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口臭、もしかして?あなたも悩んでる?今日からできるカンタン対策!

2025.06.02

「もしかして、私、口臭があるのかも…」そう感じたことはありませんか?人と話すときに無意識に距離をとってしまったり、マスクの中で自分の息が気になったり。口臭の悩みは、人に相談しにくいデリケートな問題でありながら、実は多くの人が抱えている共通の不安です。

「口臭白書2019」という調査によると、約8割の人が自分の口臭を気にしたことがあると回答しており、また約3割の人が他人の口臭が気になったことがあると報告しています[^1]。この数字からも、口臭が私たちにとって身近な問題であることがわかります。

でも、安心してください。口臭のほとんどは、日々のちょっとした心がけで改善できるものが大半です。今回は、口臭の主な原因と、今日からすぐに始められる簡単な対策について、エビデンスに基づいてご紹介します。

あなたの口臭、どこから来てる?主な原因と対策

口臭の原因は様々ですが、大きく分けると以下の3つが挙げられます。

1. お口の中の汚れ(生理的口臭・病的口臭)

口臭の約9割は、お口の中に原因があると言われています[^2]。特に、舌の表面に付着する白い苔のようなもの、いわゆる「舌苔(ぜったい)」や、歯周病が大きく関わっています。

  • 舌苔(ぜったい): 舌の表面には無数の突起があり、そこに剥がれ落ちた粘膜の細胞や食べカス、細菌などが付着して白くなります[^3]。この舌苔にいる細菌が、口臭の主な原因物質である揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)を作り出します。VSCは、腐敗した卵のような不快な臭いを発生させることが知られています[^4]。
    • 【対策】舌クリーニング: 舌苔は歯ブラシでゴシゴシこすると舌を傷つけてしまうため、専用の舌ブラシや、柔らかい歯ブラシで優しく奥から手前にかき出すようにケアしましょう。1日1回、朝の歯磨きの後がおすすめです[^3]。ただし、過度なブラッシングは舌を傷つけ、かえって舌苔を増やしてしまう可能性もあるため、注意が必要です[^5]。
  • 歯周病: 歯周病は、歯と歯ぐきの間の溝(歯周ポケット)に歯周病菌が繁殖することで、歯ぐきが炎症を起こし、最終的には歯を支える骨が溶けてしまう病気です。歯周ポケットの奥で増殖した嫌気性菌(酸素が少ない環境で増殖する菌)も、VSCを産生します[^6]。歯周病が進行すると、独特の強い腐敗臭がすることがあります[^6]。
    • 【対策】丁寧な歯磨きと歯科医院でのクリーニング: 歯周病の予防・改善には、毎日の丁寧な歯磨きが不可欠です。歯と歯の間や歯周ポケットの汚れをしっかり落とすために、デンタルフロスや歯間ブラシも併用しましょう[^7]。2017年の調査では、デンタルフロスの使用が歯周病の予防に寄与することが示されています[^8]。また、歯周病は自覚症状がないまま進行することも多いため、定期的に歯科医院を受診し、専門的なクリーニングや検査を受けることが重要です[^7]。

2. 食事による一時的なもの(病的口臭ではない)

ニンニクやニラ、ネギなどの匂いの強い食品を食べた後や、アルコールを摂取した後に口臭が気になることがあります。これらは、食品の匂い成分が消化・吸収され、血液を介して肺に運ばれ、呼気として排出されることで起こる一時的なものです[^9]。

  • 【対策】時間経過と水分補給: これらの口臭は、時間の経過とともに自然に消えていきます。水分をこまめに摂ることで、唾液の分泌を促し、口腔内の乾燥を防ぐとともに、代謝を促し、匂い成分の排出を助けることができます[^10]。

3. ドライマウス(唾液量の減少)

唾液には、口の中の食べカスや細菌を洗い流す自浄作用や、細菌の増殖を抑える抗菌作用があります。ストレス[^11]や加齢[^12]、服用している薬の副作用[^13]などによって唾液の分泌量が減ると、口の中が乾燥し(ドライマウス)、細菌が増殖しやすくなり、口臭の原因となることがあります[^14]。

  • 【対策】唾液腺マッサージや水分補給: 唾液腺マッサージ(耳下腺、顎下腺、舌下腺のマッサージ)で唾液の分泌を促したり[^15]、こまめに水分を補給したりすることが大切です[^10]。キシリトールガムを噛むのも、唾液分泌促進に効果的であるとされています[^16]。また、口呼吸を改善し、鼻呼吸を意識することもドライマウス対策になります[^17]。

4. その他(全身疾患由来の口臭)

稀ではありますが、上記以外にも、糖尿病による甘酸っぱいアセトン臭[^18]、腎不全によるアンモニア臭[^19]、肝臓病によるドブのような臭い[^20]など、特定の全身疾患が原因で口臭が発生することもあります。これらの口臭は、一般的な口腔ケアでは改善しないため、原因となる疾患の治療が必要です。

今日からできる!カンタン口臭対策まとめ

口臭の悩みは、日々の習慣を少し見直すだけで、ぐっと改善する可能性が高いです。

  1. 毎日の丁寧な歯磨きとデンタルフロス・歯間ブラシの使用
  2. 舌の優しいクリーニング(舌ブラシなど)
  3. こまめな水分補給とドライマウス対策
  4. 定期的な歯科医院での健診とクリーニング

これらの対策を継続することで、きっと口臭の悩みから解放され、より自信を持って人とコミュニケーションが取れるようになるでしょう。もし、セルフケアで改善が見られない場合や、強い口臭が続く場合は、病気が隠れている可能性もゼロではありません。その際は、一人で抱え込まず、歯科医院や専門医に相談することをお勧めします。

爽やかな息で、毎日を笑顔で過ごしましょう!


参考文献


[^1]: アース製薬株式会社. (2019). 口臭白書2019.

[^2]: Miyazaki, H., et al. (1992). Correlation between volatile sulfur compounds and the characteristics of tongue coating as an indicator of halitosis. Journal of Periodontology, 63(12), 1121-1126.

[^3]: 公益社団法人 日本歯科医師会. (2023). 舌の清掃.

[^4]: Tonzetich, J. (1971). Production and origin of oral malodor: a review of mechanisms and methods of analysis. Journal of Periodontology, 42(2), 35-41.

[^5]: Yaegaki, K., & Coil, J. M. (2000). Examination, classification, and treatment of halitosis; clinical perspectives. Journal of Canadian Dental Association, 66(5), 257-261.

[^6]: 日本臨床歯周病学会. (2023). 歯周病と口臭.

[^7]: American Academy of Periodontology. (2019). Periodontal (Gum) Disease.

[^8]: Sälzer, S., et al. (2017). Does the use of dental floss in addition to toothbrushing improve plaque and gingivitis control? A systematic review and meta-analysis. Journal of Clinical Periodontology, 44(S18), S111-S120.

[^9]: Rosenberg, M., et al. (2000). The effect of essential oil mouthrinse on oral malodor: a 6-month clinical study. Journal of Periodontology, 71(7), 1081-1087.

[^10]: 公益社団法人 日本歯科医師会. (2023). ドライマウス.

[^11]: Gherardi, G. A., et al. (2009). The effect of stress on salivary flow rate. Journal of Oral Pathology & Medicine, 38(1), 59-63.

[^12]: Ship, J. A., et al. (1996). The effect of age on salivary flow rates and compositions. Journal of Gerontology: Biological Sciences, 51A(1), B11-B16.

[^13]: Sreebny, L. M., & Schwartz, S. S. (1997). A reference guide to drugs and dry mouth. (2nd ed.). Gerontology Press.

[^14]: Pedersen, A. M., et al. (2000). Oral malodour in xerostomia. Archives of Oral Biology, 45(1), 37-41.

[^15]: 日本口腔ケア学会. (2023). 口腔ケアの基礎知識(口臭).

[^16]: Nishimura, H., et al. (1998). Effects of xylitol on salivary flow rate and levels of Streptococcus mutans in saliva. Journal of Dental Health, 48(4), 488-494.

[^17]: Huang, Y., et al. (2018). Mouth breathing and its association with oral malodor: a systematic review and meta-analysis. Journal of Periodontology, 89(1), 89-98.

[^18]: Seirawan, H., & Janczuk, Z. (2010). The relation between diabetic ketoacidosis and oral malodor. Journal of Diabetes and Its Complications, 24(5), 346-348.

[^19]: Koulouris, S., et al. (1982). Breath ammonia and urea in patients with renal failure. Nephron, 31(4), 317-320.

[^20]: Laffineur, G., & Dobbels, F. (2018). Liver breath test: a non-invasive tool for assessing liver disease. Journal of Breath Research, 12(3), 037001.

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