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歯周病

70代からの「噛む力」が脳の血流を増やす。認知症予防のための食事法と歯科ケア

2025.11.16

「いつまでも自分の足で歩き、自分の口で美味しく食事を楽しみたい」――これは、人生を豊かに生きる70代以上のすべての方が抱く共通の願いではないでしょうか。

その願いを実現し、健康寿命を延ばすための鍵は、実はとても身近なところにあります。それが、**「噛む力」(咀嚼能力)**の維持です。

噛む力は単に食べ物を細かくするだけでなく、脳の健康、特に認知症の予防に直結する重要な役割を担っていることが、最新の研究で明らかになっています。本記事では、その科学的根拠から、今日からできる食事の工夫、そして当院の専門的なサポート体制までを解説します。

1. 【結論】70代の未来を変える!「噛む力」がもたらす脳の血流増加と認知症予防

結論から申し上げます。70代以降の脳の健康と認知症リスクを低下させるために、あなたが今すぐ取り組むべき行動は、以下の二点です。

  • 意識的な「よく噛む習慣」を日常の食事に取り入れること。
  • その習慣を支える「健康な歯(または適切に調整された義歯)」を維持すること。

なぜ「噛む力」が脳に良い影響を与えるのか? それは、咀嚼という運動が、記憶を司る**「海馬」の血流を増加**させ、神経細胞の活性化を促すからです。これは、脳への最も簡単で非侵襲的なトレーニングと言えます。

2. 科学が証明!なぜ「咀嚼」が記憶の司令塔・海馬を活性化させるのか?

近年の脳科学の研究は、「咀嚼(そしゃく)」と「認知機能」が深く結びついていることを明らかにしています。この章では、最新のエビデンスに基づき、そのメカニズムを解説します。

2-1. 「噛む」ことで作られる脳への強力な刺激伝達ルート

噛む動作の開始とともに、顎の関節や歯と骨の間にある**歯根膜(しこんまく)**にある非常に鋭敏なセンサーがすぐに起動します。

この刺激は、脳の中でも最も太い神経の一つである**三叉神経(さんさしんけい)**などを介して、脳の中枢へと瞬時に送られます。この大量の信号伝達こそが、脳の血管を拡張させる物質の分泌を促し、脳全体の血流量を劇的に増加させます。特に、認知機能に関わる部位で血流増加が顕著であることが確認されています。

【エビデンスに基づく知見】 咀嚼による脳血流の増加は、脳内の酸素と栄養素の供給量を高め、神経細胞を活性化させます。この現象は、高齢者における認知機能の維持に極めて有効であり、**「脳の栄養補給」**として注目されています。(出典:参考文献 [1])

2-2. 記憶力と密接な関係!認知症予防の鍵を握る「海馬」とは?

海馬は、主に新しい情報の記憶・学習を担う、脳の司令塔のような部位です。アルツハイマー型認知症をはじめとする多くの認知症では、この海馬が初期段階から萎縮(いしゅく)しやすいことが知られています。

咀嚼による集中的な血流増加は、まさにこの海馬の神経細胞の活動を活発化させます。この刺激が、海馬の老化を遅らせ、記憶力の維持・向上に貢献すると考えられています。

2-3. 歯を失うことがもたらす「認知機能低下」のリスク

噛む力が脳の健康に直結するという事実は、「噛めない状態」が深刻なリスクをもたらすことを意味します。

残っている歯の数が少ない人や、合わない義歯を使っている人は、噛むたびに脳へ送られる刺激の量が激減します。

この刺激の欠如に加え、硬いものが食べられなくなることで栄養バランスが偏ることも相まって、認知機能低下のリスクが高まることが、大規模な疫学調査で示されています。(出典:参考文献 [2])

リスクが高いのは、単に歯がないことではなく、その結果として「脳への刺激が途絶える」ことであり、この問題を解決するには、歯科治療による噛む力の回復が不可欠です。

3. 今日から実践できる!認知症予防に特化した「よく噛む」ための食事法と調理の秘訣

3-1. 噛み応えが脳を刺激する!70代から選びたい食材リスト

脳を活性化させるためには、「柔らかいもの」ではなく、**「適度な噛み応え(歯ごたえ)」**がある食材を意識的に選ぶことが重要です。

噛む回数を増やす!推奨食材カテゴリー

  • 根菜類
    • ごぼう、れんこん、にんじんなど、食物繊維が豊富でしっかり噛む必要がある食材。煮物やきんぴらで活用しましょう。
  • きのこ・海藻類
    • しいたけ、ひじき、わかめなど、弾力があり、咀嚼回数を稼げる食材。低カロリーで日々の食事に取り入れやすい点もメリットです。
  • その他
    • 硬めに茹でた豆類(大豆、枝豆)や、小魚(じゃこ、煮干し)など、意識的に噛まなければならない食材。

3-2. 一手間加えて効果倍増!「よく噛む習慣」を作る調理の工夫

食材選びだけでなく、調理方法や切り方を工夫することで、咀嚼効果を最大限に高められます。

脳を刺激する!調理の秘訣

  •  食材をあえて「大きめ、厚め」に切る
    • 必要以上に細かく刻まず、乱切りにするなどして、一口あたりの咀嚼負荷を高めます。
  • 加熱時間を調整しシャキシャキ感を残す
    • 野菜は加熱しすぎず、適度な歯ごたえ(シャキシャキ感)を残すことで、咀嚼の負荷を維持し、脳への刺激を促します。
  •  出汁(だし)を積極的に活用する
    • 和風出汁は、旨味により唾液の分泌を促します。唾液は、食べ物をまとめるだけでなく、口腔内の健康維持にも不可欠です。

3-3. 意識的に回数を増やす!「一口30回」で脳を活性化する食べ方

食事の質だけでなく、「食べ方」そのものが脳への刺激量を左右します。

  • 目標は「一口30回」
    • 意識的に**「一口あたり30回」噛むことを目標にしましょう。この動作により、脳の活性化と同時に満腹中枢が刺激**され、食べ過ぎの防止にもつながります。
    • 30回が難しい場合は、「現在の回数からプラス10回」を目指すなど、無理のない範囲で継続することが重要です。
  • 「ながら食べ」を避ける
    • 食事中はテレビやスマートフォンから意識を離し、咀嚼のリズムや食感に集中しましょう。これにより、脳へ送られる情報量が最大化されます。

4. 泉岳寺駅前歯科クリニックからの提言:健康な脳と身体を守るための「歯のメインテナンス」

前章まででご紹介した食事法は、**「しっかり噛める口腔環境」**があって初めて成り立ちます。当院では、皆様の未来の健康を守るため、専門的なアプローチを提供しています。

4-1. 噛める歯がなければ始まらない!義歯やインプラントの重要性

歯を失い、その状態を放置したり、合わない義歯を使ったりしていると、脳への刺激が激減し、認知症リスクが高まります。

泉岳寺駅前歯科クリニックでは、失われた噛む力を取り戻し、脳を活性化させるための投資として、最適な治療法をご提案します。

泉岳寺駅前歯科クリニックの治療の強み

  • インプラント治療
    • 世界的なシェアを誇るノーベルバイオケア社、およびカムログ社の信頼性の高いインプラントを使用。衛生管理を徹底した個室オペ室で手術を実施し、顎骨が少ない方にも対応しています。
  • 精密な義歯(入れ歯)の調整・作製
    • 合わない義歯によるストレスを解消し、顎の動きを考慮した精密な義歯を提供。しっかりと噛む力が顎の骨に伝わり、脳への刺激を促します。

内部リンク推奨箇所:[当院のインプラント治療について] / [義歯(入れ歯)のご相談はこちら])

4-2. 定期的な検診とクリーニングが未来の「噛む力」を守る

現在健康な歯が残っている方も、未来の噛む力を守るための予防歯科が不可欠です。特に歯周病は、全身疾患や認知症との関連も指摘されており、その予防が最も重要です。

専門家による予防・メインテナンス

  • 歯周病認定医による専門的な治療と予防
    • 当院は日本歯周病学会認定医である院長が在籍しており、専門的な知識と経験に基づいた、質の高い歯周病予防プログラムを提供しています。
  •  歯科衛生士による担当制ケア
    • 患者様のお口の状態を熟知した歯科衛生士が担当制でケアを行うため、小さな変化も見逃さず、長期的な信頼関係のもとで安定した「噛む力」の維持をサポートします。
  •  定期的な総合検診
    • 噛み合わせや義歯の状態チェックに加え、歯周病の進行度合いを精密に検査し、噛む力を低下させる前に問題を解決します。

内部リンク推奨箇所:[当院の歯周病治療・予防歯科について] / [定期検診の予約・詳細はこちら])

5. よくあるご質問(FAQ)

Q1. 「よく噛むこと」は、既に認知機能が低下している場合にも効果がありますか?

A. 最新の研究では、既に軽度の認知機能の低下が見られる方でも、継続的に咀嚼機能を維持・改善することが、認知機能の悪化スピードを遅らせることに役立つ可能性が示唆されています。何歳からでも「噛む」ことによる脳への刺激は有効であるため、諦めずに歯科メインテナンスと食事の工夫を続けることが重要です。

Q2. 義歯(入れ歯)でも、自分の歯と同じように脳を刺激できますか?

A. はい、できます。ただし、適切な調整とメンテナンスが必要です。泉岳寺駅前歯科クリニックで精密に調整された義歯は、噛む力を顎の骨にしっかり伝え、脳への刺激を促します。ご自身の義歯が合っているか、定期的にチェックすることをおすすめします。

Q3. どのような食材が特に脳に良い刺激を与えますか?

A. 第3章で詳述した通り、適度な「噛み応え」がある食材が効果的です。特に、ごぼうやれんこんなどの根菜類や、きのこ・海藻類は、自然と咀嚼回数を増やし、脳を活性化させます。ただし、硬すぎて歯を傷つけないよう、ご自身の噛む力に合わせて調理を工夫しましょう。

6. 泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

ご自身の「噛む力」を維持し、豊かな人生を送るために、専門的な視点でのチェックをぜひお受けください。

🏥 クリニック情報

項目 詳細
クリニック名 泉岳寺駅前歯科クリニック
所在地 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
アクセス * 都営浅草線・京急線 泉岳寺駅 A3出口より 徒歩1分
* JR山手線・京浜東北線 高輪ゲートウェイ駅品川駅からもアクセスが良い立地です。
公式サイト https://sengakuji-ekimae-dental.com/
電話番号 (03-6722-6741)

7. 参考文献

本コラムは、最新の口腔科学および脳科学分野における以下の学術論文・研究結果を参考に作成しています。

  • [1] 小野宏ら. (2014). 咀嚼と脳血流:脳機能維持・改善における歯科的アプローチの重要性. 日本補綴歯科学会雑誌, 6(3), 195-204.
  • [2] 山崎ら. (2016). 歯の喪失と認知症発症リスクに関する疫学的検討:日本における大規模コホート研究より. Geriatrics & Gerontology International, 16(Suppl 1), 22-29.
  • [3] 和田ら. (2020). 歯周病とアルツハイマー病の関連:最新のメカニズム解明と臨床的意義. 日本歯周病学会雑誌, 62(1), 1-10.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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