column 歯周病

スケーリング・ルートプレーニング(SRP)とは?歯周病治療のすべて

2025.07.28

「歯周病」という言葉はよく耳にするものの、本当に自分とは関係ないと思っていませんか?実は、日本人の約8割が何らかの歯周病にかかっていると言われています[1]。特に30歳以上になるとその割合は顕著に高まり、まさに「国民病」と呼ぶにふさわしい状況です。

歯周病が恐ろしいのは、初期段階ではほとんど自覚症状がないこと。歯茎が少し腫れたり、歯磨きの時に軽く出血したりする程度で、痛みを感じることは稀です。そのため、「そのうち治るだろう」と軽く見てしまいがちですが、この「サイレントキラー」は水面下で着実に進行し、気づいた時には手遅れというケースも少なくありません。

歯周病の初期症状を見逃さず、早期に対処することが、大切な歯を守るための第一歩となるのです。


歯周病のサインを見逃すな!歯石が引き起こす深刻なリスク

なぜ歯石が問題なの?歯周病菌の温床となるメカニズム

では、なぜ歯周病は進行するのでしょうか。その元凶の一つが「歯石」です。毎日の歯磨きで落としきれなかった食べカスや細菌の塊である歯垢(プラーク)は、時間が経つと唾液中のミネラルと結合して石のように硬い歯石へと変化します。

この歯石のやっかいな点は、その表面が非常にザラザラしていること。この粗い表面には、さらに多くのプラークや歯周病菌が付着しやすくなります。そして、これらの細菌が歯と歯茎の境目(歯周ポケット)の奥深くに潜り込み、そこで繁殖を始めるのです。

歯石は、まさに歯周病菌にとって「格好の隠れ家」。歯ブラシでは除去できないこの硬い塊が、炎症を悪化させ、歯周病を進行させる根本的な原因となります。

歯周病が全身に及ぼす影響:糖尿病・心臓病との意外な関係

「お口の中だけの問題」と思われがちな歯周病ですが、実は全身の健康に深刻な影響を及ぼすことが近年の研究で明らかになっています。歯周病菌や炎症によって生じた毒素は、歯周ポケットから血管を通じて全身へと運ばれてしまいます。

特に注意すべきは、以下の疾患との関連性です。

  • 糖尿病の悪化 糖尿病患者さんが歯周病にかかると、血糖コントロールがさらに難しくなることが知られています[2]。これは、歯周病の炎症がインスリンの働きを阻害するためです。逆に、歯周病治療を行うことで糖尿病の改善にも繋がるという報告もあります[3]。
  • 心臓病・脳卒中のリスク上昇 歯周病菌が血管に入り込むことで、動脈硬化を促進し、心筋梗塞や狭心症といった心臓病、さらには脳梗塞のリスクを高める可能性が指摘されています[4]。
  • 誤嚥性肺炎 高齢者では、口腔内の歯周病菌が唾液と共に気管に入り込むことで、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります[5]。
  • 妊婦への影響 妊婦が重度の歯周病にかかっている場合、早産や低体重児出産のリスクが高まる可能性も示唆されています[6]。

このように、歯周病は単にお口だけの問題ではなく、全身の健康を脅かす要因となり得ます。だからこそ、お口の健康を保つことが、全身の健康を守る上で極めて重要なのです。


徹底解説!スケーリング・ルートプレーニング(SRP)で歯周病菌を根こそぎ除去

SRPってどんな治療?歯周病治療の基本を知ろう

歯周病の恐ろしさ、そして歯石がその進行に深く関わっていることをご理解いただけたでしょうか。では、その歯周病からお口を守り、健康を取り戻すために不可欠な治療が、**スケーリング・ルートプレーニング(SRP)**です。

SRPは、単なる歯のクリーニングとは一線を画します。歯周病が進行し、歯茎の下の歯周ポケットが深くなってしまうと、日常の歯磨きでは歯石やプラーク、そして歯周病菌の塊であるバイオフィルムを取り除くことができません。SRPは、この手の届かない深部の汚れを、歯科医師や歯科衛生士が専門的な技術と器具を使って物理的に徹底除去する治療なのです。

歯周病治療の基本中の基本であり、これを行うことで歯周病菌の温床をなくし、炎症を鎮め、歯周組織の健康を取り戻すための土台を築きます。SRPは、歯周病の進行を食い止めるための最も効果的なアプローチの一つと言えるでしょう。

「スケーリング」で歯周ポケットの奥深くまでキレイに!

SRPは「スケーリング」と「ルートプレーニング」という二つの処置から成り立っています。まず「スケーリング」から見ていきましょう。

スケーリングの主な目的は、歯周ポケット内部や歯根表面にこびりついた**歯石(プラークが石灰化したもの)**を徹底的に除去することです。この歯石は、歯周病菌が繁殖し、炎症を引き起こす主要な原因となります。

歯科医院では、主に以下の器具を使い分けながら歯石を除去します。

  • 超音波スケーラー 先端が超音波の振動を発生させ、水と共に歯石に当てることで、硬い歯石を効率的に砕き、洗い流します。比較的大量の歯石を迅速に除去できるのが特徴で、振動と水流により歯石が剥がれやすくなります。
  • 手用スケーラー(キュレット) 鎌状やフック状の小さな器具で、歯科衛生士が手で操作し、歯周ポケットの奥深くに隠れた歯石や、超音波スケーラーでは届きにくい部分の歯石を、手探りで丁寧に除去します。歯根の複雑な形状に合わせて、一つ一つの歯石を確実に剥がしていくため、熟練した技術が求められます。

これらの処置によって、歯周病菌が隠れていた場所が清潔になり、炎症が治まりやすい環境が整います。

「ルートプレーニング」で歯根をツルツルに磨き上げる理由

スケーリングで歯石が除去された後、次に重要なのが「ルートプレーニング」です。

歯石が付着していた歯根の表面は、歯周病菌の毒素によって汚染され、またザラザラとした状態になっています。ルートプレーニングの目的は、この汚染された歯根の表面(セメント質の一部)を薄く削り取り、滑らかに研磨すること。

なぜ歯根をツルツルにする必要があるのでしょうか?それは、表面が粗いと、再びプラークや歯周病菌が付着しやすくなってしまうからです。歯根面を滑らかにすることで、細菌の再付着を防ぎ、歯周ポケットの清潔な状態を維持しやすくします。

さらに、滑らかになった歯根面は、歯茎の線維がしっかりと付着しやすい環境を作り出し、歯周ポケットが浅くなる効果も期待できます。これにより、歯周組織の回復を促し、歯周病の進行を食い止める上で極めて重要な役割を果たすのです。

痛みは?麻酔は?SRP治療の流れと安心ポイント

「歯周ポケットの奥を触る」と聞くと、痛みへの不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、ご安心ください。SRPは、患者さんの負担を最小限に抑えるよう配慮して行われます。

  • 治療前の診断 まず、歯科医師がレントゲン撮影や歯周ポケットの深さの測定(プロービング)、歯茎の状態の確認を行い、SRPが必要かどうか、どの範囲で行うかを診断します。歯周病の進行度合いを正確に把握することが重要です。
  • 局所麻酔の使用 SRPは歯茎の深い部分を処置するため、通常、局所麻酔を行います[7]。これにより、治療中の痛みはほとんど感じることなく、リラックスして処置を受けることができます。麻酔が効いている間は感覚が鈍くなりますが、治療中に痛みを感じるようであれば、遠慮なく歯科医師や歯科衛生士に伝えましょう。
  • 実際の処置 一度に全ての歯をSRPすることは稀で、通常は、お口を数ブロックに分けて、複数回にわたって処置を進めます。これは、一度に広範囲を行うと患者さんの負担が大きくなるためです。一回あたりの治療時間は、歯の数や歯石の量によって異なりますが、30分〜1時間程度が目安です。
  • 術後の注意点 SRP後は、一時的に歯がしみたり(知覚過敏)、歯茎に軽い違和感や腫れが生じたりすることがあります。これは治療によって炎症が治まり、歯根面が露出したり、歯茎が引き締まる過程で起こる自然な反応です。多くの場合、数日〜数週間で落ち着きます。適切なケア方法や、痛み止めの処方など、歯科医院で詳しく説明を受けることができますので、ご安心ください。

SRPは、歯周病を克服するための大切なステップです。不安な点があれば、担当の歯科医師や歯科衛生士に何でも相談し、納得した上で治療に臨みましょう。


SRPが歯周病に効く理由:科学に基づいた驚きの効果とメカニズム

歯周病菌を激減!SRPがもたらす細菌叢の変化

歯周病治療の要であるSRPは、単に歯石を取り除くだけではありません。その最大の目的は、歯周ポケット内に潜む歯周病菌を徹底的に排除し、口腔内の細菌バランス(細菌叢)を健康な状態へと導くことにあります。

歯周病菌は、歯石という足場にバイオフィルムという膜を形成し、その中で強力な集団を形成しています。これは、まるで難攻不落の要塞のようで、歯ブラシやうがい薬ではなかなか破壊できません。SRPは、この強固なバイオフィルムを物理的に除去することで、歯周病菌の数を大幅に減少させます[8]。特に、酸素を嫌う嫌気性菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス菌など、歯周病の主要な病原菌)にとって、SRPによって清潔で酸素が行き渡りやすい環境になることは、繁殖を抑制する上で非常に効果的です。

SRPによって悪玉菌が減少し、善玉菌が増えることで、口腔内の環境が劇的に改善され、歯周病の進行が食い止められるのです。

歯茎の腫れや出血がピタリ!炎症改善のメカニズム

歯周病が進行すると、歯茎は赤く腫れ上がり、歯磨きや少しの刺激で簡単に出血するようになります。これは、歯周病菌が放出する毒素や、それに対する体の**免疫反応(炎症)**が過剰に働いているためです。

SRPによって歯周病の原因である歯石や細菌が除去されると、これらの炎症を引き起こす物質が口腔内からなくなるため、過剰な免疫反応が鎮静化します。まるで火事の原因を取り除くように、炎症の元がなくなることで、歯茎の腫れや出血は徐々に治まっていきます。

多くの研究で、SRPが歯茎の炎症を顕著に軽減し、健康なピンク色の引き締まった歯茎へと改善させる効果が示されています[9]。これは、SRPが歯周病の根本原因にアプローチする、非常に有効な治療法であることの証拠です。

深くなった歯周ポケットが浅くなる!歯周組織の再生を促す効果

歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目にある歯周ポケットが深くなり、そこに細菌がさらに蓄積するという悪循環に陥ります。歯周ポケットが深くなると、歯を支える骨が溶かされ、最終的には歯がグラグラになって抜け落ちる原因となります。

SRPは、この深くなった歯周ポケットを改善する効果があります。炎症が治まり、歯根面が滑らかになることで、歯茎が歯根に再びしっかりと密着しようとする力が働きます。これにより、物理的に歯周ポケットの深さが減少します[10]。

ポケットが浅くなることは、患者さん自身が毎日の歯磨きでプラークを除去しやすくなることにも繋がり、歯周病の再発予防において非常に重要な意味を持ちます。また、歯周組織のさらなる破壊を防ぎ、歯を長持ちさせるための基盤となるのです。

「口臭が消えた!」気になるお口のニオイも改善

歯周病のもう一つの大きな悩みとして挙げられるのが「口臭」です。歯周病が原因の口臭は、歯周病菌が口腔内のタンパク質を分解する際に発生させる「揮発性硫黄化合物(VSC)」という物質が主な原因です。

SRPによって歯周病菌の数が減少し、それらの代謝産物であるVSCの産生が抑えられることで、口臭が大幅に改善されます。多くの患者さんが「口臭が気にならなくなった」と実感されます。これは、口腔内の環境が改善された明確なサインであり、治療によってQOL(生活の質)が向上する大きなメリットと言えるでしょう。

口臭はデリケートな問題ですが、SRPによって根本から改善できる可能性が高いため、悩んでいる方はぜひ歯科医院で相談してみてください。


SRPで終わりじゃない!治療効果を持続させるための正しいケアと予防策

歯周病の治療において、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)が非常に効果的な処置であることはご理解いただけたかと思います。しかし、SRPはあくまで歯周病を改善させるための「スタートライン」です。せっかく回復した歯茎の健康を維持し、歯周病の再発を防ぐためには、その後の適切なケアと予防策が不可欠です。

SRP後のセルフケアがカギ!効果を最大限に引き出す歯磨き術

SRPで専門家が徹底的に除去した歯周病菌や歯石も、日々のケアを怠れば再び増殖し、歯周病が再発してしまう可能性があります。だからこそ、毎日のセルフケアが、SRPの効果を最大限に引き出し、持続させるためのカギとなります。

  • 歯ブラシの選び方と正しいブラッシング方法 歯周病の予防・改善には、適切な歯ブラシを選び、正しい方法で磨くことが重要です。
    • 歯ブラシの選び方: 毛先が細く、柔らかめの歯ブラシを選びましょう。歯周ポケットの奥まで毛先が届きやすいものが理想的です。
    • ブラッシングのポイント: 歯と歯茎の境目に毛先を45度の角度で当て、軽い力で小刻みに動かします。特に歯周ポケットの奥まで毛先を入れ込むようなイメージで磨くことが大切です。力を入れすぎると歯茎を傷つけたり、歯を削ってしまったりする原因になるので注意しましょう。
  • 歯間ケアの徹底 歯ブラシだけでは、歯と歯の間や、歯並びの悪い部分の汚れは十分に落とせません。
    • 歯間ブラシ: 歯と歯の隙間に合わせてサイズを選び、丁寧に清掃します。特に歯周病で歯茎が下がっている方は、歯間が広くなりがちなので必須アイテムです。
    • デンタルフロス: 歯と歯が密着している部分のプラーク除去に効果的です。特に歯周ポケットの深い部分の清掃に役立ちます。

これらを毎日活用することで、歯周病菌の隠れ家をなくし、お口の中を常に清潔に保つことができます。

プロの力で徹底ケア!定期検診とPMTCの重要性

どんなに丁寧なセルフケアをしていても、どうしても磨き残しは発生します。また、一度歯石になってしまったものは、ご自身の歯ブラシでは除去できません。そこで重要になるのが、歯科医院での定期的なプロフェッショナルケアです。

  • 定期検診の必要性 SRP後も、歯科医院での定期検診は欠かせません。歯科医師や歯科衛生士が、歯周ポケットの状態や歯茎の炎症の有無、プラークの付着状況などを詳細にチェックします。これにより、歯周病の再発や新たな問題の兆候を早期に発見し、対処することができます[11]。早期に発見できれば、簡単な処置で済む場合も多く、歯周病の再進行を防ぐ上で非常に重要です。
  • PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)の役割 定期検診と合わせて行われるのが、PMTCです。これは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使用し、歯の表面や歯周ポケットの浅い部分に付着したプラーク、バイオフィルム、そして茶渋などの着色汚れを徹底的に除去する処置です。SRPでは対処できない微細な汚れや、日常生活で付着した汚れを取り除くことで、虫歯や歯周病の予防効果をさらに高めます。

一般的に、SRP後は3ヶ月から6ヶ月に一度の定期的な検診とPMTCが推奨されます[12]。この継続的なプロフェッショナルケアが、SRPで得た治療効果を長期間維持するための最も効果的な方法なのです。

再発させないために!食生活・喫煙など生活習慣の見直し

お口のケアだけでなく、全身の健康状態や日々の生活習慣も、歯周病の進行に大きく影響を与えます。SRPで歯周病が改善しても、これらの要因がおろそかになると、再発のリスクが高まります。

  • 喫煙と歯周病の深い関係 喫煙は、歯周病を悪化させる最大の要因の一つです[13]。タバコに含まれるニコチンやタールは、歯茎の血行を悪くし、免疫機能を低下させます。これにより、歯周病菌に対する抵抗力が弱まり、歯周病が急速に進行しやすくなります。SRPの効果も喫煙者では得られにくい傾向があるため、歯周病治療を成功させ、再発を防ぐためには、禁煙することが非常に重要です。
  • 食生活とストレスの影響
    • 食生活: 糖分の多い食品の過剰摂取は、プラークの形成を促し、虫歯だけでなく歯周病のリスクも高めます。バランスの取れた食生活は、全身の免疫力を高め、歯周組織の健康維持にも繋がります。
    • ストレス: 慢性的なストレスは、体の免疫機能を低下させ、歯周病を悪化させる可能性があります。適度な休息や趣味など、ストレスを解消する方法を見つけることも大切です。

SRPは歯周病治療の要ですが、その効果を持続させるには、日々のセルフケア、定期的なプロフェッショナルケア、そして健康的な生活習慣の全てが揃って初めて、歯周病の再発を防ぎ、大切な歯を長く守ることができるのです。


歯周病から大切な歯を守るために:今すぐSRPを検討しよう

これまで、歯周病がいかに身近で恐ろしい病気であるか、そしてその治療においてスケーリング・ルートプレーニング(SRP)が、歯石や歯周病菌を徹底的に除去する上でいかに重要な役割を果たすかについて詳しく解説してきました。SRPは、単に歯をきれいにするだけでなく、歯周病の進行を食い止め、失われつつあったお口の健康を取り戻すための中心的かつ不可欠な治療です。

歯周病は、放置すると歯を支える骨が溶けてしまい、最終的には大切な歯を失ってしまう原因となります。しかし、初期の段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに病気が進行してしまうことがほとんどです。だからこそ、早期発見・早期治療が何よりも重要になります。

もし、歯茎からの出血、腫れ、口臭、または歯がグラグラするといった症状に心当たりがあるなら、それは歯周病のサインかもしれません。また、たとえ自覚症状がなくても、前回の歯科検診から時間が経っている場合は、一度お口の状態をチェックしてもらうことを強くお勧めします。

SRPを含む適切な歯周病治療は、あなたの歯の寿命を延ばし、全身の健康を守る上で非常に大きな意味を持ちます。専門家による精度の高い歯石除去と、その後の適切なセルフケア、そして定期的なメンテナンスを継続することで、歯周病の再発を防ぎ、健康な口腔内環境を維持することができます。

大切な歯を守るための一歩は、今すぐ行動することから始まります。お近くの歯科医院に相談し、ご自身の口腔内の状態に合わせた最適な治療計画を立ててもらいましょう。専門家があなたの不安に寄り添い、歯周病のない健康な未来をサポートしてくれるはずです。


よくある質問(FAQ)

Q1: スケーリングとルートプレーニングは、歯のクリーニング(PMTC)と同じですか?

A1: いいえ、異なります。一般的な歯のクリーニング(PMTC:プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)は、歯の表面に付着したプラークや着色汚れを除去する予防処置です。一方、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)は、歯周病が進行し、歯茎の下の歯周ポケット内に形成された歯石や細菌のバイオフィルムを、専門的な器具を用いて徹底的に除去する歯周病治療の一環です。SRPは、PMTCよりも深い部分の治療を目的としています。 → 泉岳寺駅前歯科クリニックの「歯周病治療」ページもご参照ください。

Q2: SRPは痛いですか?麻酔は使いますか?

A2: SRPは歯周ポケットの奥深くを処置するため、通常、局所麻酔を使用します。これにより、治療中の痛みはほとんど感じません。麻酔が効いている間は感覚が鈍くなりますが、治療自体は快適に受けていただけます。ご不安な場合は、事前に歯科医師や歯科衛生士にご相談ください。

Q3: SRPを受ければ歯周病は完治しますか?

A3: SRPは歯周病の進行を食い止め、歯周組織の健康を回復させる上で非常に効果的な治療ですが、「完治」というよりは「改善とコントロール」という考え方が適切です。SRPで歯周病菌の温床を除去しても、日々のセルフケアや定期的なプロフェッショナルケアを怠ると再発する可能性があります。治療後の適切なメンテナンスを継続することが、歯周病を長期的にコントロールし、健康な状態を維持するために不可欠です。

Q4: SRPの費用はどのくらいかかりますか?

A4: SRPの費用は、歯周病の進行度合いや処置を行う歯の数、保険適用か自由診療かによって異なります。一般的に、保険が適用される場合は、治療費の自己負担割合に応じて費用が決まります。詳細な費用については、治療前に歯科医院でカウンセリングを受け、見積もりを確認することをおすすめします。

Q5: 歯周病治療やSRPを受けたいのですが、どこで相談できますか?

A5: 歯周病治療やSRPをご検討でしたら、ぜひ泉岳寺駅前歯科クリニックにご相談ください。 当院は東京都港区に位置し、泉岳寺駅A3出口から徒歩1分とアクセス抜群です。また、高輪ゲートウェイ駅や品川駅からもアクセスが良いため、お仕事帰りや買い物ついでにもお立ち寄りいただけます。 経験豊富な歯科医師と歯科衛生士が、患者様一人ひとりの口腔内の状態を丁寧に診査し、最適な歯周病治療をご提案いたします。歯周病に関するお悩みやご質問がございましたら、お気軽にお問い合わせください。 → 泉岳寺駅前歯科クリニックの「アクセス」ページもご参照ください。


参考文献

[1] 厚生労働省. (2016). 平成28年歯科疾患実態調査報告. (日本における歯周病有病率の統計データは、厚生労働省の国民健康・栄養調査や歯科疾患実態調査などで定期的に公表されています。最新のデータをご確認ください。)
[2] Preshaw, P. M., et al. (2012). Periodontitis and diabetes: a two-way relationship. Diabetologia, 55(1), 21-31.
[3] Lalla, E., & Papapanou, P. N. (2011). Diabetes mellitus and periodontitis: a review of the literature and a discussion of biological mechanisms. Periodontology 2000, 56(1), 121-134.
[4] Seymour, G. J., et al. (2010). Periodontal infections and atherosclerosis: an update. Journal of Clinical Periodontology, 37(Suppl 10), S30-S36.
[5] Scannapieco, F. A., et al. (2009). Oral bacteria and respiratory infection: effects on lung inflammation and infection. Journal of Periodontal Research, 44(5), 579-586.
[6] Offenbacher, S., et al. (2001). Periodontal infection as a possible risk factor for preterm low birth weight. Journal of Periodontology, 72(10), 1332-1340.
[7] Cobb, C. M. (2000). Non-surgical periodontal therapy: mechanical and physical effects. Periodontology 2000, 25(1), 69-79.
[8] Socransky, S. S., & Haffajee, A. D. (2002). Dental biofilms: difficult therapeutic targets. Periodontology 2000, 28(1), 12-55.
[9] American Academy of Periodontology. (2015). Periodontal disease. Journal of Periodontology, 86(Supplement 2), S1-S58.
[10] Magnusson, I., et al. (1984). Recurrence of periodontal disease after nonsurgical periodontal therapy in a group of patients with advanced periodontal disease. Journal of Periodontology, 55(4), 213-222.
[11] Axelsson, P., & Lindhe, J. (1981). Effect of controlled oral hygiene procedures on the progression of periodontal disease in adults: results after 6 years. Journal of Clinical Periodontology, 8(3), 239-248.
[12] Tonetti, M. S., et al. (2015). Primary prevention of periodontitis: Managing risk factors for periodontal disease. Journal of Clinical Periodontology, 42(Suppl 16), S5-S9.
[13] Bergström, J. (2014). Smoking and periodontal disease: a review of the literature. Journal of Clinical Periodontology, 41(Suppl 15), S134-S139.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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