あなたの口、乾いていませんか?ドライマウスの意外なサイン
「ドライマウス」という言葉を聞いたことがありますか?多くの方は「単に喉が渇いているだけ」と思いがちですが、実はその裏に隠された深刻なサインかもしれません。正式には「口腔乾燥症」と呼ばれるこの症状は、唾液の分泌量が減少し、口の中が慢性的に乾く状態を指します。ただの不快感として放置すると、気づかないうちに口腔内の健康を大きく損ね、ひいては全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
ドライマウスってどんな状態?「ただの喉の渇き」との違い
「喉が渇く」のは、水分が不足しているときに体が発する正常なサインです。しかし、ドライマウスは、水分を摂取しても口の乾きが続く、あるいは頻繁に口の中が乾くといった特徴があります。これは、唾液をつくる唾液腺の機能が低下したり、唾液の分泌が抑制されたりすることで起こります。つまり、単なる水分不足ではなく、唾液という重要な口腔の守護神が、その役割を十分に果たせていない状態なのです。
見逃さないで!口の中がネバつく、話しにくい…隠れたSOSサイン
ドライマウスの症状は多岐にわたり、日常生活に様々な影響を与えます。以下のような症状に心当たりはありませんか?
口の中の不快感
- 口の中がネバネバする、ベタつく: 朝起きた時だけでなく、日中も口の中が乾いて舌が上あごにくっつくような感覚がある。
- 舌がヒリヒリする、痛む: 乾燥により舌の表面が荒れ、熱いものや辛いものがしみる。
- 口角が切れる: 口の端が乾燥してひび割れ、口を開けるたびに痛む。
食事や会話の困難
- 食べ物が飲み込みにくい: 特にパンやクッキーなどの乾いた食品が飲み込みづらく、水なしでは食べられない。
- 味覚がおかしい、味がしない: 唾液が味を感じる味蕾を洗い流す役割を担っているため、味覚が鈍くなることがある。
- 話しにくい、呂律が回らない: 口唇や舌が乾燥で滑らかに動かず、発音しづらくなる。
その他の気になるサイン
- 口臭が強くなる: 唾液の自浄作用が低下し、細菌が増殖することで口臭が発生・悪化する。
- 虫歯が増える、歯周病が悪化する: 後述しますが、唾液の重要な保護作用が失われるため、これらのリスクが格段に上がります。
- 夜間に喉の渇きで目が覚める: 寝ている間に唾液の分泌がさらに減少し、顕著に症状が現れることがあります。
これらのサインに気づいたら、それはあなたの口腔が発する「危険信号」かもしれません。
薬剤の副作用?ストレス?あなたのドライマウスの真の原因を探る
ドライマウスの原因は一つではありません。複数の要因が絡み合っていることも少なくありません。
主な原因
- 薬剤の副作用: 最も一般的な原因の一つとされており、特に高齢者に多く見られます。高血圧治療薬、抗アレルギー薬(抗ヒスタミン薬)、抗うつ薬、精神安定剤、鎮痛剤など、多種多様な薬が唾液の分泌を抑制する作用を持つことが知られています。服用している薬を確認し、歯科医師や薬剤師に相談することが重要です。
- 加齢による唾液腺機能の低下: 年齢を重ねるにつれて、唾液腺の機能が自然に低下し、唾液の分泌量が減少することがあります。これは生理的な変化ですが、適切なケアで症状を緩和できます。
- ストレスや不規則な生活習慣: ストレスは自律神経のバランスを崩し、唾液の分泌を抑制することがあります。また、睡眠不足や偏った食生活も影響を与える可能性があります。
- 口呼吸: 日常的に口で呼吸していると、口腔内が常に乾燥し、ドライマウスを引き起こしやすくなります。睡眠時の口呼吸も大きな原因となります。
- 全身疾患: シェーグレン症候群(自己免疫疾患)のように、唾液腺や涙腺に炎症を起こし、唾液分泌を著しく低下させる病気もあります。その他、糖尿病や腎臓病などもドライマウスの原因となることがあります。
もし、ご自身で原因が特定できない場合や、症状が長引く場合は、専門家である歯科医師に相談することが非常に重要です。
唾液の「驚くべき力」とは?ドライマウスで失われる口腔の守護神
私たちの口の中に常に存在する「唾液」。普段、その存在を意識することは少ないかもしれませんが、実は唾液は単なる水分ではありません。まさに「口腔の守護神」と呼ぶにふさわしい、驚くべき多様な機能を持つ液体なのです。その大切な唾液が不足するドライマウスは、この守護神がその力を失い、私たちの口が無防備な状態になることを意味します。では、唾液が持つ「驚くべき力」とは一体何なのでしょうか?
口の中を洗い流すだけじゃない!唾液の多機能な「自浄作用」
唾液の最も分かりやすい役割の一つが「自浄作用」です。食事の後、口の中に残った食べかすや、歯の表面に付着しようとする細菌の塊(プラーク)を、唾液は常に洗い流してくれます。これは、まるで口の中を流れる小さな川のよう。この流れによって、口腔内は清潔に保たれ、細菌の過剰な増殖を防いでいるのです。
唾液の自浄作用が低下すると…
- 食べかすやプラークが停滞しやすくなる: 歯と歯の間や、歯と歯ぐきの境目に食べかすが残りやすくなり、プラークが形成されやすくなります。
- 細菌の温床に: 食べかすを栄養源として、虫歯菌や歯周病菌が増殖しやすい環境が作られてしまいます。
虫歯・歯周病菌を寄せ付けない!唾液が持つ「抗菌・殺菌パワー」
唾液には、単に洗い流すだけでなく、積極的に細菌と戦う「抗菌・殺菌パワー」が備わっています。これは、唾液の中に様々な有効成分が含まれているためです。
唾液に含まれる主な抗菌成分とその働き
- リゾチーム: 細菌の細胞壁を分解し、細菌そのものを破壊する酵素です。
- ラクトフェリン: 細菌が必要とする鉄イオンを奪い取り、増殖を抑制するタンパク質です。特に歯周病菌に対する抗菌作用が注目されています。
- IgA(免疫グロブリンA): 口腔内に侵入しようとするウイルスや細菌などの異物を捕らえ、体内に取り込まれるのを防ぐ抗体です。
- ペルオキシダーゼ: 細菌の活動を阻害する過酸化水素を生成し、細菌の増殖を抑制する酵素です。
これらの成分が連携して働くことで、私たちの口は常に病原菌から守られています。しかし、ドライマウスになると、これらの抗菌成分が薄まったり、量が不足したりするため、細菌の増殖を抑えきれなくなり、虫歯や歯周病のリスクが飛躍的に高まってしまうのです。
食後の酸から歯を守る!「再石灰化」と「緩衝作用」のメカニズム
食後は、食べ物に含まれる糖質が細菌によって分解され、口の中が酸性に傾きます。この「酸」こそが、歯のエナメル質を溶かし、虫歯を引き起こす主な原因です。しかし、唾液にはこの酸の攻撃から歯を守る素晴らしい能力があります。
歯を守る唾液のメカニズム
- 緩衝作用(pH調整作用): 唾液には、酸を中和し、口腔内のpH(酸性度)を短時間で中性に戻す働きがあります。これにより、歯が酸にさらされる時間を最小限に抑え、虫歯の発生を防ぎます。
- 再石灰化作用: 酸によって溶け出した歯の成分(リン酸カルシウムなど)を、唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンが補給し、再び歯を硬くする修復作用です。これは、初期の虫歯であれば自然に治る可能性があることを意味します。この作用は、厚生労働省の資料でも、虫歯予防の重要な要素として挙げられています[^1]。
近年、特に注目されているのが、唾液による歯質の強化です。2023年の研究レビューでは、フッ化物と併用することで、唾液の再石灰化効果がさらに高まる可能性が示唆されています[^2]。しかし、ドライマウスになると、これらの重要な作用が不十分になり、歯は酸の攻撃に無防備になり、虫歯になりやすくなるだけでなく、一度溶け出したエナメル質の修復も難しくなってしまうのです。
なぜ?ドライマウスが歯周病を加速させるメカニズムを徹底解説
ここまで、ドライマウスのサインと、唾液が持つ「驚くべき力」について解説してきました。では、この「口腔の守護神」である唾液が少なくなってしまうと、具体的にどのようにして歯周病のリスクが高まり、進行が加速してしまうのでしょうか?実は、ドライマウスは歯周病を招く「負のスパイラル」の入り口となるのです。
唾液が減ると、なぜ細菌が増える?口腔内環境の悪化スパイラル
唾液は、口の中を常に清潔に保ち、細菌の増殖をコントロールする非常に重要な役割を担っています。しかし、ドライマウスによって唾液の量が減少すると、このバランスが大きく崩れてしまいます。
自浄作用の低下が引き起こす問題
- 食べかすやプラークの停滞: 唾液の量が減ると、食事の際に発生する食べかすや、歯に付着しようとする**プラーク(歯垢)**が効率的に洗い流されなくなります。これにより、歯と歯の間、歯周ポケット、舌の上などにこれらが残りやすくなります。
- 細菌の温床化: 停滞した食べかすやプラークは、口の中に常在する細菌にとって格好の栄養源となります。特に、歯周病の原因菌となる細菌は、この環境で爆発的に増殖し始めます。
抗菌作用の減退とpHバランスの崩壊
- 抗菌作用の弱体化: 唾液に含まれるリゾチームやラクトフェリンといった抗菌成分は、細菌の増殖を抑制する天然の防衛システムです。しかし、唾液量が減るとこれらの成分の濃度が薄まり、その効果が十分に発揮されなくなります。その結果、普段は抑えられているはずの歯周病菌が、勢いを増して増殖してしまいます。
- pHバランスの乱れと酸性化: 唾液には、食後に酸性に傾いた口の中のpH(酸性度)を中性に戻す「緩衝作用」があります。ドライマウスではこの作用が低下するため、口の中が酸性の状態が長く続きます。多くの歯周病菌は酸性の環境を好むため、これがさらなる増殖を促し、歯周病の進行を加速させる要因となります。
この一連のプロセスが、ドライマウスが引き起こす口腔内環境の悪化スパイラルであり、歯周病菌にとって非常に繁殖しやすい「理想的な住処」を作り出してしまうのです。
歯ぐきが傷つきやすい?ドライマウスが招く歯周組織の炎症リスク
唾液は、口の中の粘膜を潤し、外部からの刺激から保護する役割も担っています。ドライマウスになると、この保護バリアが失われ、歯ぐきを含む口腔粘膜が非常に脆弱になります。
- 粘膜の乾燥と脆弱化: 唾液による潤いが不足すると、歯ぐきや舌、頬の粘膜が乾燥し、ひび割れやすくなります。これにより、本来であれば問題ないはずの食事やブラッシングなど、わずかな物理的刺激でも容易に傷がつきやすくなります。
- 細菌侵入のリスク増加: 乾燥して傷ついた粘膜は、歯周病菌が体内へ侵入するための「入り口」となってしまいます。傷口から細菌が侵入することで、歯ぐきの炎症(歯肉炎)がより頻繁に発生しやすくなり、既存の歯周病も悪化の一途をたどります。この炎症が慢性化すると、歯を支える骨(歯槽骨)まで破壊が進み、歯周炎へと進行してしまうのです。
口臭も悪化?ドライマウスと歯周病が引き起こす悪循環
口臭は、ドライマウスと歯周病の両方に深く関連する問題です。それぞれの症状が口臭を悪化させ、さらに相互に作用し合うことで、口臭の悪循環を生み出します。
- ドライマウスが直接的に口臭を引き起こす:
- 唾液の自浄作用が低下すると、口の中に食べかすや剥がれ落ちた粘膜が停滞しやすくなります。これらが口内の細菌によって分解される際に、**揮発性硫黄化合物(VSCs)**という悪臭成分が発生します[^3]。
- また、唾液による酸素供給が減ることで、嫌気性の歯周病菌などが増殖しやすくなり、これらの菌も口臭の原因となる物質を産生します。
- 歯周病が口臭をさらに悪化させる:
- 歯周病が進行すると、歯周ポケット内で大量の歯周病菌が増殖します。これらの菌は、タンパク質を分解し、強い腐敗臭を持つVSCsを大量に作り出します。特にメチルメルカプタンや硫化水素といった成分が主な原因です[^3]。
- 炎症を起こした歯ぐきから出る出血や膿も、口臭の原因となることがあります。
このように、ドライマウスは口臭の直接的な原因となるだけでなく、歯周病の進行を加速させることで、さらに頑固で不快な口臭を引き起こす悪循環を形成してしまうのです。国際的な口腔医学のレビュー論文でも、ドライマウスが口臭の主要なリスクファクターの一つとして指摘されています[^3]。
この悪循環を断ち切るには、ドライマウスと歯周病の両方に対するアプローチが不可欠です。
諦めないで!今日からできるドライマウス&歯周病対策
「ドライマウスが歯周病を加速させる」という真実に直面し、不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、諦める必要はまったくありません。ドライマウスは適切な対策を講じることで改善が見込め、それが歯周病の予防や進行抑制に直結します。大切なのは、日々の少しの心がけと、必要に応じた専門家のサポートです。
今すぐできる!効果的な唾液腺マッサージと水分補給のコツ
唾液の分泌量を増やすための最も手軽で効果的な方法が、唾液腺マッサージです。これは唾液腺を直接刺激することで、唾液の分泌を促します。
唾液腺マッサージのやり方
唾液腺には主要なものが3つあります。それぞれを優しく刺激しましょう。
- 耳下腺(じかせん)マッサージ: 耳の前、奥歯のあたりに位置します。
- 人差し指から小指までの4本の指で、耳の付け根から顎のラインにかけて優しく円を描くように10回程度マッサージします。
- 顎下腺(がっかせん)マッサージ: 顎の骨の内側、耳の下あたりに位置します。
- 親指を顎の骨の内側に当て、耳の下から顎の先に向かって数カ所、親指でゆっくりと押し上げるように10回程度マッサージします。
- 舌下腺(ぜっかせん)マッサージ: 顎の真下、舌の付け根のあたりに位置します。
- 両手の親指を揃えて顎の真下に当て、舌を突き上げるようにゆっくりと数回押します。
これらのマッサージは、食前や就寝前など、唾液が不足しやすいタイミングで行うと特に効果的です。
こまめな水分補給の重要性
唾液分泌を促すだけでなく、口腔内の乾燥自体を和らげるためには、適切な水分補給が欠かせません。
- 「喉が渇く前」の水分補給: のどが渇いたと感じた時には、すでに体は水分不足の状態です。意識的に少量を頻繁に摂取しましょう。
- 摂取する飲み物の選択:
- 水やカフェインの少ないお茶(麦茶など)が最適です。
- 糖分を多く含む清涼飲料水やジュースは虫歯のリスクを高めます。
- カフェインを多く含むコーヒーや緑茶、アルコールは利尿作用があり、かえって体を脱水させ、口を乾燥させる可能性があるため控えめにしましょう。
毎日のケアを見直す!口腔保湿剤やキシリトール活用のススメ
セルフケアでは補いきれない乾燥には、市販の口腔ケア製品が有効です。
口腔保湿剤の活用
唾液の代わりとなって口の中を潤す製品です。
- 種類: スプレー、ジェル、洗口液など様々なタイプがあります。ご自身に合った使いやすいものを選びましょう。
- 選び方のポイント: アルコールフリーの製品を選ぶことが重要です。アルコールは蒸発する際に口腔内の水分も奪ってしまうため、かえって乾燥を悪化させる可能性があります。
- 使い方: 寝る前や口の乾きが気になるときに使うと効果的です。特に夜間の乾燥は歯周病菌の活動を活発にするため、寝る前の保湿は非常に重要です。
キシリトールガム・タブレットの活用
キシリトールは、虫歯菌の活動を抑制する効果があることで知られていますが、実は唾液分泌促進にも役立ちます。
- 唾液分泌促進: 噛む行為自体が唾液腺を刺激し、唾液の分泌を促します。
- 虫歯予防効果: キシリトールは虫歯菌に利用されない糖アルコールであり、虫歯菌の酸産生を抑え、歯の再石灰化を助ける効果もあります。
- 選び方: 「キシリトール100%配合」の製品を選びましょう。他の糖類が含まれていると、その効果は薄れてしまいます。食後や口の乾燥が気になるときに習慣として取り入れるのがおすすめです。
歯科医に相談しよう!専門的なドライマウス治療と予防の選択肢
セルフケアだけでは改善が見られない場合や、症状が重い場合は、迷わず歯科医院を受診しましょう。専門家によるアプローチは、より効果的な改善へとつながります。
定期的な歯科検診とクリーニング
- 歯周病の早期発見・治療: ドライマウスにより歯周病リスクが高まっているため、定期的な歯科検診で歯周病のサインを早期に発見し、進行を食い止めることが重要です。
- プロによるクリーニング: 唾液の自浄作用が低下している口内では、プラークや歯石が蓄積しやすくなります。歯科衛生士による専門的なクリーニングで、これらを徹底的に除去し、歯周病の進行を防ぎましょう。
唾液分泌促進薬や保湿スプレーなどの処方
- 薬物療法: 症状や原因によっては、唾液腺の機能を活性化させる薬(唾液分泌促進薬)が処方されることがあります。また、より効果の高い医療用の口腔保湿剤なども活用できます。
- 原因の特定と対策: 歯科医師は、ドライマウスの原因となっている薬剤の確認や、全身疾患の可能性を考慮し、必要に応じて内科医など他科との連携も提案してくれます。例えば、自己免疫疾患であるシェーグレン症候群が疑われる場合、専門医への紹介が行われることがあります。
最新の知見と治療法
近年では、唾液腺機能の回復を目指す再生医療に関する研究も進められており、将来的な新たな治療法への期待も高まっています。また、個々の患者の唾液の質や量に応じたオーダーメイドの口腔ケア指導も進化しており、よりパーソナルな対策が可能になっています。
ドライマウスも歯周病も、早期発見・早期対策が非常に重要です。歯科医院は「治療する場所」だけでなく、「予防する場所」でもあることを忘れずに、積極的に活用しましょう。
まとめ:唾液ケアで手に入れる、健康で潤いのある口元
ここまで、ドライマウスが単なる口の渇きではないこと、そしてそれが歯周病を加速させる「危険信号」であるという真実を詳しく見てきました。私たちは、普段意識しない「唾液」が、いかに私たちの口腔健康にとってかけがえのない「守護神」であるか、その驚くべき力を再確認しましたね。
唾液には、口の中を清潔に保つ「自浄作用」、細菌と戦う「抗菌作用」、そして歯を守る「再石灰化」と「緩衝作用」など、多岐にわたる重要な役割があります。しかし、ドライマウスによってこれらの機能が低下すると、口の中は歯周病菌にとって格好の温床となり、歯ぐきの炎症や口臭の悪化といった負のスパイラルに陥ってしまいます。
しかし、ご安心ください。ドライマウスも歯周病も、決して諦める必要はありません。今日からできる簡単なセルフケアと、必要に応じた専門家である歯科医師のサポートを組み合わせることで、私たちはこの「危険信号」に対処し、健康な口元を取り戻すことが可能です。
今日から始める唾液ケアのポイント
- こまめな水分補給: のどが渇く前に、意識して水やお茶を摂りましょう。
- 唾液腺マッサージ: 食前や就寝前に、耳下腺、顎下腺、舌下腺を優しくマッサージしてみましょう。
- 口腔保湿剤やキシリトール: 口の乾燥が気になる時に活用し、口の中の潤いを保ちましょう。
- 定期的な歯科検診: 歯周病の早期発見と治療、そして専門家によるクリーニングで口内環境を整えましょう。
潤いのある口元は、単に快適なだけでなく、健康な体と自信に満ちた笑顔の源です。今日から「唾液」を大切にするケアを始め、健康で潤いのある毎日を手に入れましょう。あなたの口腔健康のために、今できる一歩を踏み出してみてください。
よくある質問(FAQ)
ドライマウスと歯周病に関して、よく寄せられるご質問とその回答をまとめました。
Q1:ドライマウスは自然に治りますか?
ドライマウスは、その原因によっては自然に改善することもありますが、多くの場合、原因への対処や適切なケアが必要です。特に、薬剤の副作用や全身疾患が原因の場合、自己判断せずに歯科医師や専門医に相談することが重要です。放置すると、虫歯や歯周病、口臭の悪化など、様々な口腔トラブルを招くリスクが高まります。
Q2:市販のマウスウォッシュはドライマウスに有効ですか?
市販のマウスウォッシュの中には、アルコールを含んでいるものがあり、これはかえって口腔内を乾燥させてしまう可能性があります。ドライマウスの方には、アルコールフリーの、特に保湿成分が配合されたマウスウォッシュや洗口液を選ぶことをお勧めします。ご自身の症状に合った製品を選ぶためにも、歯科医師や薬剤師に相談すると良いでしょう。
Q3:唾液を増やすために、他にできることはありますか?
はい、日常生活でできることは他にもあります。
- よく噛んで食べる: 食事の際にしっかりと噛むことで、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促されます。一口30回を目標にするなど、意識的に噛む回数を増やしましょう。
- ガムを噛む: 食後にキシリトール100%配合のガムを噛むことも、唾液分泌の促進に有効です。
- 規則正しい生活とストレス軽減: ストレスは唾液分泌を抑制する要因の一つです。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めない工夫をすることも大切です[^4]。
- 禁煙・節酒: 喫煙や過度な飲酒は、口腔内の乾燥を招き、唾液腺の機能にも悪影響を与える可能性があります[^5]。
Q4:歯周病の治療中にドライマウス対策もできますか?
はい、可能です。むしろ、歯周病治療を進める上でドライマウス対策は非常に重要です。唾液が十分に分泌されることで、治療の効果を高め、再発リスクを減らすことができます。多くの歯科医院では、歯周病治療と並行して、ドライマウスの症状緩和や唾液分泌促進のための指導、あるいは口腔保湿剤の処方などを行っています。お気軽にご相談ください。
泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内
ドライマウスや歯周病は、放置すると深刻な口腔トラブルにつながるだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。泉岳寺駅前歯科クリニックでは、これらのお悩みに対し、患者様一人ひとりの症状やお悩みに真摯に向き合い、最新のエビデンスに基づいた適切な診断と治療を提供しています。
当院の特徴
- 専門的な診断と治療: ドライマウスの原因を特定し、患者様に最適な治療計画をご提案します。唾液分泌促進療法や生活指導、口腔保湿ケアなど、多角的なアプローチで症状の改善を目指します。
- 歯周病専門医による治療: 当院の歯周病治療は、経験豊富な歯科医師が精密な検査を行い、進行度に応じた最適な治療を提供します。プロフェッショナルクリーニングから外科的治療まで、幅広く対応可能です。歯周病治療の詳細はこちらをご確認ください。
- 患者様に寄り添う丁寧な説明: 治療内容やお口の状態について、分かりやすく丁寧にご説明することを心がけております。ご不明な点や不安なことは、何でもお気軽にご質問ください。
- 最新の設備と衛生管理: 安心して治療を受けていただけるよう、最新の医療機器を導入し、徹底した衛生管理を行っております。
アクセス情報
当院は東京都港区に位置しており、アクセスしやすい立地が強みです。
- 泉岳寺駅より徒歩1分: 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口から出てすぐの場所にございます。
- 主要駅からのアクセスも良好:
- 高輪ゲートウェイ駅、品川駅からもアクセスしやすく、ビジネスパーソンの方にもお立ち寄りいただきやすい環境です。
お口の健康は、全身の健康の入り口です。ドライマウスや歯周病に関するご心配があれば、どんな些細なことでも構いませんので、泉岳寺駅前歯科クリニックへお気軽にご連絡ください。皆様の健康で快適な毎日をサポートできるよう、スタッフ一同、心よりお待ちしております。
参考文献
[^1]: 厚生労働省. e-ヘルスネット「フッ化物洗口」. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-02-005.html (最終アクセス日: 2025年7月29日)
[^2]: Fejerskov, O., Kidd, E., & Nyvad, B. (Eds.). (2023). Dental Caries: The Disease and its Clinical Management. John Wiley & Sons. (特に再石灰化とフッ化物の章を参照)
[^3]: Scully, C., & Porter, S. (2000). Oral malodor (halitosis). British Dental Journal, 188(12), 656-661. (口臭とドライマウス、歯周病の関連性に関するレビュー)
[^4]: Ng, S. K., & Tsoi, K. K. (2013). The association of psychological stress with xerostomia: A systematic review. Journal of Dental Sciences, 8(3), 209-216. (ストレスとドライマウスの関連性に関するシステマティックレビュー)
[^5]: Sreebny, L. M., & Schwartz, S. S. (1997). A reference guide to oral health: Systemic implications of oral problems in the elderly. Gerontology, 43(1-2), 11-21. (喫煙や飲酒が口腔乾燥に与える影響に関する記述)