column 歯周病

60代で急増する根面う蝕。歯周病で露出した歯の根の虫歯対策。

2025.10.15

「歯ぐきが下がってきた」と感じていませんか?

もしそうであれば、それは単なる加齢現象ではなく、「歯の寿命」に関わる大きな警告かもしれません。

特に60代になると急増する**根面う蝕(こんめんうしょく)は、歯周病によって露出した歯の根(象牙質)**にできる、非常に進行の早い虫歯です。痛みが出にくいため気づきにくく、放置すると大切な歯の連鎖的な喪失を引き起こします。

根面う蝕を防ぐ鍵は、歯周病の専門的な管理フッ化物を用いた根面の強化です。

歯ぐきの後退に気づいた今すぐ、泉岳寺駅前歯科クリニックの歯周病認定医による精密なリスク診断を受けましょう。そして、あなただけの**個別の予防プログラム(高濃度フッ素塗布・専門的クリーニング)**を開始することが、進行を食い止めるための最善策です。


根面う蝕とは? 60代の歯の根元に虫歯が急増する3つの理由

根面う蝕は、その名前の通り、歯の根元にできる虫歯です。この種の虫歯は、特に60代以上の方々にとって、歯を失う大きな原因の一つとなっています。まずは、なぜこの虫歯がこれほどまでに増加し、警戒すべきなのかを理解しましょう。

歯周病が引き起こす「根面う蝕」のメカニズム

歯は本来、硬いエナメル質に覆われた歯冠部と、歯ぐきや顎の骨の中に埋まっている歯根部から構成されています。通常、歯根部は歯ぐきに保護されていますが、歯周病や加齢によって歯ぐきが下がってしまう現象、すなわち歯肉退縮が起こると、歯根部が露出し始めます。

露出した歯根の表面は「象牙質」という組織でできています。この象牙質が虫歯菌の作り出す酸に侵されることで発症するのが根面う蝕です。統計的にも、60歳以上の約半数近くが歯周病による歯肉退縮を経験しており、これが根面う蝕の土壌となっています。

エナメル質とは大違い! 象牙質が持つ虫歯になりやすい特性

なぜ、歯の根元はこんなにも虫歯になりやすいのでしょうか?

それは、歯の根を構成する象牙質が、歯の頭部を覆うエナメル質とは根本的に性質が異なるためです。

  • 象牙質がエナメル質より脆い理由

    • ミネラル含有量の違い: 象牙質はミネラル含有量が約70%と少なく、エナメル質よりも軟らかく脆弱です。
    • 酸への抵抗力の違い: 象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、比較的酸性度が低い環境(pH 6.2~6.7程度)でも溶け始めます(脱灰)。(参考文献1, 2)

この特性により、露出した象牙質はひとたび虫歯菌の攻撃を受けると、エナメル質の虫歯よりも非常に速く進行してしまうのです。

唾液の減少(ドライマウス)が根面う蝕リスクを高める

60代以降の世代では、加齢や服用薬の影響などで唾液の分泌量が減少する傾向にあります。

この唾液の減少、いわゆる「ドライマウス」が、根面う蝕のリスクをさらに高めます。

  • 唾液が持つ防御機能の低下

    • 酸の中和作用(緩衝能): 食後の酸を中和して中性に戻す機能が弱まります。
    • 再石灰化の促進: 溶け始めた歯を修復する作用(再石灰化)に必要なミネラル供給が滞ります。

口腔内が酸性に傾きがちになり、特に脆弱な露出根面象牙質は虫歯菌の格好の標的となってしまうのです。


なぜ怖い? 根面う蝕の進行の速さと「歯の連鎖的な喪失」リスク

根面う蝕は、その進行のスピードと、発見の難しさが特徴です。特に60代の方々が歯を失う主な原因が、この「気づかれにくい、進行の速い虫歯」です。

根面う蝕の進行の特徴

露出した歯の根元はエナメル質よりも軟らかい象牙質でできているため、虫歯が深部に進行するスピードが速いことが知られています。

また、根元は歯の神経(歯髄)から距離があるため、初期から中期にかけて「しみる」「痛い」といった自覚症状がほとんど現れず、静かに進行して重症化しやすい特性があります。

放置するリスクが招く「歯の連鎖的な喪失」

根面う蝕を放置し重症化させた場合、抜歯に至るだけでなく、その影響は一本の歯に留まりません。

根面う蝕が引き起こす重篤な結果

    1. 歯の破折(折れる): 虫歯の進行で内部構造が大きく失われると、噛む力に耐えきれず、歯の根が折れてしまう(破折)リスクが高まります。
    2. 抜歯の危機: 虫歯が神経まで到達すると、再治療が困難となり、最終的に抜歯せざるを得なくなります。
    3. 噛み合わせの崩壊: 抜歯によって空いたスペースを放置すると、残りの歯が傾き、噛み合わせのバランスが崩れ、連鎖的に歯を失う状態(歯のドミノ倒し)へと陥ります。

この**歯のドミノ倒しを防ぐための具体的な対策**は、早期発見と専門的な管理が不可欠です。

泉岳寺駅前歯科クリニックの専門的な根面う蝕対策

根面う蝕対策の要は、その最大の原因である歯周病を徹底的に管理すること、そして脆弱な象牙質を外部の攻撃から守ることです。

当院では、院長が**日本歯周病学会認定医**の資格を有しており、その専門的な知識と技術を活かして、進行を食い止めるための効果的な予防プログラムをご提供しています。

「歯周病・根面う蝕」の精密なリスク診断

まず、患者様のお口の状態を細かく把握するための精密な診断を行います。単に虫歯の有無を確認するだけでなく、根面う蝕のリスクを総合的に評価します。

  • 包括的なリスク評価項目

    • 歯肉退縮の程度、歯周ポケットの深さなど、歯周病の進行度。
    • 根面にプラークが溜まりやすい箇所の特定。

この精密な診断に基づき、60代以降の患者様一人ひとりに合わせた、オーダーメイドの予防計画を立案します。

進行を止めるカギ! フッ化物を用いた象牙質の徹底強化

根面う蝕の進行を食い止める最も効果的な方法の一つが、フッ化物(フッ素)の専門的な応用です。

フッ素は、脆弱な露出象牙質再石灰化を強力に促進し、歯の構造を酸に溶けにくい安定した構造へと変化させる力を持っています。(参考文献3)

  • クリニックで提供するフッ素応用

    • 高濃度フッ素の塗布: 歯科クリニックでのみ使用できる高濃度のフッ素を、特にリスクの高い露出根面に集中的に塗布し、象牙質の抵抗力を格段に向上させます。

プロによるクリーニングで根面にプラークを寄せ付けない

根面う蝕はプラークの付着が原因です。当院では、専門機器を用いる**PMTC(プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング)**を徹底しています。

  • PMTCのメリット

    • 根面徹底清掃: 歯周ポケットの奥深くや、複雑な形状の根面に付着した歯石やプラークを徹底的に除去します。
    • 再発予防: 根面を滑沢に磨き上げることで、プラークが再び付着しにくい環境を整えます。

この専門的なクリーニングは、予防・メンテナンス の要であり、根面う蝕と歯周病の両方の再発を防ぎます。


今すぐ始めるべき! 根面う蝕を防ぐためのセルフケアとプロケアの連携

根面う蝕対策は、日々のセルフケアの質にかかっています。デリケートになった歯の根元を守るためには、**「正しい磨き方」「フッ素の継続的な活用」**が不可欠です。

歯ぐきを傷つけない「根面用ブラッシング」の個別指導

歯ぐきが下がっている状態で強い力で横磨きを続けると、デリケートな象牙質を削ってしまう「楔状欠損」や、根面う蝕のリスクを高めかねません。

泉岳寺駅前歯科クリニックでは、患者様の状態に合わせた個別ブラッシング指導を行っています。

  • 露出根面を守るブラッシングのポイント

    • 力のコントロール: 軽い力で磨くことを徹底する。
    • 歯ブラシの角度: 歯と歯ぐきの境目(根面)に毛先を適切に当て、優しく細かく動かすテクニックを習得する。

家庭でできるフッ素ケアの活用と継続の重要性

クリニックでの高濃度フッ素塗布の効果を持続させ、再石灰化を促すために、ご家庭でのフッ素ケアを習慣化することが極めて重要です。

  • 毎日続けるフッ素ケアのすすめ

    • フッ素高濃度歯磨き粉の使用: 1450ppmなどの高濃度フッ素が含まれた歯磨き粉を適切に使い、フッ素の滞留時間を確保します。(参考文献4)
    • フッ素洗口液の活用: 就寝前など、口腔内が乾燥しやすい時間帯に活用することで、象牙質の防御力を高めます。

根面う蝕の予防は、当院のプロフェッショナルケアと、ご自宅での質の高いフッ素ケアを**連携**させ、生涯にわたって継続することが重要です。


まとめ

60代以降に急増する根面う蝕は、歯周病によって露出した象牙質に発生する、進行が速く、自覚症状が出にくい厄介な虫歯です。これを防ぐためには、「フッ化物による象牙質の強化」と「歯周病の専門的な管理」が不可欠です。

泉岳寺駅前歯科クリニックは、歯周病認定医による専門知識と技術に基づき、患者様一人ひとりのリスクに応じた予防・メンテナンスをご提供しております。

歯ぐきの後退や、歯の根元の変色に不安を感じた方は、手遅れになる前にぜひ一度ご相談ください。


よくあるご質問(FAQ)

根面う蝕は保険診療で治療できますか?

A. はい、一般的な根面う蝕の治療(削って詰め物をするなど)は保険適用内で可能です。しかし、見た目や耐久性を重視した審美性の高い治療(セラミックなど)は、保険適用外となることがあります。また、予防のための高濃度フッ素塗布は、自費診療となることが一般的です。詳細はお気軽にお問い合わせください。

歯ぐきが下がってしまったのは、強すぎる歯磨きが原因でしょうか?

A. 強すぎる歯磨き(ブラッシング圧が強すぎるなど)も、歯ぐきが下がる(歯肉退縮)原因の一つです。特に、歯ぐきが下がった状態で強い横磨きを続けると、歯の根元が削れてしまう「楔状欠損」を引き起こし、根面う蝕のリスクを高めます。当院では、患者様のお口の状態に合わせた正しいブラッシング方法を個別指導いたします。

根面う蝕の予防のために、自分でできることは何ですか?

A. 根面う蝕の予防には、セルフケアとプロケアの連携が不可欠です。ご自宅では、フッ素配合の歯磨き粉の使用や、歯間ブラシを使った根元のプラーク除去を徹底し、定期的な歯科検診(3ヶ月〜6ヶ月ごと) を必ず受診してください。


泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

当院は、根面う蝕の原因となる歯周病の専門的な治療と予防に力を入れている歯科クリニックです。院長は日本歯周病学会認定医であり、専門的な知識に基づいた質の高い治療とメンテナンスをご提供しております。

医院情報とアクセス

項目 詳細
医院名 泉岳寺駅前歯科クリニック
所在地 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
アクセス 都営浅草線・京急線 泉岳寺駅 A3出口より徒歩1分
近隣駅 JR 高輪ゲートウェイ駅より徒歩7分、JR・都営三田線 三田駅より徒歩10分。品川駅からもアクセス良好です。

ご予約は、お電話(03-6722-6741)またはウェブ予約から承っております。


参考文献

  1. 日本歯科保存学会. う蝕治療ガイドライン.
  2. 日本老年歯科医学会. 高齢者の口腔ケアとリスク管理に関する見解.
  3. 日本口腔衛生学会. フッ化物応用のう蝕予防効果に関する論文.
  4. 厚生労働省. 「フッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法に関する検討会」報告書.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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