column

予防・セルフケア

歯ぐきが下がって歯が長く見える原因は?歯肉退縮が示す歯周病進行度と根本的な対処法

2026.09.11

歯ぐきが下がって歯が長く見えるのは、歯周病による炎症と骨の吸収、不適切なブラッシング圧、加齢による組織退縮などが主な原因です。歯周病が進行すると細菌が歯肉の内部に侵入し、歯を支える骨が溶けることで歯肉が下がります。セルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアを組み合わせ、早期に根本原因を取り除くことで進行を食い止めることが可能です。 「「言えない…」恋人の口臭で別れる前に!港区の歯科医が教えるカップル歯周病チェック」もあわせてご覧ください。

会食の席で「以前よりも歯が長く見える気がする」「歯と歯の間に黒い三角形の隙間ができてきた」と感じたことはないでしょうか。鏡を見るたびに気になる歯ぐきの下がりは、単なる見た目の問題ではありません。それは歯周病が静かに進行しているサインかもしれません。歯肉退縮という現象は、多くの場合、細菌感染と力のコントロール不足という二つの根本原因によって引き起こされます。 「【港区・高輪ゲートウェイの予防歯科が解説】熱心な人ほど危険!オーバーブラッシングが歯ぐきを削る「二重のメカニズム」」もあわせてご覧ください。

歯周病は日本人が歯を失う最大の原因であり、特に50代以降で急速に進行するケースが増えています。歯科医院で「歯周病が進んでいます」と言われても、痛みがないため放置してしまう方が少なくありません。しかし歯肉退縮が目に見える段階では、すでに歯を支える骨が溶け始めている可能性が高いのです。本記事では歯肉退縮が何を意味し、どのような段階にあるのか、そして今すぐ始められる対処法を具体的に解説します。 「歯磨きで血が出る!その時「力を弱める」は正解?歯肉出血を止める正しいブラッシング圧と対処法」もあわせてご覧ください。

歯肉退縮が示す歯周病の進行段階

歯肉退縮とは、歯の根元を覆っていた歯ぐきが下がり、本来なら見えないはずの歯根が露出する現象です。歯が長く見えるだけでなく、知覚過敏や審美的な問題を引き起こします。歯周病専門医として多くの患者様を診てきた経験から申し上げると、歯肉退縮は歯周病が中等度から重度に進行している明確な警告サインです。 「あなたの頑張りが逆効果?大きすぎる歯ブラシ・歯間ブラシが招く歯肉退縮と知覚過敏のメカニズム」もあわせてご覧ください。

健康な歯ぐきと歯肉退縮の違い

健康な歯肉はピンク色で引き締まっており、歯と歯肉の境目に腫れや出血がありません。歯周ポケット(歯と歯肉の境目の溝)の深さは1〜3mm程度に保たれており、歯を支える骨も十分に残っています。一方、歯肉退縮が起きている場合、歯肉のラインが下がって歯根が露出し、歯周ポケットが4mm以上に深くなっています。歯と歯の間に黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)ができることも特徴です。

歯肉退縮が進行すると、冷たいものがしみる知覚過敏が現れます。これは象牙質という敏感な組織が露出するためです。さらに進行すると歯根面に虫歯ができやすくなり、最終的には歯がグラグラと動揺するようになります。このように歯肉退縮は単なる見た目の変化ではなく、歯周組織全体の破壊を示す重要なサインなのです。

歯周病の進行度と歯肉退縮の関係

歯周病は進行度によって軽度・中等度・重度の三段階に分類されます。軽度の段階では歯肉に軽い炎症があり、歯周ポケットが3〜4mm程度です。この段階では歯肉退縮はまだ目立ちませんが、歯磨き時に出血が見られることがあります。中等度に進行すると歯周ポケットが4〜6mmに深くなり、骨の吸収が始まります。この段階で歯肉退縮が目に見えるようになり、歯が長く見えるという自覚症状が現れます。 「歯並びが悪いと歯周病に?デコボコの隙間を攻略する「一点集中」歯磨き術」もあわせてご覧ください。

重度歯周病では歯周ポケットが6mm以上に達し、骨の吸収が歯根の半分以上に及びます。歯肉退縮が顕著になり、歯根が大きく露出します。歯がグラグラと揺れ、膿が出ることもあります。この段階では抜歯を避けられないケースも少なくありません。歯周病専門医として治療にあたる際、歯肉退縮の程度は進行度を判断する重要な指標となります。

歯肉退縮は「気づいた時にはすでに進行している」ことが多い症状です。目に見える変化が現れる前に、定期的な検診で早期発見することが何より重要です。

細菌感染と力のコントロール不足

歯肉退縮を引き起こす根本原因は大きく二つあります。一つは細菌感染です。歯周病菌が歯と歯肉の境目に侵入すると、慢性的な炎症が起こります。この炎症が続くと、歯を支える骨が少しずつ溶けていきます。骨が失われると、それを覆っていた歯肉も一緒に下がってしまいます。バイオフィルム(歯垢)は通常の歯磨きでは完全に除去できず、歯周ポケット内部で細菌が増殖し続けます。詳しくは「歯ブラシだけでは完璧」は誤解。バイオフィルムが示す、医療機関でのクリーニングが不可欠な理由で解説しています。

もう一つの原因は力のコントロール不足です。過度に強いブラッシング圧、歯ぎしりや食いしばり、不適切な噛み合わせなどが歯肉に機械的なダメージを与えます。特に硬い歯ブラシで力任せに磨いていると、歯肉が物理的に削られていきます。歯ぎしりや食いしばりは歯に過剰な力をかけ、骨の吸収を加速させます。細菌感染と力の問題が同時に存在すると、歯肉退縮は急速に進行します。

歯肉退縮を引き起こす具体的な原因

歯肉退縮の背景には、生活習慣や体質、過去の治療歴など複数の要因が複雑に絡み合っています。原因を正しく理解することで、適切な対処法を選択できます。

不適切なブラッシング習慣

「毎日しっかり磨いているのに」という真面目な方ほど、実は歯肉退縮のリスクが高いことがあります。大きすぎる歯ブラシを使って力任せに横磨きをしていると、歯肉が物理的に削られていきます。特に犬歯の周辺や小臼歯の頬側は力が入りやすく、くさび状に歯肉が退縮するケースが多く見られます。硬い毛先の歯ブラシを使い続けることも、歯肉へのダメージを蓄積させます。詳しくは「その「努力」が歯を破壊する!?大きすぎる歯ブラシ・歯間ブラシで見逃しがちな歯肉退縮とエナメル質摩耗のサイン」で解説しています。

歯間ブラシやデンタルフロスの使い方にも注意が必要です。サイズが合わない歯間ブラシを無理に押し込むと、歯と歯の間の歯肉(歯間乳頭)を傷つけてしまいます。一度失われた歯間乳頭は完全には元に戻らないため、適切なサイズ選びと優しい操作が重要です。ブラッシング圧を適正に保つためには、歯科医院で正しいブラッシング指導を受けることをお勧めします。

歯周病の進行による骨吸収

歯周病が進行すると、歯周ポケット内部で歯周病菌が増殖し続けます。細菌が産生する毒素や酵素が歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていきます。骨が失われると、その上にある歯肉も一緒に下がります。この過程は痛みを伴わないため、多くの方が気づかないうちに進行します。歯科医院での定期的なレントゲン検査で骨の状態を確認することが、早期発見の鍵となります。

歯周病による骨吸収は不可逆的です。一度失われた骨は自然には戻りません。しかし適切な治療によって進行を止めることは可能です。歯周病専門医による精密な検査と治療計画が、残された歯と骨を守るために不可欠です。特に中等度以上の歯周病では、歯周組織再生療法などの高度な治療が必要になることもあります。

加齢と遺伝的要因

加齢に伴い歯肉の厚みが減少し、退縮しやすくなります。特に50代以降では歯肉のコラーゲン線維が減少し、弾力性が失われます。これは自然な老化現象の一つですが、適切なケアによって進行速度を遅らせることができます。また遺伝的に歯肉が薄い体質の方は、若い頃から歯肉退縮が起こりやすい傾向があります。

遺伝的要因は変えられませんが、環境要因はコントロール可能です。家族に歯周病が多い方は、より丁寧なセルフケアと頻繁な定期検診が推奨されます。歯周病は生活習慣病の一つであり、食生活や喫煙、ストレスなども進行に影響を与えます。包括的なアプローチで歯周組織の健康を維持することが重要です。

自覚症状から読み取る歯肉退縮のサイン

歯肉退縮は徐々に進行するため、初期段階では気づきにくいことがあります。しかし注意深く観察すると、いくつかの特徴的なサインが現れます。

歯が長く見える視覚的変化

最も分かりやすいサインは、歯が以前より長く見えるようになったことです。鏡で自分の歯を見た時、「こんなに長かったかな」と感じたら要注意です。特に前歯は目につきやすく、左右の歯の長さに違いが出てくることもあります。写真を撮った時に歯ぐきのラインが下がっていると感じる場合も、歯肉退縮が進行している可能性があります。

歯と歯の間に黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)ができることも典型的なサインです。これは歯間乳頭が失われた結果です。食べ物が詰まりやすくなり、見た目にも老けた印象を与えます。審美的な問題だけでなく、細菌が溜まりやすくなるため、さらなる歯周病の進行を招きます。

知覚過敏と根面露出

歯肉が下がると歯根が露出し、象牙質がむき出しになります。象牙質にはエナメル質のような硬い保護層がないため、冷たいものや熱いもの、甘いものなどの刺激に敏感に反応します。冷たい水を飲んだ時にキーンとしみる感覚が出てきたら、歯肉退縮による知覚過敏の可能性が高いです。

露出した歯根は虫歯にもなりやすい部分です。歯根面の虫歯(根面う蝕)は進行が早く、歯の内部深くまで達することがあります。知覚過敏を放置すると、虫歯リスクも同時に高まります。早めに歯科医院を受診し、適切な処置と予防策を講じることが大切です。

歯周ポケットの深化と出血

歯肉退縮が進行すると、歯周ポケットが深くなります。歯科医院での検査で「ポケットが5mm以上あります」と言われたら、すでに骨の吸収が始まっている証拠です。歯磨き時やデンタルフロス使用時に出血する場合も、歯周ポケット内部で炎症が起きているサインです。健康な歯肉からは出血しません。

歯周ポケットが深くなると、セルフケアだけでは内部の細菌を除去できなくなります。専門的な器具を使った深部のクリーニング(スケーリング・ルートプレーニング)が必要です。歯周病専門医による定期的なメンテナンスが、進行を食い止める最も確実な方法です。

これ以上悪化させないための具体的対処法

歯肉退縮を完全に元に戻すことは難しいですが、進行を止めることは可能です。適切なセルフケアとプロフェッショナルケアの組み合わせが鍵となります。

正しいブラッシング方法の習得

ブラッシング圧をコントロールすることが最優先です。歯ブラシはペンを持つように軽く握り、150〜200g程度の軽い力で磨きます。硬い毛先ではなく、やわらかめからふつうの硬さの歯ブラシを選びましょう。毛先を歯と歯肉の境目に45度の角度で当て、小刻みに動かすバス法という磨き方が効果的です。

歯ブラシのサイズも重要です。大きすぎる歯ブラシは奥歯に届きにくく、力も入りやすくなります。自分の口の大きさに合ったコンパクトなヘッドの歯ブラシを選びましょう。1ヶ月に1本を目安に交換し、毛先が開いたら早めに新しいものに替えることも大切です。歯科医院で正しいブラッシング指導を受け、自分の癖を修正することをお勧めします。

歯間ケアの適切な実践

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは60%程度しか除去できません。残りの40%を除去するためには、デンタルフロスや歯間ブラシが必要です。フロスは歯と歯がきつく接している部分に適しており、歯間ブラシは歯肉退縮で隙間ができた部分に効果的です。自分の口腔状態に合わせて使い分けることが重要です。

歯間ブラシのサイズ選びは慎重に行いましょう。きつく感じる場合は無理に押し込まず、一つ小さいサイズを選びます。歯間ブラシを挿入する際は、歯肉を傷つけないよう優しく斜めに入れます。力任せに動かすと歯肉退縮をさらに悪化させます。フロスも同様に、歯肉に食い込ませるのではなく、歯の側面に沿わせて優しく上下させます。

歯科医院でのプロフェッショナルケア

セルフケアだけでは限界があります。歯周ポケット内部のバイオフィルムや歯石は、専門的な器具でなければ除去できません。歯科医院では超音波スケーラーやハンドスケーラーを使い、歯根表面の細菌を徹底的に取り除きます。この処置をスケーリング・ルートプレーニングといい、歯周病治療の基本となります。詳しくは「毎日磨いているのになぜ?真面目な人ほど知らない、セルフケアだけでは届かない”細菌リスク”の正体」で解説しています。

中等度以上の歯周病では、歯周外科治療が必要になることもあります。歯周ポケットが深すぎてスケーリングでは届かない場合、歯肉を一時的に開いて歯根面を直視下で清掃します。さらに進行したケースでは、歯周組織再生療法(エムドゲイン、リグロスなど)によって失われた骨や歯肉の再生を試みることもあります。歯周病専門医の知識と技術が、残された歯周組織を最大限に守ります。

歯周病専門医による根本原因治療

歯肉退縮を根本から解決するには、表面的な対症療法ではなく、原因に直接アプローチする包括的な治療が必要です。

精密検査による現状把握

当院では初診時に徹底した精密検査を行います。全顎のレントゲン撮影、歯周ポケットの測定、出血や動揺の確認、口腔内写真の撮影などを通じて、現在の歯周組織の状態を正確に把握します。CTスキャンを用いることで、骨の三次元的な形態や吸収度合いも詳細に評価できます。これらのデータを基に、患者様一人ひとりに最適な治療計画を立案します。

検査結果は数値やグラフで可視化し、患者様にも分かりやすく説明します。「なぜ歯肉が下がったのか」「現在どの段階にあるのか」「このまま放置するとどうなるのか」を論理的にお伝えします。エビデンスに基づいた説明により、治療の必要性と方向性を納得した上で選択していただけます。

THPによる細菌コントロール

当院ではTHP(トータルヘルスプログラム)という包括的な歯周病治療プログラムを提供しています。これは単に歯石を取るだけでなく、口腔内の細菌環境を根本から改善するアプローチです。プログラムの初期段階では、位相差顕微鏡を用いて口腔内細菌の種類と量を確認します。歯周病菌の活動性を把握することで、治療の効果を客観的に評価できます。

細菌のリセット後は、再感染を防ぐための定期的なメンテナンスが重要です。2〜3ヶ月ごとのプロフェッショナルクリーニングにより、バイオフィルムの形成を抑制し続けます。セルフケアとプロケアの両輪によって、歯周病の進行を長期的にコントロールします。これにより「治療してもまた悪くなる」という負の連鎖から脱出できます。詳しくは「治療したのにまた虫歯」を繰り返す人の共通点|詰め物・銀歯の下が再発する根本原因と二度と悪循環に陥らない方法で解説しています。

力のコントロールと咬合調整

細菌のコントロールと並行して、力の問題にも対処します。歯ぎしりや食いしばりがある場合、ナイトガード(マウスピース)を装着して歯への過剰な力を分散させます。噛み合わせのバランスが崩れている場合は、咬合調整や矯正治療によって力を適切に配分します。力のコントロールは歯周病治療の成功率を大きく左右する重要な要素です。

包括的な治療によって、歯肉退縮の進行を止めるだけでなく、残された歯周組織を最大限に保存できます。一部のケースでは、歯周組織再生療法によって失われた骨や歯肉を部分的に回復させることも可能です。歯周病専門医としての知識と経験を活かし、患者様の一生を見据えた治療を提供します。

生活習慣改善で歯周病進行を遅らせる

歯科医院での治療と並行して、日常生活の中でできることがあります。生活習慣の改善は歯周病の進行速度に大きく影響します。

禁煙の重要性

喫煙は歯周病の最大のリスク因子の一つです。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、歯肉への血流を減少させます。その結果、歯肉の抵抗力が低下し、細菌感染が進行しやすくなります。また喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の治療効果が低く、再発率も高いことが分かっています。禁煙は歯周組織の回復力を高め、治療の成功率を大幅に向上させます。

禁煙外来の利用や禁煙補助薬の使用も検討する価値があります。歯周病治療を機に禁煙に成功した患者様は、口腔内だけでなく全身の健康状態も改善されています。50代以降の方にとって、禁煙は歯を守るだけでなく、心血管疾患や呼吸器疾患のリスクを減らす重要な選択です。

栄養バランスと免疫力

歯周組織の健康には、適切な栄養摂取が欠かせません。ビタミンCは歯肉のコラーゲン合成に必要であり、不足すると歯肉の修復力が低下します。ビタミンDとカルシウムは骨の健康を維持するために重要です。抗酸化作用のあるビタミンEや亜鉛なども、歯周組織の炎症を抑える働きがあります。バランスの取れた食事により、体の内側から歯周組織を支えることができます。

ストレス管理も重要です。慢性的なストレスは免疫機能を低下させ、歯周病の進行を早めます。十分な睡眠、適度な運動、リラクゼーションの時間を意識的に確保することが、口腔内の健康維持にもつながります。経営者や管理職の方は多忙な日々を送られていますが、健康への投資は長期的なパフォーマンス向上に不可欠です。

定期検診の習慣化

歯周病は慢性疾患であり、完治という概念がありません。症状が改善しても、定期的なメンテナンスを怠ると再発します。当院では治療終了後も2〜3ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。定期検診では歯周ポケットの深さ、出血の有無、プラークの付着状況などをチェックし、問題があれば早期に対処します。

定期検診を習慣化している患者様は、歯を失うリスクが大幅に低下します。「痛くなったら行く」という受動的な姿勢ではなく、「健康を維持するために行く」という能動的な姿勢が、一生自分の歯で食べられる未来につながります。ビジネスで成功されている方は、時間を効率的に使うことに長けておられます。歯科治療も予防に時間をかけることで、生涯で歯科医院に通う総時間を最小化できるのです。

項目健康な歯肉歯肉退縮がある場合
歯肉の色ピンク色赤く腫れている、または白っぽい
歯周ポケット1〜3mm4mm以上
歯の見え方適切な長さ以前より長く見える
知覚過敏なし冷たいものがしみる
出血なし歯磨き時に出血する
歯間の隙間歯間乳頭が充満黒い三角形の隙間(ブラックトライアングル)

歯肉退縮の予防は今日から始められる

歯肉退縮を予防するには、早期からの意識と行動が重要です。すでに退縮が始まっている方も、適切な対処により進行を止めることができます。

若い世代からの予防意識

歯周病は高齢者の病気と思われがちですが、実際には30代から始まっていることが多いのです。若いうちから正しいブラッシング習慣を身につけ、定期検診を受けることで、50代以降の歯周病リスクを大幅に減らせます。特に遺伝的に歯周病になりやすい家系の方は、20代からの予防的なアプローチが推奨されます。

子育て世代の方は、自分自身のケアだけでなく、お子様への正しい知識の伝達も重要です。親が定期検診に通う姿を見せることで、子どもも予防の重要性を自然に学びます。家族全員で口腔ケアに取り組む文化を作ることが、次世代の歯周病予防につながります。

歯周病専門医の選び方

歯周病治療は専門性の高い分野です。日本歯周病学会認定医や専門医の資格を持つ歯科医師は、高度な知識と技術を有しています。歯周病の専門医は歯周組織再生療法などの先進的な治療にも精通しており、「他院で抜歯と言われた歯を残せた」というケースも少なくありません。セカンドオピニオンを求めることも、納得のいく治療を受けるための有効な選択肢です。

当院では歯周病認定医として、エビデンスに基づいた治療を提供しています。CTやマイクロスコープなどの最新機器を駆使し、精密な診断と治療を行います。また治療の各段階で丁寧な説明を心がけ、患者様が納得して治療を受けられる環境を整えています。港区・高輪エリアで歯周病にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

包括的治療という選択肢

歯肉退縮が進行している方の多くは、他の歯にも何らかの問題を抱えています。虫歯の再発、不適合な詰め物や被せ物、噛み合わせの不調和などが複合的に絡んでいるケースが大半です。このような場合、一本ずつ対症療法的に治療するのではなく、口腔全体を一つのシステムとして捉え、包括的に治療計画を立てることが重要です。詳しくは「毎日3回磨いているのに虫歯になる本当の理由|歯ブラシでは落とせない「細菌の塊」の正体」で解説しています。

包括的歯科治療では、歯周病治療を土台として、その上に審美的で機能的な補綴物を設計します。デジタルシミュレーション(DSD)を用いて治療のゴールを事前に共有し、患者様の理想とする口元を実現します。一度にすべてを解決することで、生涯で歯科治療に費やす時間とコストを最小化できます。これは時間を最も大切にされるエグゼクティブの方々にとって、最も合理的な選択肢といえます。

歯肉退縮は単なる見た目の問題ではなく、歯周病進行の重要なサインです。早期発見と適切な対処により、一生自分の歯で食事を楽しむ未来を手に入れることができます。

よくある質問

歯肉退縮は自然に治りますか?

残念ながら、一度下がった歯肉が自然に元の位置まで戻ることはありません。ただし適切な治療とケアにより、進行を止めることは可能です。初期段階であれば、歯周組織再生療法などの外科的処置によって部分的な回復を図れる場合もあります。早期発見と早期治療が何より重要です。

歯肉退縮があっても矯正治療はできますか?

歯周病が安定していれば、矯正治療は可能です。ただし歯肉退縮がある状態で矯正治療を行う場合、歯を動かす力によってさらに歯肉が下がるリスクがあります。矯正前に歯周病を完全にコントロールし、治療中も定期的なメンテナンスを受けることが不可欠です。歯周病専門医と矯正歯科医が連携して治療計画を立てることが理想的です。

歯肉退縮と知覚過敏の関係は?

歯肉退縮によって歯根が露出すると、象牙質という敏感な組織がむき出しになります。象牙質には無数の微細な管があり、外部からの刺激が神経に直接伝わりやすくなります。これが知覚過敏の原因です。知覚過敏用の歯磨き粉の使用や、歯科医院でのコーティング処置により、症状を軽減できます。

電動歯ブラシは歯肉退縮を悪化させますか?

適切に使えば電動歯ブラシは効果的な清掃ツールです。ただし強く押し付けすぎると、手動の歯ブラシ以上に歯肉にダメージを与える可能性があります。圧力センサー付きの電動歯ブラシを選び、軽く歯に当てるだけで十分です。歯科医院で正しい使い方の指導を受けることをお勧めします。

歯肉退縮の治療にはどのくらいの費用がかかりますか?

治療内容によって費用は大きく異なります。基本的な歯周病治療(スケーリング・ルートプレーニング)は保険適用で数千円から1万円程度です。歯周組織再生療法などの高度な治療は自費診療となり、1本あたり5万円から15万円程度かかります。重要なのは初期段階で対処することで、高額な治療を避けられることです。定期検診への投資が、長期的には最もコストパフォーマンスに優れています。

歯肉退縮は遺伝しますか?

歯肉の厚さや歯周病へのなりやすさには遺伝的要素があります。家族に歯周病が多い場合、遺伝的に歯周病リスクが高い可能性があります。ただし遺伝は絶対的な運命ではありません。適切なセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアにより、遺伝的リスクを大幅に軽減できます。家族歴がある方こそ、予防的なアプローチが重要です。

歯肉退縮を防ぐための最も効果的な方法は?

最も効果的なのは、正しいブラッシング技術の習得と定期的な歯科検診の組み合わせです。適切な圧力で正しい角度で磨くこと、デンタルフロスや歯間ブラシを使うこと、そして2〜3ヶ月ごとにプロフェッショナルクリーニングを受けることです。これにより細菌のコントロールと早期発見が可能になり、歯肉退縮を最小限に抑えられます。

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
Page top