インプラント治療を検討し始めると、「1回法(いちかいほう)」や「2回法(にかいほう)」という言葉を耳にすることがあります。「手術の回数が違うだけ?」と思われがちですが、実はそれぞれの術式には治療期間、安全性、**審美性(見た目の美しさ)**において明確な違いがあります。
「自分にはどちらが合っているの?」「痛みが少ないのはどっち?」
そんな疑問をお持ちの方へ、港区三田の泉岳寺駅前歯科クリニックが、インプラントの2つの術式の違いを分かりやすく徹底解説します。ご自身のライフスタイルや骨の状態に合わせた最適な選択をするための参考にしてください。
1. 結論:1回法と2回法、何が違う?
まずはざっくりとした違いを理解しましょう。最大の違いは**「インプラントを埋め込んだ後、歯茎を閉じるかどうか」**です。
- 1回法:インプラントの一部を歯茎から出したまま治癒を待つ。手術は1回で済む。
- 2回法:インプラントを完全に歯茎の下に埋めて治癒を待つ。手術は2回必要だが、感染リスクが低く安全性が高い。
どちらが優れているということではなく、**「顎の骨の状態」と「治療部位」**によって最適な方法が選ばれます。
画像挿入指示:1回法と2回法の構造比較イラスト
【左:1回法】頭出ししている状態 / 【右:2回法】歯茎の中で守られている状態
2. インプラント「1回法」とは?メリットと適応症
1回法の仕組み
1回法とは、インプラント体を骨に埋め込む手術(一次手術)の際に、最初から人工歯の接続部分(アバットメントやヒーリングキャップ)を歯茎の外に露出させておく方法です。骨と結合した後、再び歯茎を切る必要がないため、そのまま型取りへと進めます。
1回法では、手術直後からインプラントの一部(キャップ)が見えている状態になります。
1回法のメリット
- 手術が1回で済む: 外科的な負担が1回で終わるため、精神的・身体的なストレスが軽減されます。
- 治療期間の短縮: 二次手術後の歯茎の治癒期間が不要なため、トータルの治療期間を短くできます。
- 費用が抑えられる場合がある: 手術回数が少ない分、手術費用を抑えられるケースがあります(※医院の料金体系によります)。
- 歯茎への負担が少ない: 2回法のように部品(カバースクリューからヒーリングアバットメント)を交換する工程がないため、インプラント周囲の組織への刺激を最小限に抑えられます。
- 歯茎の形を早期に整えられる: 治癒期間中からヒーリングアバットメント(土台のキャップ)が入っているため、歯茎がその形に沿って治癒します。これにより、最終的な被せ物を入れる際に自然な歯茎のラインを早期に獲得しやすい場合があります。
- 即時荷重(その日に仮歯)の可能性: 1回法が適応できるような「骨の状態が良い」ケースでは、手術当日に仮歯を装着して噛めるようにする「即時荷重」という治療法を選択できる可能性が高まります。
1回法のデメリットとリスク
- 感染リスク:治癒期間中、お口の中に器具の一部が露出しているため、汚れが溜まると感染を起こすリスクがわずかにあります。
- 外力による影響を受けやすい:露出しているキャップ部分に、食事中に食べ物が当たったり、舌で押してしまったりすると、微細な力がインプラントにかかり、骨との結合を妨げる可能性があります。
- 骨造成には不向き:骨を増やす手術(GBRなど)を同時に行う場合、露出部分から感染しやすいため推奨されません。
- 審美性の調整が難しい場合がある:特に前歯において、歯茎のラインをミリ単位で精密に作り込みたい場合は、2回法で二次手術時に調整を行う方が有利なケースがあります。
- 手術直後からの丁寧な清掃が必要:傷口が完全に癒える前から、露出したキャップの周りに汚れがたまらないよう、患者様ご自身で慎重にケアする必要があります。痛みがある時期の清掃は心理的・技術的に負担になる場合があります。
- 骨が柔らかいとリスクが高まる:骨の量が十分でも、骨質が柔らかい場合(特に上顎など)は、インプラントの初期固定が弱くなりやすいため、外力の影響を受けやすい1回法は不向きな場合があります。
こんな人におすすめ(適応症)
- 顎の骨が十分にある方
- 骨が硬く、インプラントがしっかり固定できる方
- 手術の回数を減らしたい、早く噛めるようになりたい方
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3. インプラント「2回法」とは?メリットと適応症
2回法の仕組み
2回法とは、一次手術でインプラント体を完全に歯茎の下に埋め込み、縫合して閉じる方法です。数ヶ月の治癒期間(骨結合期間)を経て、二度目の手術(二次手術)で歯茎を小さく切開し、頭出しを行います。
2回法は、インプラントを細菌から完全に隔離して、骨との結合を待ちます。
2回法のメリット
- 安全性が高い(感染リスクが低い): インプラントが完全に歯茎の下で保護されるため、細菌感染のリスクを最小限に抑えられます。治癒期間中に口腔内の細菌が骨の再生エリアに侵入するのを物理的に防ぎます。
- 外からの力(荷重)を完全に遮断できる: 歯茎の下に埋まっているため、食事の際に食べ物が当たったり、無意識に舌で触ったりする「外力」がかかりません。インプラントが骨と結合するために最も重要な「安静」を確実に保つことができ、結合不全のリスクを減らします。
- 骨造成(GBR)との相性が抜群: 骨が少ない場合に骨を増やす処置を行っても、しっかりと閉鎖されているため、骨の再生を邪魔しません。
- 角化歯肉(丈夫な歯茎)を獲得・温存しやすい: インプラントを長持ちさせるには、周囲に「角化歯肉」と呼ばれる硬くて丈夫な歯茎が必要です。2回法では、二次手術の切開方法を工夫することで、この丈夫な歯茎をインプラントの周りに意図的に持ってくる(または増やす)処置が可能になります。
- 骨結合の確認が確実に行える: 二次手術の際、被せ物を作る前にインプラント体を直接目で見て、触って、器具で固定強度を測ることができます。骨との結合が不十分なまま治療が進むリスクを回避できます。
- 審美性が高い: 二次手術の際、歯茎の形をきれいに整える(歯肉形成)ことができるため、前歯など見た目が重要な部位において、より自然な仕上がりを目指せます。
2回法のデメリット
- 手術が2回必要: 麻酔を行い、歯茎を切開する処置が2回あるため、1回法に比べて身体的な負担(術後の痛みや腫れのリスク)や通院回数が増えます。「また手術を受けなければならない」という精神的なプレッシャーを感じる方もいらっしゃいます。
- 治療期間が長くなる: 二次手術を行い、歯茎が治癒して形が整うのを待つ期間が追加されるため、最終的な被せ物が入るまでの期間が1回法よりも数週間〜数ヶ月長くなります。
- 治癒期間中の入れ歯(義歯)の使用制限: 一次手術直後の傷口を保護するため、現在お使いの入れ歯が一時的に使えなくなったり、傷口に当たらないよう大幅に削る調整が必要になったりすることがあります。
- 一時的に「歯がない期間」ができる: 骨と結合するまでの間、インプラントは歯茎の下に隠れています。その間、部位や噛み合わせの状態によっては仮歯を入れることが難しく、歯がない状態で過ごさなければならない期間が生じる可能性があります。
- 費用がやや高くなる傾向がある: 手術回数が増え、使用する部品や手技も多くなるため、1回法と比較して費用が高めに設定されている場合があります。
こんな人におすすめ(適応症)
- 顎の骨が少なく、骨造成が必要な方
- 前歯など、見た目の美しさにこだわりたい方
- 糖尿病など感染リスクをできるだけ下げたい方
- 全身疾患があり、慎重に治療を進める必要がある方
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4. 【徹底比較】1回法 vs 2回法 早見表
違いが一目でわかる比較表を作成しました。
2回法は工程が増えますが、その分、安全性と仕上がりの美しさを高めることができます。
| 比較項目 | 1回法 | 2回法 |
|---|---|---|
| 🏥 手術回数 | 1️⃣ 1回のみ | 2️⃣ 2回
(埋入+頭出し) |
| ⏳ 治療期間 | 🚀 最短 | 🐢 標準
(治癒期間あり) |
| 🛡️ 安全性・リスク | ⚠️ やや注意 | 🛡️ 良
(完全閉鎖) |
| 🦴 骨造成 (GBR) | 🔺 難しい | ⭕ 相性抜群 |
| ✨ 審美性 | 😐 標準的 | 💎 良
(微調整可能) |
| 🤕 身体的負担 | 😊 少ない | 😓 手術回数増 |
| 💡 推奨ケース | 骨量十分 | 前歯・難症例 |
費用について
一般的に、手術回数や手技の複雑さから、2回法の方が費用がやや高くなる傾向にあります。しかし、長期的な安定性を考えれば、無理に1回法を選ぶよりも、適切な術式を選ぶことが「結果的なコストパフォーマンス」につながります。
▼費用の詳細はこちら インプラント治療の費用を抑える方法: 1本の相場と賢い選択 インプラント治療と医療費控除の詳細ガイド!節税しながら健康な歯を手に入れる方法
5. 後悔しない選択のために:重要なのは「骨の状態」
「痛いのが嫌だから1回法がいい」と思われるかもしれませんが、インプラント治療で最も大切なのは**「長期間、問題なく使い続けられること」**です。
無理に1回法を行い感染を起こしてしまっては元も子もありません。 逆に、骨が十分にあるのに過剰な手術をする必要もありません。
成功の鍵は「CT検査」による精密診断
どちらの術式が適しているかは、歯科用CTによる精密検査で「骨の厚み・高さ・密度」を正確に計測することで初めて決定できます。
泉岳寺駅前歯科クリニックでは、最新のCT設備を用いた精密診断を行い、患者様一人ひとりの骨の状態やご希望(期間・予算・見た目)に合わせて、根拠に基づいた最適なプランをご提案します。
骨の状態を3次元で正確に把握することが、失敗しない術式選びの第一歩です。
▼精密検査の重要性について インプラント成功の鍵はCTにあり!安全・確実な手術のための精密検査の全て
6. 【Q&A】1回法と2回法に関するよくある質問
患者様から寄せられる、よくあるご質問にお答えします。
Q1. 1回法の方が痛くないですか?
A. 手術自体の痛みは麻酔を行うため、1回法も2回法もほとんど変わりません。ただし、2回法は歯茎を切開する回数が2回になるため、トータルの身体的負担という点では1回法の方が軽いと言えます。術後の腫れや痛みは個人差や手術範囲によりますので、鎮痛剤などでコントロールします。
Q2.途中で「1回法」から「2回法」に変更することはありますか?
A. はい、あります。手術前の計画では1回法を予定していても、実際に手術をして骨の状態を確認した際に、初期固定(インプラントの食いつき)が予想より弱かった場合などは、安全のためにインプラントを歯茎の下に埋める「2回法」に切り替えることがあります。これはインプラントの成功率を高めるための重要な判断です。
Q3. 前歯のインプラントですが、どうしても1回法がいいです。
A. 前歯は審美性(見た目)が非常に重要なエリアです。1回法でも可能ですが、歯茎のラインをきれいに整え、より自然な見た目を作るためには、2回法を行い、二次手術の段階で歯茎の形成を行うことが推奨されるケースが多いです。ご希望とリスクを天秤にかけ、医師と相談して決定しましょう。
まとめ:あなたに最適な治療計画を
インプラントの「1回法」と「2回法」は、どちらが良い・悪いではなく、お口の状態に合わせた使い分けが重要です。
- 早く噛めるようになりたい、手術は1回がいい → 条件が合えば「1回法」
- 骨が少ない、前歯をきれいに治したい、安全第一 → 「2回法」
当院では、「治療計画はオーダーメイド」の理念のもと、メリットだけでなくリスクもしっかりとご説明した上で治療を進めてまいります。 「私の場合はどっち?」と気になった方は、ぜひ一度ご相談ください。
▼治療後のケアも大切です インプラントを長持ちさせる!クリーニングとメンテナンスの全知識
港区三田・泉岳寺でインプラント治療なら当院へ
泉岳寺駅前歯科クリニック 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1F https://sengakuji-ekimae-dental.com/
【アクセス】
- 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
- JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩4分
- JR「品川駅」からもアクセス良好
当院は、泉岳寺駅A3出口を出てすぐ、第一京浜沿いのアクセスしやすい場所にございます。 プライバシーに配慮した個室診療室や、最新のCT設備を完備し、患者様一人ひとりに寄り添った丁寧なカウンセリングと治療を提供しております。 インプラントに関する不安や疑問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
参考文献
- 日本口腔インプラント学会 編. (2020). 『口腔インプラント治療指針 2020』. クインテッセンス出版.
- Buser, D., et al. (2017). ITI Treatment Guide, Volume 10: Implant Therapy in the Esthetic Zone. Quintessence Publishing.
- Lindhe, J., & Lang, N. P. (2015). Clinical Periodontology and Implant Dentistry, 6th Edition. Wiley-Blackwell.
- Esposito, M., et al. (2009). “Interventions for replacing missing teeth: 1-stage versus 2-stage implant placement.” Cochrane Database of Systematic Reviews.
監修 泉岳寺駅前歯科クリニッ

1回法では、手術直後からインプラントの一部(キャップ)が見えている状態になります。
2回法は、インプラントを細菌から完全に隔離して、骨との結合を待ちます。
2回法は工程が増えますが、その分、安全性と仕上がりの美しさを高めることができます。
骨の状態を3次元で正確に把握することが、失敗しない術式選びの第一歩です。