- デコボコの隙間はプラークの温床になりやすく、歯周病リスクが高まります。
「毎日しっかり歯磨きしているのに、なぜかいつも同じ場所が虫歯になる」「歯並びが悪い部分の歯茎から血が出る」
東京・港区で多くの患者様を診察していると、こうしたお悩みをよく耳にします。実は、デコボコした歯並び(叢生:そうせい)は、単に見栄えの問題だけではありません。プラーク(歯垢)が溜まりやすい「プラークリテンションファクター(汚れが溜まる因子)」となり、放置すると**「歯周病」**のリスクが跳ね上がる危険地帯なのです。
通常の歯ブラシでは、複雑な隙間に毛先が届かず、自己流の磨き方では限界があります。
本記事では、今日から実践できる「磨き残しゼロを目指すピンポイント歯ブラシ術」を、泉岳寺駅前歯科クリニックが解説します。
1. 準備編:歯周病を防ぐための「ペングリップ」と「100gの圧」
余計な力が入らず、繊細に動かせる「ペングリップ」が基本です。
テクニックの前に、まずは持ち方の見直しです。歯並びが悪い部分を磨く際、絶対にしてはいけないのが「強い力でゴシゴシ磨くこと」です。
1-1. なぜ「鉛筆持ち」なのか?
強い力で磨くと、デコボコの飛び出している部分ばかりが削れ、肝心の「凹んでいる隙間」には毛先が届きません。さらに、歯茎を傷つけて歯肉退縮(歯茎下がり)を招く原因にもなります。
これを防ぐための正解は、**「ペングリップ(鉛筆持ち)」**です。指先で軽く持つことで、無駄な力が抜け、複雑な歯列に対して繊細なコントロールが可能になります。
1-2. 科学的に正しい圧力は「100g〜200g」
歯周病対策として適切なブラッシング圧は、わずか100g〜150g(最大でも200g以下)程度と言われています。これは、歯ブラシの毛先が広がらず、歯面に軽く触れる程度の優しさです。
特にデコボコ部分は、ブラシの「角」や「つま先」を使って優しく振動させる必要があります。
ポイント 鏡を見ながら磨く「視覚化」も重要です。感覚だけに頼らず、毛先が狙った隙間に入っているかを鏡で毎回確認しましょう。
2. 実践!歯並びのタイプ別・攻略テクニック
歯並びの状態に合わせて、ブラシの当て方を変えることが重要です。ここでは代表的な2つのパターンと、歯周病予防の基本テクニックを紹介します。
2-1. 歯が重なり合っている部分(叢生・八重歯)
重なり合っている部分は、ブラシを「縦」にしてピンポイントでアプローチします。
歯が重なり合っているV字の谷間は、最もプラークが溜まりやすい場所です。
- 縦入れ(つま先磨き): 歯ブラシを縦に持ち、ブラシの先端(つま先)を重なりの隙間に差し込みます。
- 微振動: そのまま小さく小刻みに動かして、汚れをかき出します。大きく動かすと汚れは取れません。
2-2. 傾いている歯へのアプローチ
内側や外側に倒れている歯は、歯ブラシを「斜め45度」に当てることを意識してください。
これは**「バス法」**と呼ばれる磨き方の応用です。歯と歯茎の境目に毛先を45度の角度で当て、優しく振動させることで、歯周ポケット内の汚れを除去し、歯周病の進行を食い止めます。
もっと詳しく 【歯周病を悪化させない磨き方】バス法とスクラビング法を徹底比較!あなたの歯茎に最適なブラッシングテクニック
2-3. 「高密度歯ブラシ」には注意が必要?
最近流行りの「高密度歯ブラシ」ですが、歯並びが悪い方や歯周病ケアには不向きな場合があります。ヘッドが大きく毛が密集しているため、細かい隙間に毛先が入らず、逆に磨き残しが増えることがあるからです。ヘッドが小さく、操作性の良いものを選びましょう。
3. 歯ブラシの限界を突破する「補助器具」の活用
歯並びが悪い場合、どんなに歯ブラシの扱いが上手くても、物理的に届かない「死角」が存在します。ここを放置するかどうかが、将来の歯の残存数を左右します。
3-1. 最後の砦「ワンタフトブラシ」
届かない場所の汚れは、狙い撃ちできる「ワンタフトブラシ」で一掃しましょう。
毛束が一つにまとまった小さな筆のようなブラシです。
- おすすめの場所: 重なり合った歯の深い溝、親知らずの手前、矯正装置の周り。
- 通常の歯ブラシでは届かないピンポイントの汚れを、狙い撃ちで除去できます。
3-2. 歯間ケアで「4割の磨き残し」をなくす
歯ブラシだけでは落ちない歯間の汚れを、フロスや歯間ブラシで徹底除去します。
歯ブラシだけでは、歯間の汚れの約6割しか落ちていないと言われています。
- デンタルフロス: 歯と歯が接しているキツイ隙間に有効です。
- 歯間ブラシ: 歯茎が下がって隙間が広くなっている部分に有効です。ただし、サイズ選びを間違えると歯茎を傷つけるため、歯科医院で適切なサイズを選んでもらいましょう。
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4. 「磨きにくい」を根本から解決する選択肢
ここまで磨き方をお伝えしましたが、根本的な問題として「歯並びそのもの」が歯周病リスクを高めている事実は無視できません。
4-1. 矯正治療は「最大の予防歯科」
歯並びが整うと、歯磨きが劇的に簡単になります。プラークコントロールが容易になれば、虫歯や歯周病のリスクは大幅に下がります。
当院では、見た目の美しさだけでなく、「生涯自分の歯を守るための矯正治療」を推奨しています。大人になってからの矯正は、健康寿命を延ばすための賢い投資です。
よくある質問(FAQ)
歯並びや毎日のケアについて、患者様からよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 重なっている部分を磨くと血が出ます。磨くのを控えた方がいいですか?
A. いいえ、優しく磨き続けてください。 出血の多くは、溜まったプラーク(細菌)によって歯茎が炎症を起こしているサインです。ここで磨くのをやめると、細菌が残り続け、歯周病がさらに悪化してしまいます。 痛みがない程度の優しい力(100g程度)で、出血していても丁寧にプラークを取り除くことで、1〜2週間ほどで炎症が収まり、出血も止まることがほとんどです。ただし、痛みが強い場合は無理をせず、歯科医院にご相談ください。
Q2. 歯並びが悪くても電動歯ブラシは使えますか?
A. 使えますが、コツが必要です。 電動歯ブラシは清掃効率が高い反面、平らな面に当てるのは得意ですが、デコボコした隙間には毛先が入りにくいことがあります。 歯並びが悪い箇所には、電動歯ブラシを強く押し付けず、一本ずつ角度を変えて当てるようにしてください。また、細かい部分は手磨きの「ワンタフトブラシ」やフロスを併用することをお勧めします。
Q3. フロスがいつも引っかかって切れてしまいます。虫歯でしょうか?
A. 虫歯や、詰め物の不適合の可能性があります。 歯並びの重なりがきついだけでなく、歯と歯の間に虫歯ができていたり、古い詰め物(銀歯など)が合わなくなって段差ができていると、フロスが引っかかったり切れたりします。これは「二次う蝕(虫歯の再発)」の危険信号ですので、早めに検診を受けることを推奨します。
まとめ:東京・港区で「一生モノの歯」を守るために
デコボコした歯並びのケアは、毎日の積み重ねが大切です。しかし、自己流のケアだけではどうしても限界があります。
「自分の磨き方は合っているのか?」 「歯周病が進行していないか?」
そう不安に思われたら、ぜひ一度、泉岳寺駅前歯科クリニックの定期検診にお越しください。 当院では、患者様一人ひとりの歯並びやリスクに合わせた「オーダーメイドのメンテナンス」を提供しています。
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泉岳寺駅前歯科クリニックについて
当院は、再発を防ぐための「原因療法」と、生涯ご自身の歯で過ごしていただくための「包括的歯科治療」に力を入れています。
- 医院名:泉岳寺駅前歯科クリニック
- 住所:〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1F
- アクセス:
- 都営浅草線・京急本線**「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分**
- 高輪ゲートウェイ駅、品川駅からもアクセス良好な好立地です。
- WEBサイト:https://sengakuji-ekimae-dental.com/
お仕事帰りや、お買い物のついでにも通いやすい環境です。 プロフェッショナルによるクリーニング(PMTC)と、正しいセルフケアの指導で、あなたの歯を歯周病から守り抜くお手伝いをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。
学術的参考文献
本コラムの作成にあたり、以下の学術的知見およびガイドラインを参考にしています。
- 歯ブラシの操作圧とプラーク除去効率に関する研究
- Frandsen A. Mechanical oral hygiene practices. In: Löe H, Kleinman DV, eds. Dental Plaque Control Measures and Oral Hygiene Practices. IRL Press; 1986.(過度なブラッシング圧による組織損傷リスクと適正圧について)
- バス法およびスクラビング法の臨床効果
- Bass CC. The optimum characteristics of toothbrushes for personal oral hygiene. Dental Items of Interest. 1948;70:697-718.(歯周ポケット清掃におけるバス法の有効性)
- 歯間清掃用具の併用によるプラーク除去効果
- Slot DE, Dörfer CE, Van der Weijden GA. The efficacy of interdental brushes on plaque and parameters of periodontal inflammation: a systematic review. International Journal of Dental Hygiene. 2008;6(4):253-264.(歯ブラシ単独と比較した際の、歯間ブラシ併用による有意な清掃効果の向上)
- 不正咬合と歯周病リスクの関連性
- Bollen AM, Cunha-Cruz J, Bakko DW, Huang GJ, Hujoel PP. The effects of orthodontic therapy on periodontal health: a systematic review of controlled evidence. Journal of the American Dental Association. 2008;139(4):413-422.(叢生などの不正咬合がプラークリテンション因子となり、歯周疾患リスクを高める可能性について)
- 日本歯周病学会 治療指針
- 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 編『歯周病治療の指針 2015』(プラークコントロールの重要性と患者指導のガイドライン)

余計な力が入らず、繊細に動かせる「ペングリップ」が基本です。
重なり合っている部分は、ブラシを「縦」にしてピンポイントでアプローチします。
届かない場所の汚れは、狙い撃ちできる「ワンタフトブラシ」で一掃しましょう。
歯ブラシだけでは落ちない歯間の汚れを、フロスや歯間ブラシで徹底除去します。