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歯周病

【50代の栄養学】歯周病予防に不可欠なビタミンDとカルシウムの摂取法

2026.01.04

50代を迎え、「以前より歯茎が痩せた気がする」「歯の揺れが気になる」といった変化を感じていませんか?

実は、この年代からの歯周病の悪化は、単なる「磨き残し」だけが原因ではありません。ホルモンバランスの変化や骨代謝の低下といった**「体の内側の変化」**が深く関わっています。特に、歯を支える土台である「歯槽骨(しそうこつ)」の健康維持は、50代以降の歯周病予防における最重要課題です。

本記事では、港区三田・泉岳寺エリアで歯周病専門治療を行う当院が、骨の健康と炎症抑制に不可欠な**「ビタミンD」「カルシウム」**の役割、そして今日から実践できる医学的根拠に基づいた摂取法を解説します。

1.なぜ50代で歯周病が深刻化するのか? 根本原因は「骨密度の低下」

歯周病は細菌感染症ですが、その進行スピードを左右するのは「宿主(患者様自身)の抵抗力」と「骨の強さ」です。50代以降、多くの方で歯周病が重症化しやすい背景には、全身的な骨密度の低下があります。

更年期と骨代謝のメカニズム

特に女性の場合、閉経前後(一般的に50歳前後)の更年期を迎えると、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が急激に減少します。エストロゲンには「骨の破壊を抑える働き」があるため、この減少は全身の骨粗しょう症リスクを高めるだけでなく、口の中の骨(歯槽骨)の脆弱化にも直結します。

「歯槽骨」が溶けるスピードが加速する

全身の骨密度が低下すると、歯を支えている顎の骨も弱くなります。この状態で歯周病菌による炎症が起きると、以下の負のスパイラルが発生します。

  1. 歯周病菌が毒素を出す。
  2. 免疫反応により炎症が起きる。
  3. もともと代謝が落ちている歯槽骨が、炎症の影響で急速に吸収(破壊)される。
  4. 歯がグラつき、最終的に抜け落ちるリスクが高まる。

内側からの対策の必要性

歯磨きやプロのクリーニング(外側からのケア)はもちろん重要ですが、骨代謝の低下が起きている50代からは、栄養学的な視点から骨の土台を内側から強化する対策が不可欠となるのです。

このテーマについてさらに詳しく知りたい方は、「もう歳だから」と諦めないで!更年期が引き起こす口元の異変と「女性の歯周病」戦略」もご覧ください。

2. 歯周病の「炎症」を抑える:ビタミンDの二つの役割

一般的に、ビタミンDといえば「カルシウムの吸収を助けて骨を強くする」というイメージが強いかもしれません。確かにそれは重要な役割ですが、最新の歯科医学や免疫学の分野において、その認識は大きく変わりつつあります。

実は、ビタミンDは単なる一つの栄養素にとどまらず、全身の細胞に指令を出す**「免疫調整ホルモン」**に近い働きをしていることが解明されてきました。特に、常に無数の細菌と戦っているお口の中の環境において、この「免疫をコントロールする力」は、歯周病の進行を食い止めるための強力なディフェンスシステムとして、改めてその価値が見直されています。

(1) 免疫の暴走(炎症)を食い止める

歯周病による骨破壊は、実は細菌そのものだけでなく、細菌に対抗しようとする自身の免疫細胞が「暴走」し、周囲の組織を破壊してしまうことで起こります。 ビタミンDには、この過剰な免疫反応を調整し、炎症性サイトカイン(組織を破壊する信号)の産生を抑制する働きがあります。

    (2) 天然の抗生物質「抗菌ペプチド」を作る

    血中のビタミンD濃度が十分にあると、体内で「カテリシジン」などの抗菌ペプチド(細菌を攻撃するタンパク質)が作られやすくなります。これにより、歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待されています。

    (3) カルシウムの「運び屋」としての機能

    食事でカルシウムを摂取しても、ビタミンDが不足していると、その多くは吸収されずに排出されてしまいます。ビタミンDは腸管でのカルシウム吸収率を高め、さらにそれを骨に定着させるための「接着剤」のような役割を果たします。

    3. 歯を支える土台を強化:カルシウムの効果的な摂取戦略

    カルシウムは、歯槽骨の主成分です。十分なカルシウムが体内にあれば、ビタミンDのサポートを受けて、強固な骨組織を維持することができます。50代になると、骨からカルシウムが溶け出すスピードが加速するため、意識的な摂取戦略が重要です。

    (1) カルシウム推奨量と、日本人が不足しがちな理由

    厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」に基づくと、50代のカルシウム推奨摂取量は、成人男性650mg、成人女性650mgです(※摂取基準は随時更新されます)。

    しかし、実際の日本人の平均摂取量はこれを下回っている傾向にあります。

    <カルシウム不足の主な背景>

    • 加工食品の増加: 現代の食生活では、手軽な加工食品が多くなり、伝統的な和食(小魚や海藻)を食べる機会が減少しています。
    • 乳製品の摂取習慣: 欧米諸国に比べて、日本人は乳製品の摂取量が少なく、カルシウム源が偏りがちです。
    • ビタミンD不足: 後述しますが、ビタミンDが不足していると、いくらカルシウムを摂取しても吸収されずに体外に排出されてしまいます。

    4. 【実践編】歯科医が推奨する「食事」と「生活習慣」

    知識を行動に変え、骨と歯茎を守るための具体的なアクションプランをご紹介します。

    (1) 食事の黄金ルール:「D」と「Ca」のペアリング

    ビタミンDとカルシウム(Ca)は「セット」で摂ることで最大の効果を発揮します。

    栄養素 多く含まれる食品
    ビタミンD 鮭、さんま、いわし、きくらげ、干し椎茸などのキノコ類
    カルシウム(Ca) 牛乳・チーズ・ヨーグルト、しらす、小松菜、厚揚げ、豆腐、海藻類

    効率的なメニュー例

    • 鮭とキノコの味噌マヨネーズ焼き: 鮭(D)とキノコ(D)の組み合わせに、マヨネーズで脂質をプラスすることで吸収率アップ。
    • 鮭とキノコのクリーム煮:鮭(D)+キノコ(D)+牛乳(Ca)
    • しらすと小松菜の和え物: しらす(D, Ca)と小松菜(Ca)を効率良く摂取。少量の油と和えるとさらに効果的。
    • 小松菜と厚揚げの煮浸し:小松菜(Ca)+厚揚げ(Ca)+乾燥小エビ(D/Ca)
    • しらすおろし:しらす(D/Ca)を毎日の習慣に
    • きくらげと卵の炒め物(中華風): きくらげ(D)と卵(D, Ca)を手軽に摂取できます。

    (2) 天然のサプリメント「日光浴」

    ビタミンDは食事だけでなく、紫外線(UVB)を浴びることで皮膚で生成できるのが大きな特徴です。特に50代以降は生成能力が低下するため、意識的な日光浴が重要です。

    ただし、長時間浴びる必要はありません。季節や時間帯によって目安は異なりますが、顔や手の甲などに直射日光を当てることで十分な生成が可能です。

    • 夏場:木陰で10分〜15分程度(手の甲や顔のみでOK)
    • 冬場:晴れた日の昼間に15分〜30分程度 ※ガラス越しでは紫外線(UV-B)が遮断されるため、窓を開けるか屋外に出る必要があります。
    • ※過度な日焼けや皮膚疾患のリスクがある方は、紫外線対策を優先し、医師に相談してください。

    (3) サプリメントの活用と注意点

    食事や日光浴だけではビタミンDが不足しがちな場合は、サプリメントの活用が有効です。

    • ビタミンDの目安: 歯科領域で歯周病対策として推奨される摂取量の目安は、1日あたり1,000〜2,000 IU(国際単位)程度です。
    • 過剰摂取のリスク: ビタミンDとカルシウムは脂溶性であり、過剰摂取は健康リスク(特に高カルシウム血症)を引き起こす可能性があります。サプリメントを使用する際は、必ず記載された用法・用量を守り、不安な場合は歯科医師や薬剤師にご相談ください。

    5. よくある質問(FAQ)

    50代の方から、栄養と歯周病ケアについてよくいただくご質問にお答えします。

    Q. ビタミンDのサプリメントはいつ飲むのが効果的ですか?

    A. ビタミンDは脂溶性(油に溶ける性質)のため、脂質を含む食事の直後に摂取すると吸収率が高まります。空腹時よりも食後がおすすめです。

    Q. 食事を変えれば、グラグラしている歯も治りますか?

    A. 残念ながら、一度破壊されてグラグラになった骨が、食事だけで元通りになることはありません。栄養療法はあくまで「これ以上の進行を防ぐ」「治療後の回復を助ける」ための土台作りです。揺れがある場合は、早急に歯科医院での専門的な処置が必要です。

    Q. 骨粗しょう症の薬を飲んでいますが、歯科治療に影響はありますか?

    A. ビスホスホネート製剤などの骨粗しょう症治療薬を服用されている場合、抜歯などの外科処置に注意が必要なことがあります。当院では全身の服薬状況をしっかり確認した上で治療計画を立てますので、お薬手帳をご持参ください。

    まとめ:栄養療法と専門ケアの両輪で守る

    50代からの歯周病対策において、栄養による「内側からの土台強化」は非常に強力な武器となります。しかし、すでに付着してしまった歯石や、深い歯周ポケットの中の細菌は、栄養摂取だけでは除去できません。

    1. ご自宅で:ビタミンD・カルシウム摂取と適切なブラッシング
    2. 歯科医院で:精密な検査とプロフェッショナルケア(歯石除去・噛み合わせ調整)

    この2つを組み合わせることが、生涯ご自身の歯で食事を楽しむための最短ルートです。

    港区三田・泉岳寺で歯周病治療・予防歯科なら当院へ

    泉岳寺駅前歯科クリニックでは、患者様一人ひとりのライフステージや全身状態(骨密度やホルモンバランスへの配慮)に合わせた、オーダーメイドの歯周病治療を行っております。

    「最近、歯の調子が変わり始めた」と感じたら、それは身体からのサインかもしれません。手遅れになる前に、当院の検査・カウンセリングをご活用ください。

    アクセス・診療案内

    当院は、泉岳寺駅A3出口から徒歩1分という通いやすい立地にございます。 また、開発が進む高輪ゲートウェイ駅や、ターミナル駅である品川駅からもアクセスが良く、港区三田周辺にお住まいの方はもちろん、通勤途中の方にも多くご来院いただいております。

    • 医院名:泉岳寺駅前歯科クリニック
    • 住所:〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
    • 最寄駅
      • 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
      • JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩圏内

    参考文献

    • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
    • Machado V, et al. Vitamin D and Periodontitis: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients. 2020;12(8):2177.
    • Wang J, et al. Association of serum calcium level with periodontitis: a cross-sectional study from NHANES 2009–2014. Front Nutr. 2024;11:1520639.
    • Yu B, Wang C. Osteoporosis and periodontal diseases – An update on their association and mechanistic links. Periodontol 2000. 2022;89(1):99-113.
    • Nishida M, et al. Calcium and vitamin D supplementation helps reduce tooth loss in the elderly. Nutr Rev. 2000;58(7):218-21.

    監修

    院長

    山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

    • 略歴

      2009年
      日本大学歯学部卒業
      2009年
      日本大学歯学部附属病院研修診療部
      2010年
      東京医科歯科大学歯周病学分野
      2010年
      やまわき歯科医院 非常勤勤務
      2015年
      酒井歯科クリニック
      2021年
      泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
    • 所属学会・資格

      • 日本歯周病学会 認定医
      • 日本臨床歯周病学会
      • アメリカ歯周病学会
      • 臨床基礎蓄積会
      • 御茶ノ水EBM研究会
      • Jiads study club Tokyo(JSCT)
      • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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