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歯並びが悪いと虫歯になりやすい?デコボコ歯と磨き残しの関係

2025.08.17

歯並びが悪いと虫歯リスクが2倍?デコボコ歯と磨き残しの科学

「毎日しっかり歯磨きしているのに、なぜかいつも虫歯になる」「歯並びが悪いと虫歯になりやすいって聞くけど、本当?」

もしかしたら、その原因は歯のデコボコにあるかもしれません。歯並びの乱れは、見た目だけの問題ではなく、虫歯や歯周病のリスクを劇的に高めることが、科学的に証明されています。

国際的な学術誌『Journal of Oral Science』に掲載された研究(2019年)では、歯列不正(デコボコ歯)がある人は、正しい歯並びの人に比べて、特定の部位にプラークが溜まりやすく、虫歯のリスクが高いことが示唆されています。

なぜデコボコ歯だと虫歯になりやすいのでしょうか?それは、歯ブラシが届きにくい「死角」が生まれてしまうからです。


デコボコ歯が虫歯菌の温床になる理由

歯ブラシの死角に潜むプラーク(歯垢)の正体

プラークとは、歯に付着する白っぽいネバネバした塊のことで、その正体は細菌の集合体です。これらはただの汚れではなく、「バイオフィルム」と呼ばれる強力な膜を形成し、歯の表面に張り付いています。

このプラークの中に潜むミュータンス菌などの虫歯菌は、飲食物に含まれる糖分をエサにして酸を作り出します。この酸によって歯の表面(エナメル質)が溶かされ、やがて穴が開き、虫歯へと進行していくのです。

歯のデコボコ部分が抱える「3つの落とし穴」

歯並びが悪いと、以下のような「落とし穴」が口の中にでき、プラークが溜まりやすくなります。

  • 落とし穴①:歯が重なる部分

    歯が重なり合っている部分は、歯ブラシの毛先が入り込むスペースがほとんどありません。どんなに丁寧に磨いても、どうしても磨き残しが発生し、プラークが分厚く蓄積してしまいます。特に、八重歯やガタガタした歯並びの方に多く見られます。

  • 落とし穴②:歯と歯ぐきの境目

    歯並びが乱れていると、歯ブラシが歯と歯ぐきの境目に正しく当たらず、プラークが残りやすくなります。ここは虫歯だけでなく、歯周病の原因菌も繁殖しやすい非常に危険な場所です。

  • 落とし穴③:奥歯のさらに奥

    歯並びの乱れは、奥歯の傾きにも影響を与えることがあります。複雑な傾きを持つ奥歯は、通常の歯ブラシのヘッドが届きにくく、最も磨き残しが発生しやすい部位の一つです。親知らずの周りなども同様の理由で注意が必要です。


歯ブラシだけでは不十分!デコボコ歯を磨ききるための最強セルフケア術

歯並びが悪いことによって磨き残しが発生してしまうことは、先ほどご説明した通りです。しかし、心配することはありません。適切な方法とアイテムを使えば、デコボコ歯でもしっかりとプラークを除去することが可能です。

まず認識すべきは、歯ブラシだけでは歯全体の60%程度しか磨けないという事実です。これは、米国歯科医師会(ADA)が推奨している情報でもあります。残りの40%は、歯と歯の間や、奥まった部分に集中しています。この「見えない40%」をきれいにすることが、虫歯予防の鍵となります。

必須アイテム!「フロス」と「歯間ブラシ」の使い分け

歯と歯の間のプラークを除去するには、デンタルフロスや歯間ブラシといった補助清掃用具が不可欠です。

デンタルフロス

歯と歯のすき間が狭い部分、特に歯が重なり合っている箇所に最適です。フロスを歯の側面に沿わせ、上下に動かすことで、歯ブラシの毛先が届かないプラークを効率よくかき出すことができます。

歯間ブラシ

歯と歯のすき間が比較的広い部分や、歯周病によって歯肉が下がった箇所に効果的です。ブラシのサイズが合っていないと、歯や歯ぐきを傷つけてしまうため、適切なサイズを選ぶことが非常に重要です。

磨き残しゼロへ!タフトブラシでピンポイントケア

通常の歯ブラシでは磨きにくい特定の場所には、「タフトブラシ(ワンタフトブラシ)」というアイテムが非常に役立ちます。

タフトブラシは、毛束が小さく、ヘッドが細く設計されているため、以下の場所にピンポイントで届きます。

  • 歯が重なっている部分
  • 八重歯の裏側や周り
  • 奥歯の一番奥
  • 親知らずの周り

タフトブラシを歯に垂直に当て、小刻みに動かすことで、普通の歯ブラシでは難しい細部の清掃が可能になります。これらのアイテムを毎日の歯磨きルーティンに加えるだけで、磨き残しは劇的に減少し、虫歯のリスクを大きく下げることができます。


根本解決へ!歯列矯正がもたらす健康と見た目のメリット

これまで、歯並びが悪いことによる虫歯リスクと、そのための具体的なセルフケア方法について解説しました。しかし、これらの方法はあくまで現在の状態に対する対処療法です。本当に虫歯のリスクを根本からなくしたいのであれば、歯並びを整える根本療法を検討するべきです。

歯列矯正は見た目だけじゃない!健康上の大きなメリット

「歯列矯正」と聞くと、多くの人が「見た目を美しくするため」と考えるかもしれません。しかし、歯列矯正の最大のメリットは、口腔内を健康に保つことにあります。

歯並びが整うと、歯ブラシがすみずみまで届きやすくなり、毎日の歯磨きが圧倒的に効率的になります。これにより、磨き残しが減り、虫歯や歯周病のリスクを根本から下げることができます。

当院ではマウスピース矯正(インビザライン)や部分矯正など、様々な矯正治療に対応しています。

さらに、歯列矯正は全身の健康にも良い影響をもたらします。

  • 噛み合わせの改善: 食べ物をしっかりと噛めるようになり、消化器官への負担が軽減されます。
  • 全身のバランスの改善: 噛み合わせの歪みからくる肩こりや頭痛、顎関節症といった症状の改善にもつながることがあります。

歯科医院で知るべき「あなたの口内に最適なケア」

この記事で紹介したセルフケア方法は、誰にでも有効な基本的な対策です。しかし、あなたの歯並びや口腔環境は、一人ひとり異なります。

そのため、自分の口内を最もよく知る専門家、つまり歯科医師や歯科衛生士に相談することが非常に重要です。

当院では患者様一人ひとりに合わせたブラッシング指導も行っております。

もし歯列矯正に興味がある場合は、専門医に相談して、あなたの状態に合った治療法(マウスピース矯正、ワイヤー矯正など)について詳しく聞くことをお勧めします。

定期的に歯科検診を受けること。これが、虫歯や歯周病の早期発見・治療につながり、一生涯にわたる口腔健康の維持に最も効果的な手段であることは間違いありません。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 歯間ブラシやフロスは毎日使った方が良いですか?

はい、毎日のご使用を強くお勧めします。歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは60%程度しか除去できません。歯間ブラシやフロスを併用することで、磨き残しを減らし、虫歯や歯周病のリスクを大きく下げることができます。

Q2. 歯並びが悪いと、歯周病にもなりやすいというのは本当ですか?

はい、本当です。歯並びの乱れは、プラークが溜まりやすい環境を作り出すだけでなく、歯ぐきにも不自然な力がかかりやすくなります。これにより、歯周病の原因菌が繁殖しやすくなり、進行も早まる傾向にあります。

Q3. 歯列矯正は、大人になってからでも効果がありますか?

はい、大人になってからでも十分な効果が期待できます。近年では、目立ちにくいマウスピース矯正など、様々な治療法があります。歯列矯正は見た目の改善だけでなく、噛み合わせを整え、お口全体の健康を向上させることにつながります。


泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

当院は、泉岳寺駅から徒歩1分の好立地にあります。

当院のポイント

  • 泉岳寺駅A3出口から徒歩1分の好立地
  • 高輪ゲートウェイ駅や品川駅からもアクセス良好
  • 土日診療、平日夜間診療にも対応(最新の診療時間は公式サイトをご確認ください)

虫歯や歯周病のご相談から、歯並びに関するお悩みまで、お口の健康をトータルでサポートいたします。

お口のことでお悩みの方は、ぜひ一度泉岳寺駅前歯科クリニックへお越しください。皆さまのご来院を心よりお待ちしております。

泉岳寺駅前歯科クリニック 公式サイト:https://sengakuji-ekimae-dental.com/

住所:東京都港区三田3-10-1アーバンネット三田ビル1階

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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