歯科医院で歯周病の検査を受けた際、「これからお口の中の写真を撮りますね」と言われた経験はありませんか?
「一体、何のために写真を撮るんだろう?」
「記録のためだけに、わざわざ時間をかける必要があるのかな?」
そう疑問に思った方も多いかもしれません。
実は、この口腔内写真は、単なる記録ではありません。歯周病の診断や治療において、歯科医師と患者さんが同じ情報を共有するための、非常に重要なツールなのです。この記事では、なぜ歯科医師があなたの歯の写真を撮るのか、その理由と、写真が持つ役割について詳しく解説します。
初めて当院へご来院される方は、まずはこちらのページをご覧ください。(https://sengakuji-ekimae-dental.com/first/)
口腔内写真が担う!歯周病診断における3つの役割
口腔内写真は、歯周病治療を成功させるための羅針盤のような役割を果たします。具体的には、次の3つの重要な役割があります。
役割1:客観的な記録と患者さんとの情報共有
歯周病は、歯ぐきの色や腫れ、出血の状態など、見た目の変化が重要な診断基準になります。しかし、口の中は自分では正確に見ることが難しいため、歯科医師の言葉だけでは状態を把握しにくいものです。
ここで活躍するのが口腔内写真です。
口腔内写真を撮ることで、歯ぐきの状態や歯石の付着状況、さらには磨き残しや噛み合わせの状態を客観的なデータとして正確に記録できます。治療の前後で写真を比較することで、患者さんご自身の目で**「歯ぐきの赤みが引いて、引き締まってきた」**といった改善を実感できるのです。言葉だけでは伝わりにくい情報を、写真という共通言語で共有することで、治療への理解が深まります。
役割2:治療計画の策定と治療効果の比較
口腔内写真は、治療計画を立てる上でも不可欠です。
歯科医師は、撮影した写真を患者さんと一緒に見ながら、「この部分に特に歯石が溜まっているため、重点的にクリーニングが必要です」「この歯周病が進行しているため、治療の優先順位を上げましょう」といった具体的な説明を行います。これにより、患者さんは治療のゴールやプロセスを視覚的に理解でき、納得して治療に臨むことができます。
さらに、定期的に写真を撮り続けることで、治療効果が継続しているか、あるいは再発の兆候がないかを確認するのにも役立ちます。当院の歯周病治療について詳しくはこちらをご覧ください。(https://sengakuji-ekimae-dental.com/periodontitis-treatment/)
役割3:専門家間のスムーズな情報連携
歯周病治療は、インプラント治療や矯正歯科治療など、他の専門分野と連携して進める場合があります。そのような場合、口腔内写真は、歯科医師間で情報を共有する際の共通言語となります。言葉だけでは伝わりにくい細かな情報を写真で共有することで、治療方針にズレが生じることなく、よりスムーズな治療連携が可能になります。これは、セカンドオピニオンを求める際にも、非常に役立つ重要な役割です。
痛みは?時間は?口腔内写真撮影の流れとQ&A
口腔内写真が歯周病診断に不可欠なツールであることは分かりましたが、「撮影は痛くないの?」「どれくらい時間がかかるの?」といった不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。ここでは、そのような疑問にお答えします。
撮影は基本的に無痛。時間も数分で完了
口腔内写真の撮影は、歯科医師や歯科衛生士が、口の中専用の小さなカメラ(口腔内カメラ)を使って行います。撮影のために少し口を大きく開けたり、鏡のような器具(ミラー)を口に入れたりすることはありますが、基本的に痛みは伴いません。撮影にかかる時間も、全ての歯と歯ぐきを撮ったとしても数分で完了します。
当院では、患者さんの負担を最小限に抑えながら、**口腔内スキャナーiTero(アイテロ)**などの先進機器も活用し、診断に必要な高品質な写真を撮影しますので、ご安心ください。
よくある質問に回答します
- Q. 撮影した写真は、勝手に使われることはありますか?
- A. 撮影した写真は、あなたの個人情報として厳重に管理されます。治療目的以外で、無断で使用されることはありません。プライバシーに配慮した管理体制を整えているため、ご安心ください。
- Q. 撮影するたびに費用はかかりますか?
- A. 歯周病の診断に必要な口腔内写真撮影は、保険診療の範囲内で行われることが一般的です。
知っておきたい!口腔内写真がもたらす最大のメリット
口腔内写真は、単に歯周病を診断するためだけのツールではありません。実は、患者さんが治療を成功させる上で、非常に重要な役割を果たしているのです。ここでは、口腔内写真がもたらす最大のメリットを2つご紹介します。
患者さんのモチベーション向上に貢献
「歯ぐきの腫れが引きましたね」「出血もなくなって、とてもきれいになりました」
歯科医師からこのように言われても、鏡では自分の口の中を正確に見ることが難しく、治療効果を実感しにくいことがあります。しかし、口腔内写真があればどうでしょうか。
治療前と治療後の写真を比較することで、歯ぐきの変化や改善の様子をご自身の目で明確に確認できます。 この「見える化」された変化は、患者さんに治療への達成感をもたらし、「治療してよかった」「このきれいな状態を維持しよう」という気持ちを強くします。こうしたモチベーションの向上は、日々の歯磨きやセルフケアの質の向上につながり、歯周病の再発防止に大きく貢献します。
歯科医師との信頼関係を深める
口腔内写真は、歯科医師と患者さんの間のコミュニケーションを円滑にします。
歯科医師は写真を見せながら、「この写真を見ると、この部分に歯周病の原因となる歯石が溜まっているのが分かりますね。まずはここをきれいにしていきましょう」といったように、治療内容を具体的に説明できます。 視覚的な情報があることで、患者さんは治療の必要性や目的を深く理解でき、納得して治療に臨むことができるのです。
このように、治療の透明性が高まることで、歯科医師と患者さんの間に強い信頼関係が築かれ、より良い治療結果につながります。これは、多くの研究でも示されている重要なポイントです(参考文献1)。
まとめ:口腔内写真は「あなたの歯を守るための羅針盤」
「なぜ歯医者は歯の写真を撮るのだろう?」という疑問から始まったこの記事。その答えは、口腔内写真があなたの歯周病治療を成功に導くための、非常に重要な羅針盤だからです。
口腔内写真は、単なる記録ではありません。
- 客観的な記録と情報共有:ご自身の口の中の状態を、歯科医師とあなたが同じ目線で確認できます。
- 治療計画の可視化:治療のゴールやプロセスを視覚的に理解でき、納得して治療に臨めます。
- モチベーションの向上:治療前後の変化をご自身の目で確認することで、日々のケアへの意識が高まります。
- 専門家間の連携:他の専門医との情報共有がスムーズになり、より質の高い治療につながります。
歯周病は、自分の目で直接見ることが難しい病気です。だからこそ、口腔内写真は、ご自身の口の中の状態を正確に把握し、治療のゴールを共有するための羅針盤となります。もし、歯科医院で口腔内写真の撮影を勧められたら、それはあなたの歯の健康を守るための、前向きな一歩だと捉えてみてください。
当院のご案内:泉岳寺駅前歯科クリニック
東京都港区にある「泉岳寺駅前歯科クリニック」では、歯周病の精密な診断と治療に力を入れています。当院院長は日本歯周病学会認定医です。当院の院長紹介はこちら(https://sengakuji-ekimae-dental.com/clinic/)
高輪ゲートウェイ駅や品川駅からもアクセスが良く、泉岳寺駅A3出口からは徒歩1分と、非常に便利な立地です。「もしかして歯周病かも?」と感じたら、まずは一度、お気軽にご相談ください。丁寧なカウンセリングと精密な検査で、あなたの口腔内の状態を正確に把握し、最善の治療法をご提案します。
泉岳寺駅前歯科クリニック
参考文献
- Hujoel, P. P., et al. “Patient motivation and compliance.” Dental Clinics of North America, 2012;56(1):161-177.
- American Academy of Periodontology. “Clinical Practice Guideline for the Treatment of Periodontitis.” J Periodontol. 2021;92(4):e1-e40.
- 日本歯周病学会. “歯周病検査と診断基準.” 2022年版.