column 包括的歯科治療

歯周病は沈黙の病気?自覚症状のないまま進行する怖さ

2025.06.09

「歯茎から血が出るくらい、別に大丈夫でしょう?」

歯磨き中に歯茎から少し血が出たり、歯が少しぐらつく程度では、「疲れているのかな?」と軽く考えてしまう方が少なくありません。

しかし、その小さなサインこそが、歯周病という「沈黙の病気」が進行している証拠かもしれません。今回は、歯周病がなぜ怖いのか、そしてその見えない進行を防ぐことの重要性についてお話しします。

「サイレントキラー」と呼ばれる歯周病の正体

歯周病は、自覚症状がほとんどないまま静かに進行することから、「サイレントキラー(静かなる殺人者)」と呼ばれることがあります。

  • 初期段階:歯茎の腫れや出血が起こりますが、痛みはほとんどありません。
  • 進行段階:歯を支える骨が溶け始め、歯がぐらつき始めます。この段階になっても、痛みを感じることは少ないため、気づくのが遅れがちです。
  • 末期段階:歯がグラグラになり、最終的には抜け落ちてしまいます。

痛みを感じたときには、すでに手遅れになっているケースも珍しくありません。

歯周病は「お口だけ」の問題ではない

さらに怖いのは、歯周病が全身の健康に悪影響を及ぼす可能性です。歯周病菌は、歯茎の血管から全身へと入り込み、さまざまな病気を引き起こすリスクを高めると言われています。

  • 糖尿病
  • 心臓病
  • 肺炎

など、全身疾患と歯周病の関係が、近年の研究で明らかになってきています。歯周病と全身の病気について

早期発見・早期治療が、未来の健康を守る鍵

沈黙の病気である歯周病を防ぐには、自覚症状がないうちから**「定期的な歯科検診」**を受けることが最も重要です。

当院では、患者様のお口全体を診るために、まず精密な検査と丁寧なカウンセリングを行います。

そして、患者様一人ひとりに合わせたプロフェッショナルなクリーニングと、ご自宅でのセルフケア方法を丁寧にご指導いたします。

歯周病は、早期に発見すれば、進行を食い止めることができます。

「自分の歯は大丈夫」と思っている方こそ、ぜひ一度、お口の健康チェックを受けてみてください。それが、一生涯の健康を守るための第一歩となるでしょう。

これまでの連載はこちらから

次回は、「治療の選択肢:インプラント・ブリッジ・入れ歯の選び方」について詳しくお話しします。

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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