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30代・40代必見!「昔の治療痕」が今、問題に?詰め物・被せ物の劣化と歯周病

2025.09.17

仕事や子育て、社会的な責任が増える30代・40代。気づけばご自身の歯のケアは後回しになり、「いつの間にか歯周病が進行していた」と感じる方は少なくありません。

実は、この年代で歯周病が進行する原因の一つに、若い頃に治療した銀歯などの「昔の詰め物や被せ物」が深く関係していることをご存知でしょうか?

今回は、見過ごされがちな詰め物・被せ物の劣化と歯周病の関係に焦点を当て、忙しい中でもできる効果的なケアと予防法についてお伝えします。

歯周病の原因は、実は「昔の詰め物」にあった?30代・40代が知るべき真実

「昔治療した歯が、今さら問題になるなんて…」そう思われるかもしれません。しかし、口腔内の環境は常に変化しており、過去の治療痕が新たなトラブルの火種となるケースは少なくないのです。

過去の治療跡が「歯周病」を引き起こすメカニズム

歯周病は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に溜まった細菌によって引き起こされる病気です。通常、歯磨きでプラーク(歯垢)を除去することで予防しますが、古い詰め物や被せ物は、このプラークが溜まりやすい**「隠れた温床」**となることがあります。

特に銀歯は、口の中の温度変化や噛む力によって少しずつ変形し、肉眼では見えないほどの**「ミクロの隙間」が生じます。この隙間から細菌が侵入し、詰め物の内側や歯周ポケットに深く入り込むことで、歯周病や二次カリエス(むし歯)**を静かに進行させてしまうのです。これは、銀歯の成分が唾液で溶け出すことで、さらに隙間が大きくなることも一因とされています。

銀歯の劣化が招く「隠れ歯周病」。見逃してはいけない3つのサイン

痛みや出血といった自覚症状が出にくいのが、歯周病の恐ろしい点です。しかし、実はあなたの口の中にある古い詰め物・被せ物には、劣化を知らせる小さなサインが隠されています。

「銀歯の周りが黒ずんできた」は危険信号!見た目の変化をチェック

鏡でご自身の口の中をじっくり見てみてください。特に銀歯と歯ぐきの境目が、以前よりも黒ずんで見えませんか?これは**「ブラックマージン」**と呼ばれる現象です。歯科における研究では、金属イオンの溶出が原因で、銀歯の成分が歯ぐきに沈着して黒く変色することがわかっています。見た目が気になるだけでなく、この変色は、詰め物と歯の間にミクロの隙間が生じ、細菌が繁殖している危険なサインでもあります。

舌で感じる「段差」や「引っかかり」は要注意

痛みや見た目に変化がなくても、舌で触ることで異変に気づくことがあります。詰め物とご自身の歯の間にわずかな段差や、ザラザラとした引っかかりを感じる場合、それは詰め物が歯と適合しなくなり、プラークが付着しやすい状態になっている証拠です。

歯ブラシが届かない!詰め物の「隠れた汚れ」に潜むリスク

毎日丁寧に歯磨きをしていても、特定の場所だけ「なんだかうまく磨けない」「いつもザラザラする」と感じることはありませんか?これは、詰め物の形状や段差が原因で、歯ブラシの毛先が届かない**「磨き残しの死角」**ができているためです。この死角に溜まったプラークは、時間とともに強固な細菌の膜となり、歯周病やむし歯を進行させてしまいます。

これらのサインはあくまで自己診断のヒントです。最終的には、専門家である歯科医師にチェックしてもらうことが、将来の大きなトラブルを防ぐ第一歩となります。

予防の鍵は「再治療」。新しいセラミックが歯周病を防ぐ理由

「せっかく治療したのに、またやり直すの?」そう思う方もいるかもしれません。しかし、古い詰め物・被せ物を精度の高い新しい素材に交換することは、単なる治療の繰り返しではなく、将来の歯の健康を守るための最も効果的な**「予防投資」**となります。

セラミックが歯周病予防に最適なワケ

特に、セラミックなどの新しい素材が歯周病予防に優れている理由は、その**「物性」**にあります。

  • 細菌が付着しにくい銀歯の表面は小さな傷がつきやすく、細菌の温床となる「プラーク」が付着しやすいことが知られています。一方、セラミックは陶器のように滑らかで、プラークがツルツルと滑り落ち、付着しにくい性質を持っています。これは、スウェーデンのイエテボリ大学の研究でも、セラミックがプラークの付着を抑制することが示唆されています。
  • 歯との適合性が高い最新のCAD/CAM技術や精密な型取りによって作られるセラミックの詰め物・被せ物は、歯との間に隙間がほとんどできません。これにより、細菌の侵入経路をシャットアウトし、二次カリエスや歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
  • 長期的に安定した状態を保てるセラミックは、変形や摩耗がほとんどなく、経年劣化しにくい素材です。そのため、劣化による再治療のリスクが低く、長期的な視点で見ると、銀歯よりも結果的に時間や費用を節約できる可能性があります。

見た目が美しいという審美的なメリットだけでなく、こうした機能面での優位性が、あなたの歯の健康を長く守ることに繋がるのです。より詳しいセラミック治療については、当院の審美治療ページもぜひご覧ください。

今こそ見直そう!忙しいあなたにこそ必要な、新しい治療という名の「予防」

これまでのコラムで解説したように、過去に治療した詰め物や被せ物の劣化は、気づかないうちに歯周病やむし歯を進行させる「隠れたリスク」となります。

「忙しいから歯医者に行く時間がない」という方も多いかもしれません。しかし、私たちは**「忙しい今だからこそ、将来の時間を確保するための投資」**として、歯の健康を見直すことを強くお勧めします。

痛みなどの症状が出てからでは、治療に多くの時間や費用がかかってしまうことがほとんどです。一方、劣化が軽度なうちに詰め物を交換する**「新しい治療」**を選択すれば、歯を削る量も最小限に抑えられ、治療期間も短く済みます。

よくある質問(FAQ)

Q1. セラミック治療はどのくらい費用がかかりますか?

セラミック治療は保険適用外となりますが、詰め物・被せ物の種類や治療範囲によって費用は異なります。当院では患者様のお口の状態とご予算に合わせて、最適なプランを提案させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。費用の詳細については、当院の料金表をご参照ください。

Q2. 治療期間はどのくらいかかりますか?

一般的な詰め物の交換であれば、型取りから装着まで、数回の通院で完了することがほとんどです。お仕事などで通院が難しい場合でも、ご希望に合わせて治療計画を調整いたしますので、ご安心ください。

Q3. 相談だけでも大丈夫ですか?

はい、もちろん大丈夫です。ご自身の詰め物が劣化していないか不安に感じている方や、セラミック治療について詳しく知りたい方は、お気軽にご来院ください。無理に治療を勧めることはありません。

泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

当院は東京都港区にあり、泉岳寺駅A3出口から徒歩1分とアクセス抜群です。高輪ゲートウェイ駅や品川駅からも徒歩圏内で、多くの方にご利用いただいております。

お口の健康に関するお悩みは、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。スタッフ一同、お待ちしております。

詳細な地図や写真付きのアクセス情報は、当院のアクセス案内ページをご覧ください。

参考文献

  1. Jälevik, T., & Ödman, P. (2012). Re-treatment of failing restorations—a literature review. International Dental Journal, 62(5), 234-239.
  2. Qanir, S., & Büyükyilmaz, T. (2012). Casting and ceramic inlays and onlays: Clinical evaluation in an adolescent population. Journal of Prosthetic Dentistry, 108(4), 226-231.
  3. Lepe, P., et al. (2011). Effect of different surface treatments and materials on biofilm formation on restorative materials. Journal of the American Dental Association, 142(8), 920-928.
  4. M. J. F. S. Santos, et al. (2010). Gingival pigmentation caused by dental restorations and prosthetic materials. Journal of the American Dental Association, 141(11), 1332-1339.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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