
なぜ70代こそ電動歯ブラシが必須なのか?
70代になると、口腔内の環境は劇的に変化します。長年の使用による歯の摩耗、唾液量の減少、そして免疫力の低下により、歯周病のリスクは最大化します。 ただ歯を失うだけではありません。この世代にとって歯周病は、誤嚥性肺炎や糖尿病、さらには認知症リスクとも深く結びついており、命に関わる「病気の入り口」となりかねないのです。
特に、70代の方が注意すべき全身疾患との関連については、以下の記事もご参照ください。
- 【70代の死因】誤嚥性肺炎の9割は歯周病菌が原因!ゼロリスクに近づける方法。
- 70代で急増!口腔内の歯周病菌がアルツハイマー型認知症を加速させる
- 70代の口臭は内臓疾患のサイン?歯周病との見分け方と対策【健康寿命を延ばすために】
しかし一方で、加齢に伴い握力や指先の細かい動き(巧緻性)は低下しがちです。「磨いているつもりでも磨けていない」状態が続き、気づかないうちに歯周病が進行してしまうケースが後を絶ちません。
だからこそ、70代のオーラルケアにおいて電動歯ブラシは、もはや贅沢品や手磨きの補助ではありません。低下した運動機能を補い、短時間で確実にプラーク(歯垢)を除去し、健康寿命を延ばすための**「必須ツール」**と言えます。
1. 70代の電動歯ブラシ選びで最優先すべき3つの条件
加齢で歯茎が下がると、虫歯になりやすいデリケートな「根元」が露出してしまいます。
70代の口腔内は非常にデリケートです。若年層と同じ基準で選ぶと、かえって歯や歯茎を傷つけてしまう恐れがあります。選ぶ際に重視すべきは以下の3点です。
1. 低刺激性・歯肉への優しさ
加齢により歯茎が下がると、エナメル質よりも柔らかい「象牙質」が露出します。ここは非常に傷つきやすく、知覚過敏も起きやすい場所です。強い摩擦力ではなく、優しく汚れを落とせるかが最重要です。
2. 歯周ポケットへのアプローチ力
70代の歯周病ケアの主戦場は「歯周ポケットの奥」です。手磨きでは届かない深い部分の汚れを、いかに負担なく除去できるかが鍵となります。
3. 操作の簡便さ(軽さと持ちやすさ)
毎日使うものですから、重すぎたり、複雑な操作が必要だったりするものは続きません。「当てるだけ」で機能するシンプルさが求められます。
2. 【徹底比較】音波式 vs 回転式:70代に優しいのはどっち?
音波式は「水流」で汚れを落とすため、デリケートな歯茎への負担が少なく安心です。
現在主流の電動歯ブラシは、「音波式」と「回転式」の2種類に大別されます。70代の口腔環境との相性を比較しました。
結論:70代には「音波式」を強く推奨します
当院では、70代の方には**「音波式」**をおすすめしています。 最大の理由は、物理的にゴシゴシ擦るのではなく、音波振動が生み出す水流の力で汚れを落とすため、露出した歯の根元や弱った歯茎を傷つけるリスクが低いからです。知覚過敏がある方でも比較的安心して使用できます。
3. 失敗しない!70代特化の機能選び
「押し付けすぎ」を防ぐセンサー機能と、歯周ポケットに入る「極細毛」は必須条件です。
音波式の中でも、以下の機能がついたものを選ぶと、より安全で効果的なケアが可能になります。
- 加圧防止センサー(必須) 感覚が鈍くなると、無意識に強く押し当ててしまいがちです。ブラシ圧が強すぎるときにランプや振動で教えてくれる機能は、歯を守るために必須です。
- コンパクトヘッド&極細毛 奥歯の裏側や細かい隙間に届くよう、ヘッドは小さいものを選びましょう。また、歯周ポケットに入り込みやすい「極細毛」タイプがおすすめです。
- 「センシティブモード」などの低刺激設定 体調が悪い日や歯茎が腫れている日は、標準モードでも痛いことがあります。振動を弱められるモードがあると継続しやすくなります。
4. 電動歯ブラシの効果を最大化する「力の入れない磨き方」
ゴシゴシ動かさず、優しく「当てるだけ」。ペングリップなら余計な力が入りません。
道具が良くても、使い方が間違っていては意味がありません。特に70代の方が意識すべきは**「頑張って磨かないこと」**です。
鉛筆持ち(ペングリップ)で持つ
グーで握ると力が入りすぎます。鉛筆を持つように軽く握る(ペングリップ)ことで、自然と最適な筆圧(100g〜200g程度)になります。
「置き磨き」に徹する
手を小刻みに動かす必要はありません。歯と歯茎の境目に毛先を当て、数秒間「置く」感覚で止めてください。あとは機械が勝手に掃除してくれます。
必ず「歯間ブラシ」を併用する
ここが最も重要です。電動歯ブラシは万能ではありません。特に70代は歯と歯の隙間が広くなっているため、ブラシだけでは隙間の汚れは取れません。歯間ブラシやフロスの併用は絶対条件です。
よくある質問(FAQ)
電動歯ブラシの導入を検討されている患者様から、よくいただくご質問にお答えします。
Q1. インプラントや差し歯が入っていても使えますか?
A. はい、お使いいただけます。 ただし、研磨剤が多く含まれる歯磨き粉を使用したり、回転式ブラシで強く押し当てたりすると、人工歯の表面に細かい傷がつく可能性があります。「音波式」を選び、研磨剤無配合(ジェルタイプなど)の歯磨き粉を使用することを推奨します。
Q2. 電動歯ブラシを使えば、歯科医院でのクリーニングは不要ですか?
A. いいえ、プロによるクリーニングは必要です。 電動歯ブラシは「日々の汚れ(プラーク)」を落とす能力には長けていますが、一度固まってしまった「歯石」や、歯周ポケットの最深部にあるバイオフィルムまでは除去できません。電動歯ブラシで日々の状態を保ちつつ、3ヶ月に1度は歯科医院での専門的なケアを受けてください。
Q3. 高い機種ほど効果があるのでしょうか?
A. 必ずしもそうではありません。 高価な機種は、スマホ連動機能や多数のモードが搭載されていますが、70代の方には機能が多すぎて使いこなせないこともあります。「加圧防止センサー」や「基本的な音波振動機能」があれば、中価格帯のモデルでも十分な歯周病予防効果が得られます。
まとめ:一生自分の歯で噛むために、最適なケアを
電動歯ブラシは、70代の方のQOL(生活の質)を支える頼もしいパートナーです。しかし、「どの機種がいいか」以上に大切なのは、**「今の自分の口の状態に合っているか」**です。
進行した歯周病や、複雑な被せ物がある場合、市販のツールだけでは管理しきれないこともあります。 泉岳寺駅前歯科クリニックでは、患者様一人ひとりの歯茎の状態やリスクに合わせて、最適なケア用品の選び方から使い方の指導まで、オーダーメイドのメンテナンスを行っています。
「最近、手磨きがしんどくなってきた」「歯茎が痩せてきた気がする」。そう感じたら、ぜひ一度当院にご相談ください。あなたの生涯の健康を、私たちが全力でサポートします。
参考文献・引用元
【当院の関連コラム】
- 【70代の死因】誤嚥性肺炎の9割は歯周病菌が原因!ゼロリスクに近づける方法。
- 70代で急増!口腔内の歯周病菌がアルツハイマー型認知症を加速させる
- 歯周病は老化現象?知っておくべき加齢による口腔環境の変化と対策
- 40代の奥歯のSOS!抜歯リスクの高い「歯周病の骨欠損」とは?
- 電動歯ブラシ vs 手磨き:歯周病予防に効果的なのは?
- 【歯科医推奨の磨き方】歯周病を防ぐ「鉛筆持ち(ペングリップ)」の科学。
- 歯ブラシだけじゃ不十分!デンタルフロス・歯間ブラシで口腔ケアを格上げ
- 【8020達成者へ贈る最終戦略】70代後半の「精密メンテナンス」が生涯の歯とQOLを決める
【学術的参考文献】
- Yaacob M, et al. (2014). Powered versus manual toothbrushing for oral health. Cochrane Database of Systematic Reviews. 電動歯ブラシが手磨きと比較して、プラーク除去および歯肉炎の減少において有効であることを示したシステマティックレビュー。
- Yoneyama T, et al. (2002). Oral care reduces pneumonia in older patients in nursing homes. J Am Geriatr Soc. 高齢者への専門的口腔ケアが誤嚥性肺炎の発症率を低下させることを証明した重要な研究。
- Deery C, et al. (2004). The effectiveness of manual versus powered toothbrushes for dental health: a systematic review. Journal of Dentistry. 音波式および回転式電動歯ブラシの有効性を比較検討した研究。
泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内
当院は、泉岳寺駅A3出口から徒歩1分という好立地にあり、近隣にお住まいの方はもちろん、遠方からの患者様にも多くご来院いただいております。
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加齢で歯茎が下がると、虫歯になりやすいデリケートな「根元」が露出してしまいます。
音波式は「水流」で汚れを落とすため、デリケートな歯茎への負担が少なく安心です。
「押し付けすぎ」を防ぐセンサー機能と、歯周ポケットに入る「極細毛」は必須条件です。
ゴシゴシ動かさず、優しく「当てるだけ」。ペングリップなら余計な力が入りません。