抜歯後の痛み
抜歯は一般的な歯科治療ですが、「抜歯後の痛みが続くのはなぜ?」「いつまで痛いのが正常?」と不安になる方は多いです。通常、痛みは3~4日で治まりますが、1週間以上長引く場合、特定の原因が考えられます。特に注意すべきは、激しい痛みを伴うドライソケットです。この記事では、抜歯後の痛みが長引く主な理由、痛みが強いケース、そして適切な対処法を解説します。
抜歯後の痛みが長引く4つの主な原因
抜歯後に痛みが続く、あるいは痛みが強まる場合、主に以下の要因が関係しています。
1.抜くときに骨に負担がかかった場合
歯を抜く際、周囲の骨や歯茎にかかる負担が大きいと、組織のダメージから痛みが長引きます。
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抜歯の難易度が高いケース: 下顎の親知らずや埋伏歯(骨に埋まった歯)の抜歯。
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歯根の状態: 歯根が曲がっていたり、骨に癒着していたりする歯の抜歯。
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歯の大きさ: 大きな歯や根っこがしっかりしている歯は、抜歯時に歯茎や骨に与えるダメージが大きくなります。
2.炎症が強い歯であった場合
歯周病や根の先に膿が溜まっている歯などを抜く場合、歯の周囲の組織に炎症が起こっています。そのため、抜歯の際に炎症が悪化し、痛みが生じることがあります。抜歯後に痛みが1週間ほど続くこともありますが、多くの場合3〜4日程度で徐々に痛みは弱まります。
3.歯根がしっかりしてる歯であった場合
大きな歯や、根っこがしっかりしている歯を抜く場合、抜歯の際に歯茎や骨にダメージを与えやすくなります。そのため、痛みが生じやすく、治りも遅くなります。

4.ドライソケットになってしまった場合
ドライソケットとは、抜歯した穴が血液の塊(血餅)で覆われず、骨が直接露出している状態です。
通常、抜歯した穴には血液の塊(血餅)が形成され、その血餅がかさぶたのようになって抜歯後の穴を覆っていきます。血餅には、傷口を保護する役割と、新しい組織が再生するときに必要な栄養素を供給する役割があります。
しかし、何らかの理由で血餅が形成されなかったり、形成された血餅が剥がれたりすると、抜歯した穴の骨が露出してしまうことがあります。これがドライソケットです。
ドライソケットになると、抜歯した穴から痛みや出血、口臭などが生じることがあります。
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痛みの特徴: 抜歯後3~5日頃から、ズキズキとした強い痛みが始まり、1〜2週間続くことがあります。口臭を伴うこともあります。
ドライソケットの頻度は、抜歯した歯の状態や抜歯方法によって異なります。
一般的な抜歯では、ドライソケットになる確率は2~4%程度と言われています。しかし、下顎の親知らずや、埋伏歯などの歯を抜いた場合、ドライソケットになる確率は15~25%程度と高くなります。
ドライソケットの原因は、以下のようなものが考えられます。
- 1. 抜歯の際に、骨に過度な負担がかかった
- 2. 歯周病や根管治療後の歯を抜いた
- 3. 大きな歯や、根っこがしっかりしている歯を抜いた
- 4. うがいをしすぎて、血餅が剥がれた
- 5. 喫煙や飲酒をした
ドライソケットになった場合は、歯科医院を受診して、処置を受けるようにしましょう。
処置としては、以下のようなものが行われます。
- 1. 抜歯した穴を清潔に洗浄する
- 2. 抗生剤の投与
- 3. 抜歯した穴に血餅を形成するような処置をする:
- 4. 抜歯した穴を覆うガーゼやタンポンを詰める
ドライソケットを予防するためには、以下のことに気をつけましょう。
- 1. うがいは、軽くすすぐ程度にする
- 2. 喫煙や飲酒は控える
5.親知らずの場合
親知らずは、他の歯に比べて斜めに生えていることが多いため、抜歯の際に骨に負担がかかりやすくなります。また、親知らずは歯茎の下に埋まっていることもあるため、抜歯の際に歯茎を切開することもあります。そのため、親知らずを抜いた場合、痛みが生じやすく、治りも遅くなることがあります。
痛みを長引かせる「ドライソケット」の原因と予防法
激しい痛みを避けるため、ドライソケットの原因を知り、適切な予防策を実践しましょう。
【対処】 ドライソケットの疑いがある場合は、すぐに歯科医院を受診してください。抜歯穴の洗浄、抗生剤の投与、血餅を促す処置などが行われます。
抜歯後の痛みを和らげるための過ごし方
痛みを最小限に抑え、治癒を早めるために、以下のことに留意しましょう。
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痛み止めを適切に服用する: 痛みを感じ始める前に、医師の指示通り早めに痛み止めを飲みましょう。
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安静にする: 激しい運動や長時間の入浴は避け、患部の血流が過度に良くなるのを防ぎます。
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患部を刺激しない: 抜歯した部分を吸ったり、触ったりする行為は、血餅が剥がれる原因になるため絶対に避けてください。
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喫煙・飲酒は控える(再強調)。
まとめ:不安な痛みは必ず歯科医師に相談を
抜歯後の痛みは個人差がありますが、通常は徐々に弱まります。痛みが強く続く、または痛みのピークが3~4日を過ぎても終わらない場合は、ドライソケットの可能性を考え、必ず歯科医院を受診しましょう。専門的な診察と処置を受けることが、早期の痛み解消につながります。

