はじめに:その「つわり」の裏で、早産リスクが進行しているかもしれません
新しい命の誕生を心待ちにする一方で、お体に様々な変化を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
「最近、歯ぐきが腫れやすい」 「ブラッシングですぐに血が出る」 「つわりで奥までしっかり磨けない」
これらは、多くの妊婦さんが直面するお口のサインです。しかし、これらの変化を「妊娠中だから仕方ない」と放置してはいけません。
最新の研究では、重度の歯周病を持つ妊婦さんは、そうでない方に比べ、早産や低体重児出産のリスクが最大で7倍になることが示されています。これは、高齢出産や飲酒・喫煙といったリスク要因よりも高い数値であるというデータもあります。
特に、仕事や家事に追われ、ご自身のケアが後回しになりがちな30代の妊婦さんにとって、この「妊娠性歯周病」はお腹の赤ちゃんに及ぶ深刻な脅威となり得ます。
この記事では、なぜ妊娠中に歯周病が悪化するのかというメカニズムと、赤ちゃんを健やかに迎えるための安全な歯科ケア戦略を、泉岳寺駅前歯科クリニックが詳しく解説します。

1. なぜ妊婦は危険?「妊娠性歯周病」の科学的メカニズム
なぜ、お口の中の炎症が子宮にまで影響するのでしょうか。その鍵は「女性ホルモン」と「炎症物質」の相互作用にあります。
1-1. 女性ホルモンが歯周病菌の「エサ」になる
妊娠すると、エストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンが急激に増加します。実は、一部の歯周病菌(プレボテラ・インターメディア菌など)にとって、これらのホルモンは増殖を助ける「栄養源」となります。
- 菌の増殖: ホルモン分泌の影響で、通常の数倍から数十倍も菌が増えやすくなります。
- 血管の拡張: ホルモンの影響で歯ぐきの血管が拡張し、少しの刺激でも腫れや出血を起こしやすくなります。これが**「妊娠性歯肉炎」**です。
1-2. 早産リスク7倍の根拠:血液に乗る「炎症物質」
歯周病が悪化すると、お口の中で「サイトカイン」や「プロスタグランジン」といった炎症物質が作られます。これらが歯ぐきの血管から血液に入り込み、全身を巡って子宮へ到達します。
特にプロスタグランジンという物質は、本来、出産時に「陣痛」を引き起こして子宮を収縮させる役割を持っています。
- 重度の歯周病により、お口の中で大量の炎症物質が発生する。
- 炎症物質が血流に乗って子宮に到達し、「出産の準備ができた」と誤った指令を送る。
- その結果、予定日より早く子宮収縮(陣痛)が始まり、早産や低体重児出産を誘発してしまう。

1-3. 30代女性が特に注意すべき「隠れたリスク」
30代は、ホルモン変動に加えて、社会的な忙しさが重なり、お口のトラブルが顕在化しやすい年代です。
- セルフケアの質の低下: 仕事や家事で忙しく、つわりも重なると丁寧なケアが困難になります。
- 過去の蓄積: 30代はそれまでの生活習慣の影響が出やすく、潜在的な歯周病(隠れ歯周病)が妊娠を機に一気に悪化するケースが目立ちます。
参考記事:もしかして「妊娠性歯肉炎」?お腹の赤ちゃんを守るための口腔ケアガイド
2. 妊娠期間別:お腹の赤ちゃんを守る「安全な口腔ケア戦略」
妊娠中の口腔ケアは、時期に合わせた対策が重要です。

2-1. 【初期・つわり期】無理のない範囲で清潔を保つ
吐き気が強く、歯ブラシを口に入れるのも辛い時期です。無理に磨こうとせず、できる範囲でのケアを心がけましょう。
- 工夫: 小さなヘッドの歯ブラシを使い、体調が良い時間に磨く。
- 代替案: ブラッシングが難しい時は、キシリトール配合のガムを噛んだり、殺菌効果のある洗口液(マウスウォッシュ)ですすぐだけでも効果があります。
2-2. 【安定期:5~7ヶ月】歯科受診の「ゴールデンタイム」
つわりが落ち着き、お腹が大きくなりすぎる前のこの時期に、必ず歯科検診を受けましょう。これが「安産」への重要なステップです。
- 精密検査: 歯周ポケットの深さを計測し、炎症の有無を確認します。
- PMTC(プロケア): 歯科衛生士による専門的なクリーニングで、セルフケアでは落とせない細菌の塊「バイオフィルム」を徹底除去します。
2-3. 【後期】出産への備えとセルフケアの継続
お腹が大きくなり通院が負担になる時期です。安定期に整えた環境を維持するため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用した丁寧なケアを続けましょう。出産後は育児で歯科に通う時間が取りにくくなるため、今のうちに不安要素をなくしておくことが大切です。
参考記事:定期的なPMTCがカギ!プロのクリーニングで生涯自分の歯を守る方法
3. 泉岳寺駅前歯科クリニックが提供する「マタニティ歯科サポート」
当院では、港区三田・高輪エリアの妊婦様が安心して受診できるよう、包括的なサポート体制を整えています。
3-1. 安全性を最優先した精密診断
「レントゲンはお腹の赤ちゃんに影響しないの?」と心配される方も多いですが、ご安心ください。 当院では、撮影範囲がお口に限定された歯科用レントゲンを使用し、さらに鉛入りの防護用エプロンを着用していただくことで、お腹への被ばくを限りなくゼロに抑えます。

3-2. ライフスタイルに寄り添うカウンセリング
「仕事と妊婦健診で手一杯」という忙しい30代の方に合わせ、効率的かつ効果的なオーダーメイドの治療計画をご提案します。当院には専門知識を持ったスタッフも在籍しており、お口の悩みだけでなく、妊娠中の体調変化についても気兼ねなくご相談いただけます。
4. 妊娠中の歯科ケアに関するよくある質問(FAQ)
多くの妊婦さんから寄せられる不安にお答えします。
Q. 歯科麻酔は赤ちゃんに影響しませんか?
A. 歯科で使用する局所麻酔は、投与量が少なく、その場で分解・代謝されるため、胎盤を通じて赤ちゃんに届くことはほとんどありません。むしろ、痛みを我慢するストレスの方が母体に負担となることもあるため、必要に応じて産婦人科医と連携しながら安全に使用します。
Q. つわりでどうしても歯が磨けません。どうすればいいですか?
A. 無理に磨こうとして嘔吐してしまうと、胃酸で歯が溶けやすくなるリスクもあります。体調が良い時に「ヘッドの小さい歯ブラシ」や「子供用歯ブラシ」で磨くか、難しい場合はうがいだけでも構いません。まずはストレスを溜めないことが大切です。
Q. 授乳中の歯科治療は可能ですか?
A. 可能です。抗生物質や痛み止めなどのお薬が必要な場合は、母乳への影響が極めて少ないものを選択したり、服用のタイミング(授乳直後など)をご指導いたします。
学術的参考文献
本記事は、以下の学術的知見および当院の臨床経験に基づき作成されています。
- Offenbacher S, et al. “Periodontal infection as a possible risk factor for preterm low birth weight.” J Periodontol. 1996.
- 日本臨床歯周病学会 歯周病と全身疾患「妊娠性歯肉炎・歯周病について」
- 仕事と家庭、そして歯周病。30代・40代を蝕む「隠れたリスク」にどう向き合うか
- 妊娠中の歯科治療は港区三田の泉岳寺駅前歯科クリニックへ
まとめ:妊娠中の口腔ケアは「未来の健康」への投資です
妊娠中の歯周病ケアは、単なる虫歯予防ではありません。それは**お腹の赤ちゃんの命と成長を守るための「安産ケア」**です。
早産リスクを回避し、健やかな出産を迎えるために、まずは安定期の歯科検診から始めましょう。 泉岳寺駅前歯科クリニックは、あなたと赤ちゃんの幸せな未来を、お口の健康から全力でサポートいたします。
泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内
当院は、都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口から徒歩1分。 高輪ゲートウェイ駅や品川駅、三田駅からもアクセス良好な、東京都港区三田にある歯科クリニックです。
- 所在地: 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
- アクセス:
- 都営浅草線・京急本線**「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分**
- JR山手線・京浜東北線**「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩圏内**
- 診療内容: 虫歯・歯周病治療、インプラント、審美歯科、矯正歯科、マタニティ歯科など包括的な歯科治療
「今の私の歯ぐき、大丈夫かな?」 そう感じたら、まずは一度ご相談ください。
