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お口の悩み

【ストレスで歯が砕ける?】原因不明の痛みは「力の暴走」が原因かも。歯ぎしりが招く「破折」と「隠れ虫歯」の連鎖を断つ

2026.02.05

仕事や家庭でのプレッシャー、終わりのないタスク…。ストレス社会と言われる現代において、私たちの体は無意識のうちに悲鳴を上げています。その影響が最も破壊的な形で現れる場所の一つが、実は「歯」であることをご存知でしょうか。

多くの患者様が「虫歯ではないのに痛い」「詰め物がすぐにダメになる」と悩まれていますが、その根本原因は細菌ではなく、**ご自身の無意識による「歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)」という強大な「力」**にあることが多いのです。

本記事では、既存のコラムでも個別に解説してきた「歯のヒビ」や「二次う蝕(隠れ虫歯)」が、いかにして「ストレスによる力の暴走」によって引き起こされるか、その破壊のメカニズムを繋げて解説します。

1. その痛み、菌ではなく「力」が原因です

1-1. 30代~50代に急増する「破壊のサイン」

もし以下のような症状があるなら、あなたの口の中で「力の暴走」が起きている可能性があります。

  • 冷たいものがキーンとしみる(虫歯はないと言われた)
  • 朝起きると顎が疲れている、奥歯が浮いた感じがする
  • 治療した詰め物がよく外れる、割れる
  • 歯に細い亀裂(クラック)や黒い線が見える

これらは単独の症状に見えますが、実はすべて繋がっています。ストレスによって無意識に食いしばる力が、歯の耐久限界を超えさせているのです。 特に「知覚過敏」は、歯が削れたりヒビが入ったりしている初期警告であることが多いため、軽視してはいけません。

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1-2. 体重の数倍? 歯を破壊する「ブラキシズム」の正体

食事の際にかかる力は数十kg程度ですが、睡眠中の歯ぎしりや、無意識の食いしばりでは、その数倍から10倍近い負荷がかかると言われています。しかも、その力は「揺さぶり」を伴うため、硬いエナメル質をも容易に破壊します。

この「歯ぎしり」については、以下の記事で原因と対策を詳しく解説していますが、本記事では**「その力がどうやって歯を壊し、虫歯を再発させるか」**という最悪のシナリオに焦点を当てます。

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2. メカニズム①:歯が物理的に割れる「破折(ハセツ)」


 「横揺れの力」は歯にとって最大の敵。見えないヒビが激痛の原因になります。

2-1. 見えないヒビが神経を殺す

歯に過剰な「せん断力(横揺れの力)」がかかり続けると、瀬戸物にヒビが入るように、歯の表面にマイクロクラック(微細な亀裂)が入ります。 初期段階では「なんとなくしみる」程度ですが、ヒビが象牙質や神経(歯髄)まで達すると、噛むたびに歯がたわみ、電気が走るような激痛(咬合痛)を生じます。さらに恐ろしいのは、そのヒビから細菌が侵入し、虫歯がないのに神経が壊死してしまうケースです。

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2-2. 最終局面:「歯根破折」は抜歯への直行便

さらに力が加わり続けると、最終的に歯は縦に真っ二つに割れてしまいます(歯根破折)。こうなると、多くの場合は修復不可能となり、抜歯を余儀なくされます。 「ストレスで歯を失う」というのは、決して大袈裟な表現ではないのです。

3. メカニズム②:治療痕を破壊する「二次う蝕(隠れ虫歯)」

  • 表面は綺麗でも、内部では…。力が作る「隙間」が虫歯の入り口になります。

3-1. 詰め物を「剥がす」力

過去に治療した「詰め物」や「被せ物(銀歯など)」がある方は要注意です。強い力で歯がたわむと、硬い金属やセメントとの間に微細な隙間(ギャップ)が生まれます。 この隙間から唾液や虫歯菌が侵入し、詰め物の下で虫歯が広がることを「二次う蝕」と呼びます。

表面は綺麗に見えるのに、外してみたら中はドロドロ…というケースの多くは、この「力による封鎖の破壊」が関係しています。

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3-2. 歯の根元が削れる「くさび状欠損」

鏡でご自身の歯を見てみてください。歯と歯茎の境目が、斧で削ったように凹んでいませんか? これは「くさび状欠損」と呼ばれ、歯磨きの力が強いだけでなく、食いしばりの応力が根元に集中して弾け飛んでしまった痕跡であることが多いのです。ここも知覚過敏や虫歯の好発部位となります。

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4. この「破壊の連鎖」を止めるための精密治療

  • 「ナイトガード」での物理的防御や、「高強度素材」への置換で、歯の寿命を延ばしましょう。

ストレスそのものをゼロにすることは難しい現代。だからこそ、歯にかかる「力」を物理的にコントロールする必要があります。

4-1. 精密な「咬合診断」

まずは、ご自身の歯にどのような力がかかっているかを診断します。すり減り方、骨の隆起、詰め物の状態などから、リスクレベルを判定します。

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4-2. 物理的な防御壁「ナイトガード」

寝ている間の無意識の破壊衝動から歯を守る唯一の方法が、専用のマウスピース「ナイトガード」の使用です。歯の代わりにマウスピースが削れることで、ご自身の歯やセラミックを守ります。 インプラントやセラミック治療を受けた方には、必須のアイテムと言えます。

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4-3. 力に負けない素材「ジルコニア」

強すぎる力によって銀歯が変形したり、プラスチックが割れたりする場合、ダイヤモンドに近い強度を持つ「ジルコニア」へのやり変えが有効です。ジルコニアは表面が滑沢でプラークもつきにくいため、二次う蝕予防の観点からも非常に優れています。

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4-4. 日中の意識改革「TCHコントロール」

日中、パソコン作業中などに上下の歯が触れ合っていませんか? これを**TCH(歯列接触癖)**と言います。 「歯を離す」と付箋に書いて貼るなど、日中の意識を変えるだけで、歯への負担は激減します。

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5. よくある質問(FAQ)

Q1. 歯ぎしりをしている自覚が全くありません。それでも受診すべきですか?

A. はい、受診をお勧めします。 実は、歯ぎしりをしている方の約8割は自覚がないと言われています。しかし、「朝起きた時の顎の疲労感」「舌の縁についた歯型の跡」「上顎の骨の出っ張り(骨隆起)」など、お口の中には明確な証拠が残っていることが多いのです。自覚がないまま進行するのが最も危険ですので、一度チェックを受けることをお勧めします。

Q2. ナイトガード(マウスピース)はずっと使い続ける必要がありますか?

A. 歯を守るためには継続的な使用が理想です。 ストレスが原因の場合、根本的な歯ぎしりを完全にゼロにすることは困難です。ナイトガードは「歯ぎしりを治す」ものではなく、「歯ぎしりの破壊力から歯を守る」ためのプロテクターです。大切な歯やセラミックが割れてしまうのを防ぐため、就寝時の習慣にしていただくことを推奨しています。

Q3. 割れてしまった歯は必ず抜歯になるのでしょうか?

A. 破折の状態によります。 ヒビが浅い場合や、条件が良い場合は、特殊な接着剤で修復したり、部分的な治療で残せることもあります。しかし、歯の根元まで完全に割れている「完全破折」の場合は、感染源となるため抜歯が必要になるケースが多いのが現状です。だからこそ、「割れる前」の対策が何よりも重要なのです。

6. まとめ:ストレスから歯を守るために

「歯が割れる」「詰め物が外れる」のは、歯からのSOSです。 泉岳寺駅前歯科クリニックでは、単に外れたものを付け直すだけでなく、**「なぜ外れたのか(力の診断)」**を行い、ストレスフルな毎日の中でも歯を守り抜くための包括的な治療計画をご提案します。

原因不明の歯の痛みや違和感を感じたら、ヒビが深くなる前に、ぜひ一度ご相談ください。

泉岳寺駅前歯科クリニックについて

当院は、港区三田・高輪エリアで「包括的な歯科治療」を提供する歯科医院です。 痛みの原因を根本から突き止め、患者様一人ひとりのライフスタイルに合わせた治療計画をご提案いたします。

  • 医院名: 泉岳寺駅前歯科クリニック
  • 住所: 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1F
  • アクセス:
    • 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
    • JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩圏内
    • 「品川駅」からもアクセス良好
  • 診療内容: 一般歯科、予防歯科、歯周病治療、インプラント、審美歯科、矯正歯科など
  • 公式サイト: https://sengakuji-ekimae-dental.com/

参考文献

  • Lobbezoo, F., et al. (2018). Bruxism defined and graded: an international consensus. Journal of Oral Rehabilitation, 40(1), 2-4.(ブラキシズムの定義と分類に関する国際的合意)
  • Bernhardt, O., et al. (2006). Abfraction lesions and their relation to occlusal forces. Journal of Dentistry.(アブフラクション/くさび状欠損と咬合力の関係)
  • 日本歯科医師会:歯ぎしり・食いしばり
  • 日本顎関節学会:ブラキシズムの診断と治療ガイドライン

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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