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意外と知らない!歯の役割を徹底解説

2025.06.13

はじめに

「歯って、ただ食べ物を噛むだけのものだよね?」――そう思っている方もいるかもしれません。でも、実は歯の役割は想像以上にたくさんあって、体の健康、おしゃべり、そして頭の働きにまで深く関わっているんです。このコラムでは、最新の研究をもとに、歯が持つ驚くべきパワーを分かりやすくご紹介します。この記事を読めば、歯がどれほど大切かがよーく分かり、毎日の歯磨きがもっと楽しくなるはずですよ!


1. 食べ物を細かくする、消化の第一歩:胃腸を助け、栄養をしっかり吸収

歯の最も基本的なお仕事は、食べ物を小さく砕く「咀嚼(そしゃく)」です。これは、消化の最初の一歩であり、とっても大切なんです。よく噛んだ食べ物は、唾液(つば)の中にある消化酵素と混ざりやすくなり、その働きを最大限に引き出します。食べ物が細かくなると、胃や腸での消化にかかる負担がぐっと減り、お腹の調子が悪くなるのを防いでくれます。研究でも、しっかり噛むほど胃腸への負担が少ないことが分かっています。さらに、食べ物が細かく、消化しやすい状態になることで、ビタミンやミネラルといった大切な栄養が効率よく体に吸収されます。これは、特に高齢の方や、胃腸が弱い方にとって、元気を保つためにすごく重要なことなんです。


2. きれいな発音を助ける、おしゃべりの大切なパートナー:会話をスムーズに、表情豊かに

歯は、私たちが言葉を話す「発音」においても、舌や唇と一緒に大切な役割を果たしています。特に「サ行」や「タ行」「ラ行」などの音は、舌が歯の裏側や歯茎に触れることで、はっきりと発音できるようになります。もし歯が抜けたり、歯並びが悪かったりすると、これらの音がうまく出せない「構音障害」になることがあります。これは、音声や言語の専門家も指摘していることです。はっきりとした発音は、スムーズな会話には欠かせませんよね。もし発音が不明瞭だと、自信をなくしたり、人とのコミュニケーションでストレスを感じたりすることもあり、毎日の生活の質(QOL)にも影響が出ることが報告されています。


3. 顔の形を保つ、見た目の美しさ:若々しい印象をキープ

歯は、食べ物を噛んだり話したりするだけでなく、私たちの顔の形や美しさを保つためにも欠かせない存在です。歯は顎(あご)の骨にしっかり埋まっていて、歯があることで顎の骨の形や丈夫さが保たれます。もし歯がなくなってしまうと、その部分の顎の骨は刺激がなくなり、だんだん減っていってしまいます(骨吸収)。その結果、口元がしぼんだり、鼻の下から顎にかけての顔の長さが短くなったりして、顔の印象が老けて見えることがあるんです。これは、歯科矯正や口腔外科の分野ではよく知られていることなんですよ。また、歯並びや歯の色は、笑顔の印象を大きく左右します。きれいに並んだ白い歯は、自信や健康的なイメージを与え、初めて会う人の印象にも影響します。多くの心理学の研究でも、笑顔と魅力の関係が示されており、歯が健康であることがその理由の一つであることは明らかです。


4. 全身の健康を守る、体の中の司令塔:歯周病と病気の意外なつながり

最近の研究で、口の中の健康、特に「歯周病」が、全身のさまざまな病気と深く関係していることが、たくさんの証拠(エビデンス)によって分かってきました。歯は、まさに「全身の健康の窓」と言える存在なんです。

  • 歯周病と糖尿病: 歯周病は、糖尿病の合併症の一つであり、さらに糖尿病の症状を悪化させる原因にもなります。歯周病菌が出す炎症物質が、インスリンの効きを悪くして、血糖値のコントロールを難しくすることが研究で示されています。逆に、歯周病を治療することで糖尿病が改善したという報告もあります。
  • 歯周病と心臓病・脳卒中: 歯周病菌やその炎症物質が血管の中に入り込むことで、動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高める可能性があると指摘されています。ヨーロッパの心臓病学会のガイドラインでも、歯周病は心臓病のリスクの一つとして挙げられています。
  • 誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)との関連: 特に高齢の方に多いのですが、口の中の細菌が唾液や食べ物と一緒に気管に入ってしまうことで起こる「誤嚥性肺炎」は、お口のケアが不十分だとリスクが高まります。口の中の細菌を減らすことが、誤嚥性肺炎を防ぐのに役立つことが、多くの介護施設での研究で示されています。
  • その他の関連: 歯周病は、早産や低体重児出産、関節リウマチ、腎臓病、アルツハイマー病など、様々な病気との関係が研究されており、その詳しい仕組みが解明されつつあります。

5. 脳をイキイキさせる、元気の源:よく噛んで頭もスッキリ

「よく噛むこと」は、単に消化を助けるだけでなく、脳の働きを活発にすることも最新の研究で明らかになっています。噛む動作は、脳への血流を増やし、特に記憶や学習に関わる部分(海馬など)を活性化させることが、特別な検査(機能的MRIなど)で示されています。これにより、集中力や記憶力がアップすると考えられています。高齢の方の場合、噛む力が弱くなったり、歯がなくなったりすると、認知機能が低下することと関係があるという研究結果もたくさん出ています。しっかり噛む機能を保ったり、回復させたりすることが、認知症のリスクを減らしたり、進行を遅らせたりするのに役立つ可能性も期待されています。また、噛むときのリズム運動は、心を落ち着かせるセロトニンという物質の分泌を促し、リラックス効果やストレスを減らす効果もあると言われています。


6. 歯の健康を守るために、今日からできること

歯がこれほどまでにたくさんの大切な役割を持っていることが分かったところで、その健康を守るために私たちができることはたくさんあります。

  • 毎日の正しいオーラルケア: 歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って、歯と歯の間の汚れ(プラーク)を徹底的に取り除くことが、歯周病や虫歯を防ぐ基本中の基本です。日本歯科医師会も、隅々まできれいにする大切さをすすめています。フッ化物が入った歯磨き粉を使うと、歯が丈夫になり、虫歯になりにくくなることが多くの研究で証明されています。
  • 定期的な歯医者さんでのチェックとプロのケア: 「歯が痛くなってから行く」のではなく、「悪くならないように前もって行く」という意識がとても重要です。歯医者さんでの定期健診では、虫歯や歯周病を早く見つけて治療するだけでなく、専門家による歯のクリーニング(PMTC)を受けることで、毎日の歯磨きでは落としきれない汚れをきれいにしてもらい、口の中をベストな状態に保つことができます。
  • バランスの取れた食生活: 砂糖の摂りすぎは虫歯のリスクを高めます。また、歯や骨を丈夫にするカルシウムやリン、ビタミンDといった栄養素をバランスよく摂ることも大切です。

おわりに

歯は単なる食べ物を噛む道具ではなく、全身の健康、コミュニケーション能力、心の豊かさ、そして頭の働きにまで影響を与える、私たちの生活に欠かせない存在です。毎日の歯のお手入れは、単に口の中をきれいにするだけでなく、将来の健康への大切な投資であり、豊かな人生を送るための重要なステップです。

今日から、あなたの歯にもっと関心を持ち、定期的に歯医者さんに行き、適切なホームケアを実践して、一生涯にわたる歯の健康を守りましょう。それが、あなたの全身の健康と幸せにつながる最初の一歩となるはずです。

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