歯周病が進行するとどうなる?—なぜ、通常の治療では不十分なのか
歯ぐきの腫れや出血、歯みがき時の違和感…。もしかして、それは歯周病のサインかもしれません。軽度であれば歯のクリーニングや歯石除去で改善が見込めますが、進行するとそうはいきません。歯周病が重度になると、歯と歯ぐきの間の溝「歯周ポケット」が深くなり、通常の器具では届かない「隠れた場所」ができてしまいます。
この深いポケットの奥には、歯周病の原因となる細菌や硬くこびりついた歯石が潜んでいます。これらは歯周病をさらに悪化させる直接的な原因です。
歯周病が進行した状態を根本的に改善するために有効なのが、**フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)**という治療法です。歯周病についてより詳しく知りたい方は、当院の歯周病ページをご覧ください。
歯ぐきを切る?「フラップ手術」はどんな治療?
「歯ぐきを切る」と聞くと、誰しも不安に感じてしまうものです。しかし、フラップ手術は、歯周病を根本から治すために非常に有効な治療法であり、単に「切る」ことが目的ではありません。
手術の目的は「見て、確実に」取り除くこと
フラップ手術の最大の目的は、歯ぐきを一時的にめくり、歯の根や、歯を支えている骨の状態を直接目で確認することです。これにより、肉眼では見えなかった深い部分にこびりついた歯石や、細菌に侵された病的な組織を、一つ残らず徹底的に除去することが可能になります。ちょうど、壁の奥の配管を修理するために一度壁を剥がすようなイメージです。
メスを使うのは歯周病を根絶するため
手術にはメスを使用しますが、これは歯周病の病巣を正確に、そして最小限の負担で取り除くための重要なツールです。局所麻酔を用いるため、手術中の痛みはほとんどありません。
当院では、より精密な処置を可能にする歯科用マイクロスコープも活用しています。これにより、肉眼では見えない微細な部分まで確認しながら治療を進められるため、治療の精度が格段に向上します。当院の医療設備について詳しくはこちらをご覧ください。
手術のその先に—フラップ手術で何が変わる?
フラップ手術は、歯周病の進行を食い止めるだけではありません。手術を終えたその先に、患者さんの口腔環境を根本から改善し、より良い未来をもたらすことが期待できます。
術後の歯周ポケットの改善
フラップ手術で深い歯石や炎症組織を徹底的に除去することで、歯周ポケットの深さは劇的に改善されます。複数の臨床研究で、フラップ手術が歯周ポケットの深さを減少させ、歯ぐきの付着レベルを改善することが示されています[^1]。これにより、歯周ポケットの奥に細菌が潜むリスクが大幅に減少します。
歯みがきしやすい口腔環境へ
歯周病が進行すると、歯ぐきの炎症や出血のため、歯みがきが億劫になりがちです。しかし、フラップ手術で炎症の原因を取り除けば、歯ぐきの腫れが引き、引き締まった健康な状態に戻ります。これにより、歯ブラシが歯の根元までしっかりと届くようになり、効率的にプラークを除去できるようになります。これは、歯周病の再発を防ぐための重要なステップであり、ご自身の口腔ケアを「頑張る」のではなく「楽しく、効果的に」続けるための第一歩となるでしょう。
口臭も改善される理由
歯周病が進行すると、歯周病菌が硫化水素などのガスを発生させ、それが口臭の主な原因となります。フラップ手術によって、これらの原因菌が潜む病巣を根本的に除去することで、口臭の改善にもつながります[^2]。
施術後の安心—泉岳寺駅前歯科クリニックが提供するサポート体制
フラップ手術は、歯周病治療の重要なステップですが、それで終わりではありません。治療の成功を長期的に維持するためには、術後の適切なケアと継続的な管理が不可欠です。
手術後のダウンタイムと注意点
手術後は、個人差はあるものの、一時的に歯ぐきが腫れたり、軽い痛みを感じたりすることがあります。当院では、患者さんの状態に合わせて鎮痛剤を処方し、痛みを最小限に抑えるようにしています。
再発を防ぐための継続的なサポート
手術で歯周病の原因を根本から取り除いても、日々のセルフケアが不十分だと再発のリスクは高まります。当院は、治療がゴールではなく、健康な口腔内環境を維持するための「スタート」であると考えています。
- 定期的なメンテナンス: 歯周病の再発を防ぐため、術後は定期的なプロのクリーニングをおすすめしています。
- 個別指導: 患者さん一人ひとりの口腔状態に合わせた、効果的な歯みがき方法やデンタルフロスの使い方を丁寧に指導します。
フラップ手術に関するよくある質問(FAQ)
-
Q1. 手術は痛いですか?
- A1. 局所麻酔を使用するため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。
-
Q2. 手術にかかる時間はどれくらいですか?
- A2. 治療する範囲によって異なりますが、一般的には30分〜1時間程度です。
-
Q3. 手術後はすぐに食事できますか?
- A3. 手術当日は、麻酔が完全に切れてから、刺激の少ない柔らかいものを食べるようにしてください。
-
Q4. フラップ手術は保険診療ですか?
- A4. はい、歯周病の進行度合いなど一定の条件を満たせば、健康保険が適用される治療です。
泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内
当院は、東京都港区にあり、泉岳寺駅A3出口から徒歩1分という非常に便利な場所に位置しています。高輪ゲートウェイ駅や品川駅からもアクセスが良く、お仕事帰りや買い物のついでにもお立ち寄りいただけます。
歯周病治療やその他のお口のトラブルでお悩みの方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。
参考文献
[^1]:
Socransky, S. S., Haffajee, A. D., Goodson, J. M., & Lindhe, J. (1984). New concepts of destructive periodontal disease. Journal of Clinical Periodontology, 11(1), 21-32.
[^2]:
Suzuki, N., & Nakano, Y. (2012). Periodontopathic bacteria and halitosis: a review of the literature. Journal of Oral Science, 54(4), 265-271.