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歯周病

60代の「黒ずんだ歯茎」は要注意!重度歯周炎が引き起こす血液滞留と治療法

2025.12.09

💡 要約と結論(記事冒頭)

60代で歯茎が黒ずんでいる場合、単なる加齢や喫煙の影響だと放置していませんか?

鏡を見て気になるその暗い色は、歯を支える骨まで溶かす**「重度歯周炎」が進行し、歯茎の中で「血液の滞留(うっ血)」**が起きているサインかもしれません。この状態を放置すると、大切な歯を失うリスクが高まります。

本記事では、60代の歯茎が黒ずむメカニズムと、その根本原因である重度歯周炎を解消し、健康なピンク色の歯茎を取り戻すための具体的な治療法について、泉岳寺駅前歯科クリニックが専門的に解説します。

🩸 60代の歯茎の黒ずみは危険信号!3つの主要な原因と「要注意」なサイン

健康な歯茎の色とは?知っておくべき3つの変色原因

健康な歯茎は、薄いピンク色で引き締まっている状態が理想とされています。歯茎の黒ずみ(メラニン沈着や暗赤色への変色)を引き起こす主な原因は、大きく分けて以下の3つです。

原因 分類 特徴と状態 危険度
1. メラニン色素沈着 生理的・遺伝的 生まれつきや遺伝によるメラニンの過剰沈着。
2. 喫煙による沈着 習慣性 タバコの有害物質がメラニン生成を活性化させ黒ずむ。 低〜中
3. 炎症による血液滞留 病因性(要注意) 歯周病による慢性炎症で血管がうっ血し、暗赤色や紫色に変色。

特に危険なサイン:歯周病による「炎症性の黒ずみ」に注意

私たちがこのコラムで特に警鐘を鳴らしたいのは、上記の3. 炎症による血液滞留が原因で生じる黒ずみです。

この色の変化は、歯茎の奥で血液が停滞している**「うっ血」**状態にあることを示しており、進行した重度歯周炎の証拠である可能性が極めて高いです。この黒ずみは「歯を支える骨が溶け始めている」サインであり、放置すると歯が抜け落ちるリスクが高まります。

なぜ60代は歯茎の黒ずみが進行しやすいのか?

  1. 長期的な炎症の慢性化: 60代は長年の習慣病の影響で、歯周病が重度に進行しているケースが多く、炎症が慢性化しやすい傾向にあります。
  2. 血液滞留への移行: 慢性的な炎症によって血管が常にダメージを受け、一時的な充血ではなく恒常的な「血液滞留」につながりやすくなります。
  3. 全身疾患との関連: 糖尿病などの全身疾患は歯周病を悪化させ、炎症を加速させることも、黒ずみの進行に拍車をかけます。

🧐 なぜ重度歯周炎で歯茎が黒く変色するのか?血液滞留(うっ血)のメカニズム

「重度歯周炎(歯槽膿漏)」とは?黒ずみを生む進行段階

歯周病は、その進行度によって軽度、中等度、重度に分類されます。歯茎の黒ずみ(血液滞留性)が起きている状態は、歯槽骨が半分以上溶けてしまい、歯のぐらつきや排膿(膿が出る)といった症状が顕著に現れる**「重度歯周炎(歯槽膿漏)」**の段階に至っていることを示唆します。

歯周病が血管を損傷!「血液滞留(うっ血)」が発生するメカニズム

歯周病菌が生み出す毒素と、これに対抗する体の慢性的な炎症反応が、歯茎の毛細血管に深刻なダメージを与えます。

  1. 血管の損傷と血流の阻害: 長期にわたる炎症により、歯茎内の微細な毛細血管は損傷し、血流がスムーズに流れなくなります。
  2. うっ血の発生: 血液が停滞し、局所的に**「うっ血(滞留)」**状態に陥ります。

酸素の少ない「静脈血の色」が黒ずみの正体

うっ血した部位で停滞している血液は、体の組織に酸素を渡し終えた後の**「静脈血」**が多く含まれています。酸素が少ない静脈血は、暗い赤色や青みがかった紫色を呈します。

この暗い色の血液が、炎症で薄くなった歯茎の組織を透過して見えることが、歯茎が黒ずんでいるように見える現象の正体です。つまり、黒ずみは**「血流が停滞し、酸素が不足している」**という深刻なメッセージなのです。

学術的知見: 近年の研究により、歯周病の慢性炎症は全身の血管内皮機能障害を引き起こすことが示されており、これは歯茎のうっ血や全身の血管疾患リスクとも関連しています。(引用文献 [1]

🏥 健康なピンク色を取り戻す!黒ずみの原因別・専門的な治療法

【最優先】血液滞留を解消する「重度歯周炎」の徹底治療

黒ずみの原因が血液滞留によるものである場合、炎症の根本原因である重度歯周炎の徹底的な治療が最優先です。炎症が治まれば、血流が改善し、自然と健康なピンク色へと回復に向かいます。

H4 非外科的治療:徹底的な感染源の除去(SRP)

歯周ポケット内の奥深くに付着した**歯石や細菌の塊(バイオフィルム)を、専門器具を用いて徹底的に除去するルートプレーニング(SRP)**などの非外科的処置を行います。

外科的処置も検討:進行した歯周炎における根本的な清掃

非外科的治療だけでは到達が困難なほど進行した症例では、歯周外科手術が検討されます。

  • フラップ手術: 歯茎を切開して剥離し、直視下で感染源を徹底的に清掃し、血液滞留の原因を根本から断ちます。

喫煙などによる黒ずみには「メラニン除去治療(ガムピーリング)」

炎症ではなく、喫煙や遺伝的なメラニン色素沈着が原因の場合は、見た目を改善するための治療が行われます。

  • ガムピーリング: 医療用レーザーなどを用いて、歯茎の表面の色素沈着した層を除去する処置です。
  • 注意点: ただし、これは美容的な治療であり、歯周炎による黒ずみを治す治療ではないため、歯周病が原因の場合は必ず先に歯周病治療が必要です。

✨ 【泉岳寺駅前歯科クリニック】重度歯周炎による血液滞留を解消する治療アプローチ

泉岳寺駅前歯科クリニックでは、日本歯周病学会認定医である院長を中心に、重度歯周炎による血液滞留を解消するための専門的な治療を提供しています。

精密な検査による原因特定とオーダーメイドの治療計画

私たちの治療の出発点は、黒ずみの原因を正確に突き止めるための精密な診断です。

  1. 検査体制: 歯科用CTマイクロスコープなどの最新機器を活用し、骨の状態や感染源を詳細に把握します。
  2. オーダーメイド: 検査結果に基づき、患者様お一人おひとりの病態に応じたオーダーメイドの治療計画を立案します。

徹底的な感染源の除去と組織再生への取り組み

  • 感染源の確実な除去: 非外科的治療や、必要に応じて歯周外科手術を駆使し、血液滞留を引き起こす原因となっている感染源を根絶します。
  • 最新の組織再生療法: 骨の吸収が大きい場合、歯周組織再生療法(例:EMDを用いた治療など)の適用を積極的に検討します。これは、失われた歯槽骨の再生を促し、歯の長期的な安定を目指す最新の治療です。(引用文献 [2]
  • 期待できる効果: 炎症の解消、血液滞留の改善、そして健康的で引き締まったピンク色の歯茎への回復を目指します。

🛡️ 治療後の美しさを維持するために:今日から始める予防とセルフケア

治療効果を長持ちさせるための「正しいブラッシング習慣」

治療後の健康な状態を維持するには、毎日の正しいブラッシング習慣の確立が不可欠です。

  • プラークコントロールの徹底: 歯周ポケットの入り口までしっかりとプラークを除去することが求められます。
  • 補助清掃器具の活用: 歯周病予防には、歯ブラシに加え、歯と歯の間を清掃するデンタルフロスや歯間ブラシの併用が必須です。

歯周病再発を防ぐ「定期的なプロフェッショナルケア」の重要性

治療後の管理は、担当歯科衛生士による専門的なサポートが鍵となります。

  • 担当衛生士制のメリット: 泉岳寺駅前歯科クリニックでは、歯科衛生士を担当制にすることで、患者様のお口の状態を長期的に把握し、症状の変化に応じた適切なケアを継続的に行います。
  • PMTCと定期検査: 専門家によるPMTCで、自分では取りきれないバイオフィルムを除去し、定期的な歯周組織検査で再発を早期に発見します。

黒ずみを再発させないための「禁煙」の徹底

喫煙は、歯周病の最大のリスクファクターであり、血管を収縮させ治療の治癒を遅らせるほか、黒ずみ(メラニン沈着)を再発させる原因にもなります。健康な歯茎の色と機能を維持するため、禁煙は最も重要なセルフケアの一つです。

✅ 歯茎の黒ずみを放置しないで!精密検査と治療で健康を取り戻しましょう

60代の歯茎の黒ずみは、単なる老化ではなく、重度歯周炎による血液滞留という深刻な病気のサインです。放置することは、歯の喪失、咀嚼機能の低下、全身の健康悪化につながります。

健康なピンク色の歯茎と、安定した口腔環境を取り戻すためには、まず専門家の診断を受けることが最も重要です。

❓ よくあるご質問(FAQ)

H3 Q1. 歯茎の黒ずみは、歯周病治療だけで本当にピンク色に戻りますか?

A. 黒ずみの原因が重度歯周炎による血液滞留(うっ血)である場合、炎症を完全に抑えることで血流が改善し、健康なピンク色に戻る可能性は極めて高いです。メラニン沈着の場合は、メラニン除去のためのガムピーリングが必要になります。

H3 Q2. 治療にはどれくらいの期間と費用がかかりますか?

A. 進行度により異なり、重度の場合は外科的処置や再生療法が必要となるため、半年から1年程度の期間を要することがあります。詳細な期間と費用は、初診時の精密検査を行った上でご説明いたします。

H3 Q3. 60代でなくても、歯茎の黒ずみが血液滞留のサインであることはありますか?

A. はい、あります。年齢に関係なく重度歯周炎が進行しているサインです。出血や排膿、歯のグラつきを伴う場合は、すぐに歯科医院にご相談ください。

📍 泉岳寺駅前歯科クリニック アクセス情報

歯茎の黒ずみや歯周病に関するお悩みは、東京都港区の泉岳寺駅前歯科クリニックへご相談ください。

項目 詳細
クリニック名 泉岳寺駅前歯科クリニック
所在地 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
最寄駅 都営浅草線・京急線 泉岳寺駅 A3出口より徒歩1分
アクセス JR高輪ゲートウェイ駅、JR品川駅からもアクセスが良い立地です。
Webサイト https://sengakuji-ekimae-dental.com/

重度歯周炎は早期発見・早期治療が鍵です。お気軽にご予約ください。

📚 参考文献

[1] Preshaw, P. M. et al. (2018). Periodontitis and diabetes: a narrative review. Journal of Clinical Periodontology, 45(Suppl 20), S107-S120. (歯周病と全身疾患、特に血管機能障害との関連についての知見を参照)

[2] Needleman, I. et al. (2015). Guided tissue regeneration for periodontal infra-bony defects. Cochrane Database of Systematic Reviews, (12), CD001724. (歯周組織再生療法の有効性を示すシステマティックレビューを参照)

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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