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歯周病

誤嚥性肺炎予防の鍵はコレ!70代のための「歯ブラシ以外」で歯周病菌を減らす5つの習慣

2025.12.29

「最近、食事中にむせることが増えた」「いつまでも自分の口で美味しく食べたい」――。 70代を迎えると、身体の変化とともに健康への意識も一段と高まるものです。実は、日本人の健康寿命を脅かす大きな要因の一つに**「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」**があります。

誤嚥性肺炎は、お口の中の細菌が肺に入ることで起こります。つまり、「お口の清潔さ」が命を守る直結の鍵なのです。

本記事では、港区の泉岳寺駅前歯科クリニックが、歯ブラシだけでは落としきれない「歯周病菌」を撃退し、誤嚥性肺炎を予防するための5つのケア(裏ワザ)を詳しく解説します。

1. 誤嚥性肺炎の真犯人は「お口の細菌」?知っておきたいメカニズム

「誤嚥(ごえん)」がなぜ肺炎につながるのか

通常、食べ物や唾液は「食道」を通ります。しかし、加齢により飲み込む力(嚥下機能)や咳き込む反射が低下すると、誤って「気管」に入ってしまうことがあります。これが誤嚥です。

お口の中が汚れていると、誤嚥した際に大量の歯周病菌などが肺に送り込まれます。高齢になると免疫力が低下しているため、肺に入った細菌を排除できず、強い炎症(肺炎)を引き起こしてしまうのです。

70代からリスクが急増する理由

  • 唾液の減少: 加齢や薬の副作用で唾液が減ると、お口の自浄作用が弱まり、細菌が爆発的に増殖します。
  • 喉の筋力低下: 飲み込む力が弱まり、不顕性誤嚥(寝ている間に唾液が肺に入る現象)が増えます。
  • 義歯の汚れ: 入れ歯の清掃が不十分だと、そこが細菌の温床となります。

2. 結論!歯ブラシだけでは汚れの「60%」しか落ちません

驚くべきことに、どんなに丁寧に歯を磨いても、歯ブラシだけではお口の汚れの約6割しか除去できないと言われています。残りの4割――歯と歯の間や舌の表面、頬の粘膜――に、誤嚥性肺炎の原因となる菌が潜んでいます。

ここからは、当院が推奨する「プラスアルファ」の5つの習慣をご紹介します。

3. 今日から実践!「歯ブラシ以外」の5つの裏ワザ

【その1】歯間ブラシ・フロスで「4割の汚れ」を撃退

歯と歯の間は、最も歯周病菌が繁殖しやすい場所です。

  • 歯間ブラシ: 隙間がある方に最適。L字型なら奥歯まで届きやすく、当院でも指導に力を入れています。
  • デンタルフロス: 隙間が狭い方に。糸をスライドさせ、歯の側面に沿わせるのがコツです。

【その2】舌ブラシで「舌苔(ぜったい)」を優しく除去

鏡を見た時、舌が白くなっていませんか?それは舌苔という細菌の塊です。

  • ポイント: 専用の「舌ブラシ」を使いましょう。奥から手前へ、1日1回(起床時がおすすめ)優しくなでるだけで、肺へ送り込まれる菌の数を劇的に減らせます。

【その3】洗口液(マウスウォッシュ)で口内を丸ごと殺菌

歯ブラシが届かない粘膜や咽頭付近の菌を減らすには、洗口液が有効です。

  • 選び方: 70代の方には、粘膜を乾燥させにくいノンアルコールタイプがおすすめです。「CPC(塩化セチルピリジニウム)」などの殺菌成分配合のものを選びましょう。

【その4】口腔保湿剤で「ドライマウス」を解消

お口の乾燥は細菌増殖の最大要因です。

  • 使い方: 唾液が少ないと感じる方は、口腔保湿ジェルやスプレーを併用しましょう。お口を潤すことで自浄作用が高まり、飲み込み(嚥下)もスムーズになります。

【その5】歯科医院での「プロフェッショナルケア(PMTC)」

自分では絶対に落としきれない汚れが、細菌のバリア「バイオフィルム」や「歯石」です。

  • 重要性: 3ヶ月〜半年に一度、歯科医院で専用の機械を用いた清掃(PMTC)を受けることで、誤嚥性肺炎のリスクは科学的に証明されるほど低下します。

4. 泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

港区・三田エリアに位置する当院では、単に虫歯を治すだけでなく、**「全身の健康を守るための予防歯科」**を大切にしています。

当院のアクセスと特徴

  • 所在地: 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
  • 最寄り駅:
    • 都営浅草線・京急本線**「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分**
    • JR山手線・京浜東北線**「高輪ゲートウェイ駅」**からも徒歩圏内
    • **「品川駅」**からもアクセス良好な好立地です
  • 診療のこだわり: 経験豊富な歯科衛生士が、患者様お一人おひとりの生活スタイルに合わせた口腔ケアグッズの選定や、正しい使い方のレクチャー(ブラッシング指導)を行っています。

「どの歯間ブラシを選べばいいか分からない」「飲み込みにくさを感じる」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 誤嚥性肺炎の予防ケアは、いつから始めるべきですか? A1. 70代は機能低下の曲がり角です。今すぐ始めることで、将来の入院リスクや健康寿命を大きく改善できます。

Q2. 洗口液を使えば、歯磨きはしなくても大丈夫ですか? A2. いいえ。細菌は膜(バイオフィルム)を作ってこびりついているため、歯ブラシや歯間ブラシによる「物理的な除去」が不可欠です。洗口液はその後の仕上げとして使いましょう。

Q3. 忙しくてなかなか通えません。 A3. 当院は泉岳寺駅から徒歩1分、品川や高輪ゲートウェイからも近いため、お出かけやお仕事のついでに受診いただけます。

参考文献

  1. 日本老年歯科医学会. (2019). 「高齢者の口腔機能低下と誤嚥性肺炎予防に関するガイドライン」.
  2. 日本歯科医師会. 「テーマパーク8020:誤嚥性肺炎のメカニズムと予防」.
  3. 厚生労働省. 「e-ヘルスネット:口腔ケアと誤嚥性肺炎」.
  4. 日本歯周病学会. (2015). 「歯周病と全身疾患(誤嚥性肺炎)に関するポジションペーパー」.
  5. 日本呼吸器学会. 「成人気道感染症診療ガイドライン」.
  6. 内閣府. (2023). 「令和5年版高齢社会白書:高齢者の健康・福祉」.
  7. 渡邉文彦, et al. (2018). 「口腔衛生管理と誤嚥性肺炎予防のエビデンスに基づく実践」. 臨床歯科ジャーナル, 35(4).
  8. 米山武義, et al. (1999). 「Oral care reduces pneumonia in older patients in nursing homes」. The Lancet, 354(9189).
  9. 日本口腔ケア学会. 「口腔ケアの重要性と誤嚥性肺炎予防」.
  10. 日本歯科医学会. (2021). 「歯科診療における口腔機能低下症の診断と管理」.

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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