column 包括的歯科治療

歯周病と全身の病気:心臓病・肺炎・糖尿病との関係

2025.07.03

「歯周病は、ただの口の病気じゃない!?」

「歯周病と診断されたけれど、まさか全身の病気と関係があるなんて…」

多くの方が、歯周病は「歯ぐきから血が出る」といったお口だけの問題だと思いがちです。しかし、近年の研究で、歯周病がお口の中だけでなく、心臓病、糖尿病、肺炎など、全身のさまざまな病気と深く関わっていることが明らかになっています。

今回は、歯周病がなぜ「万病のもと」とも呼ばれるのか、その意外な関係についてお話しします。

歯周病菌が引き起こす「負の連鎖」

歯周病が進行すると、歯ぐきの血管から歯周病菌や炎症物質が血液に乗って全身を巡ります。

  • 糖尿病: 歯周病菌が出す毒素が、血糖値を下げる「インスリン」の働きを妨げ、糖尿病を悪化させることがわかっています。逆に、糖尿病になると免疫力が下がり、歯周病も悪化しやすくなるという相互関係にあります。歯周病と糖尿病について、詳しくはこちら
  • 心臓病・動脈硬化: 歯周病菌が血管に侵入すると、血管の壁に炎症を起こし、動脈硬化を促進します。これが、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める原因の一つと考えられています。
  • 誤嚥性肺炎: 高齢者の場合、お口の中の歯周病菌が、食べ物や唾液と一緒に誤って気管に入り、肺で炎症を起こす誤嚥性肺炎の原因となることがあります。

歯科と医科の連携が、健康な未来を創る

このように、歯周病は全身の健康状態を映す鏡のようなものです。当院では、お口の中の健康だけでなく、患者様一人ひとりの全身の健康状態も考慮に入れた治療を行っています。

  • 精密な検査で、歯周病の進行度を正確に診断します。
  • 必要に応じて、かかりつけの内科医と連携し、総合的な健康管理をサポートします。

「たかが歯周病」と軽視せず、お口の健康を保つことが、全身の健康を守るための第一歩です。気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。

これまでの連載はこちらから

次回は、「歯周病治療の『次のステップ』:再発を防ぐための大切なこと」について詳しくお話しします。

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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