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予防・セルフケア

歯磨きで血が出る!その時「力を弱める」は正解?歯肉出血を止める正しいブラッシング圧と対処法

2026.02.11

  • 「血が出たから優しく磨こう」は、実は逆効果かもしれません。

 

歯磨きの最中、吐き出した泡に血が混じっているのを見てドキッとしたことはありませんか? 「あ、力を入れすぎて歯茎を傷つけてしまったかも…」 そう考えて、出血した場所を避けて磨いたり、力を弱めたりしてしまう方が非常に多くいらっしゃいます。

しかし、歯科医療の現場から申し上げますと、その対応は逆効果かもしれません。実は、歯肉からの出血は「そこにもっとブラシを当ててほしい」という歯茎からのSOS(サイン)なのです。

この記事では、港区三田・泉岳寺駅前歯科クリニックが、出血を恐れずに歯周病菌を撃退するための「正しいブラッシング圧(100g〜200g)」と、具体的なセルフケア戦略を徹底解説します。

【結論】歯茎からの出血は「磨きすぎ」ではなく「磨き残し」のサイン

  • 出血の原因は「傷」ではなく、プラークによる「炎症」です。

 

まず、最も大切な結論をお伝えします。 歯磨き中の出血のほとんどは、歯ブラシの力が強すぎて傷がついたからではなく、**歯垢(プラーク)が残っていることで起きる「炎症」**が原因です。

なぜ出血するのか?炎症のメカニズム

  1. プラークの蓄積:歯と歯茎の境目に細菌の塊(プラーク)が溜まります。
  2. 免疫反応:細菌と戦うために血液が集まり、歯茎が赤く腫れます(歯肉炎)。
  3. 血管の脆弱化:腫れた歯茎の毛細血管は非常に破れやすくなります。
  4. 出血:歯ブラシが軽く当たるだけで血管が破れ、出血します。

つまり、出血している場所こそ**「汚れが溜まっている場所」**なのです。ここで磨くのをやめてしまうと、プラークが残り続け、炎症はさらに悪化してしまいます。

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出血を止めるための「正しいブラッシング圧」は100g〜200g

出血しているデリケートな歯茎に対して、力任せに磨くのは禁物です。しかし、弱すぎてもプラークは落ちません。目指すべきは**「100g〜200g」**の圧力です。

100g〜200gの感覚とは?

  • 毛先が広がらない程度の「100g〜200g」が、汚れを落とし歯茎を守る適正圧です。

 

  • 100g:プラークを剥がし落とすために最低限必要な圧力。
  • 200g:これを超えると、歯茎を傷つけたり、歯が削れるリスクが高まります。

ご自宅のキッチンスケールに歯ブラシを押し当ててみてください。「毛先が広がらず、軽くしなる程度」が適正圧です。もし、磨いている最中に毛先が大きく広がっているなら、それは力が強すぎます(300g以上かかっていることが多いです)。

力をコントロールする「ペングリップ(鉛筆持ち)」

  • 「鉛筆持ち」に変えるだけで、自然と余分な力が抜け、繊細な操作が可能になります。

 

適正圧を保つための最大のコツは、歯ブラシの持ち方にあります。 手のひら全体で握る(パームグリップ)と力が入りすぎてしまいます。鉛筆を持つように指先で支える**「ペングリップ」**に変えるだけで、自然と余分な力が抜け、小回りが利くようになります。

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出血部位を治す最強の磨き方「バス法」実践ガイド

適正な圧力で、炎症の原因(プラーク)を狙い撃ちにするテクニックが**「バス法」**です。

バス法の3ステップ

  • 毛先を45度で当て、小刻みに震わせることでポケット内の汚れを掻き出します。

 

  1. 角度は45度:歯ブラシの毛先を、歯と歯茎の境目に対して45度の角度で当てます。
  2. ポケットを狙う:毛先を歯周ポケット(溝)の中に優しく入れ込むイメージです。
  3. 微振動:大きく動かさず、1〜2mm幅で小刻みに震わせます。

この磨き方は、歯茎のマッサージ効果と、ポケット内のプラーク除去効果の両方が期待できます。最初の数日は出血するかもしれませんが、**「血を出して悪い血(鬱血)を出し切る」**くらいの気持ちで、優しく丁寧に磨き続けてください。通常、1週間〜10日ほどで炎症が収まり、出血は止まります。

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道具選びも重要!出血時のセルフケア3選

テクニックと同じくらい重要なのが「道具」です。炎症がある時期は、以下のポイントで道具を選び直してみましょう。

  • 炎症がある時は「やわらかめ」の歯ブラシを選び、歯間ケアを徹底しましょう。

 

1. 歯ブラシは「ふつう」か「やわらかめ」

硬い歯ブラシは歯茎を傷つけるリスクがあります。炎症が強い場合は「やわらかめ」、通常は「ふつう」を選びましょう。毛先が開いたらすぐに交換です。

2. 「歯間ブラシ・フロス」は必須

出血しやすい場所のNo.1は「歯と歯の間」です。ここは歯ブラシだけでは絶対に届きません。出血があっても、サイズの合った歯間ブラシやフロスを通し、汚れを押し出してください。

3. 殺菌成分入りの歯磨き粉

IPMP(イソプロピルメチルフェノール)やCPC(塩化セチルピリジニウム)など、浸透殺菌効果のある成分が含まれた歯磨き粉がおすすめです。また、じっくり磨ける「低発泡(泡立ちが少ない)」タイプが良いでしょう。

【危険信号】セルフケアで治らない出血は要注意

  • 膿が出る、揺れるなどの症状は危険信号。早めに専門家のチェックを受けましょう。

 

正しいブラッシングを1〜2週間続けても出血が止まらない、または以下のような症状がある場合は、セルフケアの限界を超えています。

これらは、歯ブラシでは取れない**「歯石」**が原因で炎症が起きているか、歯周病が骨まで進行している可能性があります。この段階では、歯科医院での専門的なクリーニング(スケーリング)が必要です。

▼プロによるケアの詳細

よくある質問(FAQ)

出血がある場合の歯磨きについて、患者様からよくいただくご質問にお答えします。

Q. 電動歯ブラシを使っても大丈夫ですか? A. はい、使用可能です。ただし、手磨きよりも振動が強いため、歯茎に強く押し当てないよう特に注意が必要です。出血がある部位には、ブラシを「当てるだけ」のイメージで使用し、こすりすぎないようにしてください。

Q. どのくらいで出血は止まりますか? A. 正しいブラッシング(バス法)を継続すれば、軽度の歯肉炎であれば通常1週間〜10日程度で出血は治まります。2週間以上続く場合は、歯石の付着や深い歯周ポケットの問題が考えられるため、歯科受診をお勧めします。

Q. 出血している時は、歯磨き粉を使わない方がいいですか? A. 殺菌成分や抗炎症成分が入った歯磨き粉の使用は有効です。ただし、発泡剤(泡立ち成分)や研磨剤が多いものは、磨けた気になりやすく、また歯茎への刺激になることがあるため、低発泡・低研磨のジェルタイプなどが推奨されます。

まとめ:出血は「治るための通過点」です

歯磨き中の出血は怖いものではありません。「ここに汚れがあるよ」と体が教えてくれているサインです。

  1. 出血しても磨くのをやめない
  2. ペングリップで100g〜200gの優しい圧力を守る
  3. バス法でポケットの汚れを振動で落とす

この3つを実践し、健康で引き締まったピンク色の歯茎を取り戻しましょう。

泉岳寺駅前歯科クリニックについて

もし、「自分の磨き方が合っているか不安」「出血が止まらない」「一度プロにチェックしてほしい」とお悩みの方は、ぜひ当院までご相談ください。歯科衛生士が、あなたのお口に最適なブラッシング圧とケア方法をアドバイスいたします。

泉岳寺駅前歯科クリニック https://sengakuji-ekimae-dental.com/

  • 住所: 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
  • アクセス:
    • 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
    • JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩圏内
    • JR「品川駅」からもアクセス良好です

当院は、再発を防ぐ「原因除去療法」と「予防歯科」に力を入れています。お気軽にご予約・お問い合わせください。

学術的参考文献

この記事は以下の学術的知見やガイドラインに基づき構成されています。

  • Löe H, Theilade E, Jensen SB. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965 May-Jun;36:177-87.(プラークの蓄積と歯肉炎発症の直接的因果関係を証明した古典的研究)
  • Lang NP, Joss A, Orsanic T, Gusberti FA, Siegrist BE. Bleeding on probing. A predictor for the progression of periodontal disease? J Clin Periodontol. 1986 Jul;13(6):590-6.(プロービング時の出血が歯周病の活動性を示す指標であることを示唆)
  • 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 編『歯周病の診断と治療のガイドライン』

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監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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