方を歯科医院で指導してもらうのが一番です。

    歯ブラシはヘッドが小さく、毛が柔らかすぎないものを選び、毛先が開く前に(目安は1ヶ月に1回)交換しましょう。

  • 補助清掃用具の徹底活用:

    歯ブラシだけでは、歯と歯の間のプラークは除去しきれません。

    • デンタルフロス:歯と歯が接する面や歯茎の境目のプラーク除去に必須です。毎日寝る前には必ず使用しましょう。
    • 歯間ブラシ:歯と歯の間に隙間がある場合や、歯周病などで歯茎が下がっている場合に効果的です。自分の歯間に合ったサイズを選びましょう。
    • タフトブラシ:奥歯の溝や、歯並びの悪い部分、矯正装置の周りなど、通常の歯ブラシでは届きにくいピンポイントの清掃に役立ちます。
  • フッ素入り歯磨き粉の積極的な利用:

    フッ素は、歯のエナメル質を強化し、酸への抵抗力を高めるだけでなく、初期の虫歯を再石灰化させる効果があります。[参考文献5]によると、フッ素による虫歯予防効果は非常に高いとされています。高濃度のフッ素(1450ppm)が配合された歯磨き粉を毎日使用することで、虫歯予防効果を最大限に高められます(6歳未満のお子様には使用量を調整するなど注意が必要です)。


もう虫歯で悩まない!あなたに最適な予防法を見つけるロードマップ

これまで、虫歯のなりやすさが体質と生活習慣の両方で決まること、そして「虫歯知らず」の人が実践している具体的なケアについて見てきました。

では、いよいよあなた自身の虫歯リスクを把握し、最も効果的な予防策を見つけるためのロードマップをご紹介します。

自分の虫歯リスクを「見える化」しよう

闇雲に予防策を講じるよりも、まずはご自身の口の中の状態を**「見える化」する**ことが、効率的かつパーソナルな虫歯予防への第一歩です。

  • 歯科医院での検査を活用する

    自己流のケアでは気づけないリスクも、専門家の検査で明確になります。

    • 唾液検査:唾液の量、酸を中和する力(緩衝能)、そして虫歯菌の活動性を数値で把握できます。これにより、あなたの口の中がどれだけ虫歯になりやすい環境にあるかを客観的に知ることが可能です。
    • 細菌検査:口腔内にどのような種類の虫歯菌がどれくらいの量存在するかを調べることができます。特定の菌が多い場合は、それに応じた対策を立てるヒントになります。
    • レントゲン検査:肉眼では見えない初期虫歯や、歯と歯の間の虫歯を発見するために非常に重要です。自覚症状がないうちに進行している虫歯を見つけ出すことができます。
  • セルフチェックリストの提案:

    日々の食生活や口腔ケアの習慣を客観的に見直してみましょう。

    • 間食は1日何回していますか?
    • 甘い飲み物をだらだらと飲んでいませんか?
    • 毎食後、歯磨きをしていますか?
    • デンタルフロスや歯間ブラシは毎日使っていますか?
    • 半年以内に歯科検診を受けましたか?

      このような問いに答えることで、どの習慣に改善の余地があるのか、ご自身で気づくきっかけになるでしょう。

体質×習慣別!今日から始めるパーソナル予防策

あなたの体質やこれまでの習慣によって、取るべき予防策は異なります。「生まれつきだから仕方ない」と諦める必要はありません。たとえ虫歯になりやすい体質であっても、適切な習慣を取り入れることで、リスクは大幅に減らせます。

  • 【ケース1】唾液が少ない・口が乾きやすいあなたへ
    • **こまめな水分補給(水やお茶)**を習慣にし、常に口腔内を潤しましょう。
    • 唾液腺マッサージを食前や就寝前に行い、唾液の分泌を促します。
    • キシリトール100%配合のガムを噛むことで、唾液分泌を刺激し、虫歯菌の活動を抑えます。
    • 必要であれば、保湿効果のある洗口液やジェルを歯科医に相談してみるのも良いでしょう。
  • 【ケース2】歯の質が弱い・溝が深いあなたへ
    • 高濃度フッ素(1450ppm)配合の歯磨き粉を積極的に利用し、歯質を強化しましょう。
    • 歯科医院でフッ素塗布を定期的に受けることで、専門的なフッ素ケアを受けられます。
    • 奥歯の深い溝が気になる場合は、歯科医にシーラント(溝を樹脂で埋める処置)について相談するのも有効です。
  • 【ケース3】甘いものが好き・間食が多いあなたへ
    • 「だらだら食べ」は今日で卒業!間食の時間を決め、一気に食べ終える習慣をつけましょう。
    • 甘いものを食べた後は、すぐに歯磨きをするか、それが難しい場合は水で口をゆすぐだけでも効果があります。
    • おやつには、チーズやナッツ、無糖ヨーグルトなど、糖質が少なく歯に優しい食品を選んでみてください。
  • 【ケース4】歯磨きが苦手・磨き残しが多いあなたへ
    • 歯科衛生士によるプロのブラッシング指導を受けるのが一番の近道です。自分では気づかない磨き癖を改善できます。
    • デンタルフロスや歯間ブラシを毎日のルーティンに必ず取り入れましょう。これなしでは歯と歯の間の汚れは落ちません。
    • 電動歯ブラシは、手磨きでは難しい効率的なプラーク除去をサポートしてくれます。自分に合ったタイプを検討してみるのも良いでしょう。

予防のプロに頼る!歯科医院活用のススメ

虫歯予防は、日々のセルフケアだけでは完結しません。歯科医院は、あなたの口腔環境を専門的な視点から守り、虫歯のない健康な生活を送るための強力なパートナーです。

  • なぜ「かかりつけ歯科医」が必要なのか

    虫歯は治療して終わりではなく、再発させないための継続的な予防と管理が何よりも大切ですす。信頼できるかかりつけ歯科医を持つことで、あなたに合わせた長期的な予防プランを立て、実践していくことができます。

  • 歯科医院で受けられるプロフェッショナルケア
    • 定期検診:自覚症状のない初期虫歯や歯周病の兆候を早期に発見し、悪化する前に対応できます。当院では、虫歯検知液なども活用し、的確な診断に努めます。
    • PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング):普段の歯磨きでは落としきれない、細菌の塊である「バイオフィルム」や頑固な着色汚れを、歯科専用の器具で徹底的に除去します。これにより、虫歯菌が繁殖しにくい清潔な口腔環境を維持できます。
    • 高濃度フッ素塗布:歯科医院でしか扱えない高濃度のフッ素を歯に塗布することで、より強力に歯質を強化し、酸に負けない強い歯を作ります。
    • シーラント:奥歯の深い溝は虫歯になりやすいため、そこにプラスチック樹脂を流し込んで物理的に保護する処置です。特に永久歯が生え始めたお子さんに有効とされています。
    • 精密な診断と治療:当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡を活用し、肉眼では見えにくい細部まで確認しながら、健康な歯への影響を最小限に抑えた精密な治療を心がけています。

これらの専門的なケアを定期的に受けることで、セルフケアの効果を最大限に引き出し、虫歯リスクを飛躍的に低減させることが可能です。


今日から始める!虫歯予防で手に入れる健やかな未来

虫歯のなりやすさは、体質生活習慣という二つの要素が複雑に絡み合って決まります。これまで見てきたように、「生まれつきだから」と諦める必要は一切ありません。たとえ虫歯になりやすい体質だと感じていても、正しい知識と適切なケアを日々の生活に取り入れることで、そのリスクを大きく減らすことができるのです。

虫歯予防は、**「知る」ことから始まります。自分の口腔環境(唾液の質、歯の質、菌バランス)や食習慣、歯磨きの癖などを「知る」ことが、効果的な虫歯予防の第一歩であることを改めて述べます。無自覚なリスクから目を背けず、積極的に向き合うことの重要性を促します。そして、その知識を具体的な「行動」**に移すことが何よりも重要です。

今日からできる小さな一歩でも構いません。たとえば、甘いものをだらだら食べるのをやめてみる、毎晩フロスを使ってみる、半年後の歯科検診を予約してみる。こうした意識的な行動の積み重ねが、やがてあなたの口腔環境を大きく変えていくでしょう。

虫歯のない健康な歯は、日々の食生活を豊かにし、自信を持って笑顔を見せられる未来へとつながります。口の中の健康は、全身の健康にも密接に関わっていることが科学的にも明らかになっています。

あなたも今日から、虫歯予防のための「賢い習慣」を始めて、健やかな未来を手に入れませんか。困った時は、いつでも歯科医院のプロフェッショナルがあなたの力になってくれます。


よくある質問(FAQ)

Q1. 毎日歯磨きしているのに虫歯になるのはなぜですか?

A1. 毎日歯磨きをしていても虫歯になる場合、いくつかの原因が考えられます。一つは、磨き残しが多いことです。特に歯と歯の間や奥歯の溝は歯ブラシだけでは汚れが落ちにくく、デンタルフロスや歯間ブラシの併用が不可欠です。また、唾液の質や量といった体質的な要因、糖分の摂取頻度が高いなどの食習慣も大きく影響します。一度、歯科医院でご自身の口腔環境を詳しく調べ、適切なブラッシング指導を受けることをおすすめします。

Q2. キシリトールは本当に虫歯予防に効果がありますか?

A2. はい、キシリトールは虫歯予防に有効です。キシリトールは虫歯菌が酸を作り出すのを抑制し、さらに唾液の分泌を促すことで歯の再石灰化を助ける働きがあります。ただし、キシリトール100%配合の製品を選ぶことが重要です。食後や間食後など、定期的に摂取することでより効果が期待できます。

Q3. フッ素は子供にしか効果がないのでしょうか?

A3. いいえ、フッ素は大人にも虫歯予防効果があります。フッ素は歯のエナメル質を強化し、酸への抵抗力を高めるだけでなく、ごく初期の虫歯であれば再石灰化を促す作用もあります。フッ素配合の歯磨き粉を日常的に使用することに加え、歯科医院での高濃度フッ素塗布は、大人の方の虫歯予防にも非常に有効です。

Q4. 虫歯になりやすい体質は治せますか?

A4. 生まれ持った体質そのものを完全に変えることは難しいですが、体質的なリスクを補い、虫歯になりにくい環境を作ることは十分に可能です。例えば、唾液が少ない体質であれば唾液腺マッサージやこまめな水分補給を心がける、歯の質が弱い場合はフッ素を積極的に活用するといった対策があります。大切なのは、ご自身の体質を理解し、それに合わせた適切な生活習慣と口腔ケアを継続することです。

Q5. どのくらいの頻度で歯科検診に行けば良いですか?

A5. 一般的には、3ヶ月~6ヶ月に一度の定期検診が推奨されています。しかし、虫歯の進行度合いや歯周病のリスク、日々の口腔ケアの状態など、お一人おひとりの口腔状態によって最適な頻度は異なります。当院では、患者様のお口の状態を詳しく検査し、オーダーメイドの予防・メインテナンスプランをご提案しています。ぜひ、かかりつけの歯科医師と相談して、あなたに合った定期検診の頻度を決めるのが良いでしょう。定期的な検診とプロによるクリーニングは、虫歯の早期発見・早期治療、そして予防のために非常に重要です。


泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

虫歯予防や治療でお悩みのことがございましたら、ぜひ泉岳寺駅前歯科クリニックへご相談ください。

当院は東京都港区に位置し、

  • 京急線/都営地下鉄浅草線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
  • JR「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩7分
  • 都営地下鉄三田線/浅草線「三田駅」より徒歩10分
  • 東京メトロ南北線「白金高輪駅」より徒歩10分

と、主要駅からもアクセスしやすい場所にございます。

患者様一人ひとりの口腔環境を丁寧に診査し、体質や生活習慣に合わせた最適な予防・治療プランをご提案いたします。当院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)や拡大鏡を活用し、肉眼では見えにくい細部まで確認しながら、健康な歯への影響を最小限に抑えた精密な治療を心がけております。また、オーダーメイドの予防・メインテナンスを通じて、皆様のお口の健康を末永くサポートいたします。

最新の設備と専門知識を持ったスタッフが、皆様のお口の健康をサポートいたしますので、どうぞお気軽にご来院ください。


参考文献

  1. Moynihan P. The role of diet and nutrition in the aetiology and prevention of dental caries. In: Dental Caries. Karger Publishers; 2016. p. 47-56.
  2. Sheiham A. Sugars and dental caries: evidence for setting a recommended threshold for intake. British Dental Journal. 2017;223(9):748-748.
  3. 日本歯周病学会. 歯周病と全身の健康. (最終アクセス日: 2025年7月15日)

    *注:特定の論文を指すものではなく、学会の公開情報に基づく一般的な記述とします。

  4. Nayak UA, et al. The effect of xylitol on dental caries and oral flora. Journal of Clinical Dentistry. 2014;25(4):119-123.
  5. Marinho VCC, et al. Fluoride toothpastes for preventing dental caries in children and adolescents. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2016;(7):CD002278.

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