1. はじめに:歯の喪失は「食べる喜び」だけで終わらない
歯を失うこと。多くの人がまず思い浮かべるのは、「食事が楽しめなくなる」「おいしいものを食べられない」といったことではないでしょうか。確かに、好きなものが食べられない、食欲がわかないといった変化は、日々の生活の質(QOL)に直結する大きな問題です。しかし、歯の喪失が私たちにもたらす影響は、口の中や食生活だけに留まるものではありません。
実は、歯がなくなることは、見た目や全身の健康、そして何よりも大切な**「笑顔」、ひいては私たちの人生そのものの質**にまで深く影響を与えるのです。このコラムでは、歯の喪失が食事の枠を超えて、どのような側面、特に「笑顔」や「生活の質(QOL)」といった心や社会的な部分に影響を及ぼすのかを、最新の調査データに基づいて詳しく見ていきます。特に、若い世代が歯と「笑顔」や「QOL」のつながりを強く意識しているという興味深いデータにも注目し、歯の健康が私たちの人生にもたらす本当の意味について考えていきましょう。
2. 歯の喪失がもたらす多角的な影響:調査データからの示唆
日本歯科医師会が2022年に発表した「歯科医療に関する国民の意識調査」のデータは、歯の喪失が多岐にわたる影響を持つことをはっきりと示しています。
- 「食事の楽しみ・おいしい物を食べる機会」(57.4%)
「食べることに対する意欲」(51.2%)
「見た目の若さ」(43.8%)
「全身の健康」(36.7%)
「笑顔」(27.4%) - これらの数字は、歯を失うことへの懸念が、単なる「食」の問題だけではないことを物語っています。
食事の質と栄養状態への影響
最も顕著な影響は、やはり**「食事の楽しみ」や「食べる意欲」の喪失です。歯が失われると、食べ物をしっかり噛み砕くことが難しくなり、硬いものや繊維質の多い食品を避けるようになります。これは単に食べにくいだけでなく、栄養状態の悪化につながる深刻な問題です。研究では、歯が少ない人は肉や野菜、果物などの摂取量が減り、炭水化物に偏った食事になりやすいことが示されています[1,2]。特に高齢者では、これが低栄養のリスク**を高め、筋力低下や身体機能の低下、さらには介護が必要になることや死亡リスクの上昇にも関連すると指摘されています[3]。また、十分に噛まれていない食べ物は、胃や腸に余計な負担をかけ、消化不良を引き起こす可能性もあります[4]。
見た目の若さ、自信、そして社会的な評価への影響
多くの人が懸念する**「見た目の若さ」の喪失**は、科学的にも裏付けられています。歯が失われると、歯を支えていたあごの骨がやせ細り、頬や唇などの顔の軟らかい部分が支えを失うことで、口元がへこんだり、頬がこけたりして、実年齢よりも老けた印象を与えることがあります[5,6]。
この見た目の変化は、個人の**自信(自己肯定感や自尊心)**にも深く影響を及ぼします。特に目立つ前歯の欠損などは、人前で口を開けて笑ったり話したりするのをためらう原因となり、自信の低下につながることが示されています[7,8]。
さらに、歯の見た目は社会的な評価や第一印象にも影響を与えます。口元は人の第一印象を決める上で非常に重要であり、歯の欠損や見た目の問題は、他者にネガティブな印象を与える可能性があります[9]。逆に、健康的で美しい歯は、信頼感や明るさといったポジティブな印象を与え、就職や人間関係、さらには仕事での成功にも有利に働くことが示唆されています[9,10,11]。
全身の健康への影響:最新エビデンスから見る多面性
見過ごせないのが**「全身の健康」への影響**です。歯の喪失は、単に口の中の問題にとどまらず、全身の健康にさまざまな影響を及ぼすことが、近年の研究でより明確になっています。
あらゆる病気による死亡リスクの増加: 多くの歯を失っている人ほど、様々な原因による死亡リスクが高まることが示されています[12,13]。これは、栄養不良や全身の慢性炎症、生活習慣の悪化などが複合的に関与していると考えられます。
生活習慣病(糖尿病など)との関連:
歯の喪失と糖尿病の発症およびその管理との間には、重要な関連があることが報告されています[14]。
脳の機能低下・認知症リスクの増加:
歯の喪失が、記憶力や思考力の低下、そしてアルツハイマー病を含む認知症のリスク増加と関連するという証拠が増えています[15,16]。
心臓病のリスクとの関連:
歯周病が心臓病のリスク因子であることは確立されていますが、歯の喪失自体も、心臓病のリスクと関連する可能性が示唆されています[17]。
フレイル・サルコペニアのリスク増加:
歯を失うことによる噛む機能の低下は、低栄養、体重減少、筋力低下へとつながり、高齢者の虚弱(フレイル)や筋肉量の減少(サルコペニア)のリスクを高めることが確認されています[18,19]。
心理的・社会的な影響:生活の質(QOL)への深い波及
歯を失うことが**生活の質(QOL)**に与える影響は、機能的・身体的な側面だけでなく、心や社会的な側面にも深く関係していることが多くの研究で明らかになっています。
歯の喪失は、噛む能力の低下、話しにくさ、見た目の変化、そしてそれらに伴う心理的な苦痛を通じて、個人のQOLを著しく低下させます[20,21]。例えば、硬い食べ物を避けたり、好きなものを食べられなかったりする制約は、食事の楽しみを奪い、日常生活の満足度を低下させます[1,2]。また、前歯の欠損や合わない入れ歯は、発音を不明瞭にし、会話に自信を持てなくさせます[24,30]。
さらに、歯がなくなることや見た目の問題は、自己肯定感や自尊心に悪影響を与えます[7,8]。人前で話したり笑ったりすることをためらう原因となり、心理的なストレス、不安感、さらにはうつ病のリスクを高める可能性も指摘されています[23]。このような精神的な負担は、社会的な交流を避け、孤立につながることもあります[24]。
3. 年齢別に見る意識の違い:「笑顔」と「QOL」を重視する若年層
日本歯科医師会の調査では、歯の喪失に対する意識が年代によって異なることも示されています。**「全身の健康」や「寿命」は年代が上がるほど心配する声が高くなる一方で、「笑顔」「メンタルヘルス」「QOL(生活の質)」**については、若い世代の方がより強く懸念しているという興味深い結果が出ています。
なぜ若年層は「笑顔」と「QOL」を重視するのか?
若い世代が「笑顔」や「QOL」を特に重視する背景には、現代社会の様々な要因が考えられます。SNSの普及により、日頃から「見た目」への意識が高まっていること。また、ワークライフバランスや自分らしい生き方を重視する価値観が強まっていることも影響しているでしょう。
このため、歯の喪失が若年層の社会生活や自己肯定感に与える影響は深刻です。就職活動で自信をもって笑顔を見せられなかったり、恋愛や人間関係で消極的になったりすることは、彼らの人生の可能性を狭めてしまうことにもつながりかねません[33,34,35,36,37]。
高齢層の意識の背景
一方、高齢層が「全身の健康」や「寿命」を重視するのは、人生経験からくる健康への深い意識と、健康寿命の延伸への関心が高まっているためと考えられます。加齢に伴う全身疾患のリスクが高まる中で、口腔の健康が全身の健康と密接に関わっていることを実感しているからでしょう。
4. 歯の健康が「笑顔」と「QOL」に与える具体的な影響
笑顔と心理的幸福感の密接な関係
笑顔は、単なる表情以上の力を持っています。たとえ意識的に作った笑顔であっても、心拍数を下げたりストレスホルモンを抑えたりするなど、ストレスを軽減する効果があることが科学的に示されています[25]。これは、顔の筋肉の動きが脳に信号を送り、心の幸福感を高める「顔面フィードバック仮説」によって説明されます。また、笑顔は自信を高め、人とのつながりを強める効果も指摘されています[26]。
しかし、歯の喪失は、人前で笑うことをためらわせ、自然な笑顔を妨げます。これにより、せっかくの笑顔がもたらすポジティブな効果を得られなくなり、結果として心理的な幸福感や社交性に悪影響を及ぼす可能性があります。
QOL(生活の質)と口腔健康
**QOL(生活の質)**とは、単に病気がないというだけでなく、身体的、心理的、社会的に満たされた状態を指します。口腔の健康は、このQOLの様々な側面に大きく貢献しています[20,21]。
歯の喪失がQOLを低下させる具体的な事例は多岐にわたります。
食事制限によるQOLの低下:
硬い食べ物を避ける、好きなものを食べられないといった制約は、食事の楽しみを奪い、日常生活の満足度を著しく低下させます[1,2]。
発音障害によるコミュニケーションの困難さ:
特に前歯の欠損や合わない入れ歯は、発音を不明瞭にし、会話に自信を持てなくさせます[24,30]。
痛みによる精神的ストレス:
歯の喪失に至る過程の痛みや、喪失後の不適合な入れ歯などによる持続的な痛みは、イライラ、不安、睡眠障害、集中力の低下といった精神的ストレスを引き起こし、うつ病のリスクを高める可能性もあります[23,31]。
特に若い世代においては、歯の喪失が学業や仕事、恋愛といった、彼らのQOLを構成する重要な要素に深刻な影響を与えます。例えば、歯の痛みによる集中力の低下や学校の欠席は学業に悪影響を及ぼし[32]、面接で口元を気にして自信が持てないことは就職に不利になることもあります[33,34]。また、歯の見た目や口臭の問題が、恋愛関係や親密な人間関係の構築を妨げることも指摘されています[35,36,37]。
5. 結論:歯の健康を守り、豊かな人生を追求するために
歯の健康は、単なる「食」の問題に留まらず、私たちの**全身の健康、見た目、そして「笑顔」や「生活の質(QOL)」**といった多岐にわたる側面に深く影響を与えることがお分かりいただけたでしょうか。歯を失うことは、想像以上に私たちの人生に大きな影響を及ぼす可能性があるのです。
だからこそ、歯を失わないための日頃の口腔ケアと定期的な歯科検診が非常に重要です。もしすでに歯を失ってしまった場合でも、インプラントや入れ歯、ブリッジなど、適切な治療法があります。専門家である歯科医師に相談し、失われた機能や見た目を回復することで、QOLを維持し、より豊かな人生を送ることが可能です。
歯の健康は、年齢にかかわらず誰もが豊かな人生を送るための大切な基盤です。あなたの素敵な笑顔と輝く人生のために、今日から歯の健康を意識し、大切にしていきましょう。
ご予約・お問い合わせ
高輪ゲートウェイ駅からアクセス抜群の当院では、WEBもしくはLINEからのご予約も可能です。お電話でのお問い合わせも受け付けておりますので、ご不明な点がございましたらお気軽にご連絡ください。
【当院へのアクセス】
[医院名] 泉岳寺駅前歯科クリニック
[住所] 東京都港区三田3-10-1アーバンネット三田ビル1階
[電話番号] 03-6722-6741
高輪ゲートウェイ駅から徒歩7分/都営浅草線・京急線 泉岳寺駅より徒歩1分
参考文献
-
[1] Yoshihara, A., et al. (2005). Oral health and nutritional status in elderly Japanese subjects. Gerodontology, 22(4), 211-217.
- 概要: 日本の高齢者を対象とした研究で、口腔の健康状態(残っている歯の数など)と栄養状態の関連について調べています。歯の数が少ない高齢者ほど、特定の栄養素の摂取が不足し、栄養状態が悪化しやすい傾向があることを示唆しています。
-
[2] Sheiham, A., et al. (2001). The impact of dental status on food selection and nutrient intake in elderly people. Journal of Oral Rehabilitation, 28(6), 578-587.
- 概要: 高齢者における歯の状態が、食べ物の選択と栄養摂取に与える影響を分析した研究です。歯の喪失が進むと、特定の種類の食べ物(硬い肉、野菜など)を避けるようになり、結果として栄養バランスが偏る可能性を指摘しています。
-
[3] 日本老年学的評価機構 (JAGES). (2021). 報道発表「歯を失った人でも入れ歯・ブリッジを使っていると体重減少のリスクが約37%低下」.
- 概要: 日本の高齢者を対象とした大規模な調査結果で、歯を失ったとしても、入れ歯やブリッジといった補綴物を使用することで、不健康な体重減少のリスクを低減できる可能性を示しています。これは、義歯による咀嚼機能の回復が栄養状態の維持に寄与することを示唆しています。
-
[4] 佐野, K., et al. (2024). 口腔機能低下症と低栄養との関連性に関する研究. 神奈川歯科大学雑誌, 58(2), 16-24.
- 概要: 「口腔機能低下症」(噛む、飲み込む、話すといった口の機能が衰えること)と低栄養との関連性について研究しています。口腔機能が低下すると、食事が摂りにくくなり、低栄養のリスクが高まることを示しており、口の機能と全身の健康のつながりを強調しています。
-
[5] Slaughter, W. M., et al. (2007). Facial changes after tooth extraction. Journal of Prosthetic Dentistry, 98(3), 226-231.
- 概要: 歯を抜いた後に顔に起こる変化について解説している論文です。歯がなくなると、歯を支えていたあごの骨が吸収され、それによって顔の組織(頬や唇など)の形が変わり、見た目の老化につながることを説明しています。
-
[6] Saric, T., et al. (2012). The impact of tooth loss on the facial profile: a literature review. Stomatologija, 14(4), 115-119.
- 概要: 歯の喪失が顔の横顔(プロファイル)に与える影響に関する文献レビューです。歯がなくなると、口元がへこむなど、顔の輪郭に変化が生じ、老けた印象を与える可能性があることを、これまでの研究に基づいてまとめています。
-
[7] Astrom, A. N., et al. (2004). Oral health and its impact on quality of life and self-esteem in adolescents. Community Dentistry and Oral Epidemiology, 32(5), 375-385.
- 概要: 思春期の若者を対象に、口腔の健康状態が生活の質(QOL)と自己肯定感に与える影響を調査した研究です。歯並びや歯の有無といった口腔内の問題が、若い世代の自信や精神状態に悪影響を及ぼす可能性を示しています。
-
[8] Klages, U., et al. (2006). Dental esthetics, self-perception, and psychological well-being in young adults. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics, 130(2), 209-214.
- 概要: 若い成人における歯の見た目(審美性)と、自己認識、精神的な幸福感の関連について調べた研究です。歯の見た目が良いと自己認識が高まり、精神的な幸福感につながりやすいことを示唆しています。
-
[9] Alkhatib, M. N., et al. (2010). The esthetic impact of dental veneers: a survey of public perceptions. Journal of Esthetic and Restorative Dentistry, 22(4), 269-278.
- 概要: 歯の見た目(特に審美治療)が人々の印象に与える影響について、一般の人々を対象とした調査結果です。美しい歯は他者にポジティブな印象を与えることを示しており、歯の見た目の重要性を強調しています。
-
[10] Newton, J. T., et al. (2006). The social and psychological impact of dental appearance: a review of the literature. Journal of Dental Research, 85(Suppl. B), 13-17.
- 概要: 歯の見た目が社会心理的に与える影響に関するこれまでの研究をまとめたレビュー論文です。歯の見た目が、個人の自信、社会的な交流、さらには人生の質に深く関わっていることを包括的に論じています。
-
[11] Wang, Y., et al. (2018). The influence of facial attractiveness on employability. PLoS One, 13(10), e0206199.
- 概要: 顔の魅力が雇用可能性に与える影響について調べた研究です。顔の魅力が高い人ほど、就職の機会が増える傾向があることを示しており、歯の見た目も顔の魅力の一部として重要であることを示唆しています。
-
[12] Liu, M., et al. (2024). Association between tooth loss and all-cause mortality: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. Journal of Periodontal Research, 59(1), 224-235.
- 概要: 複数の研究を統合して分析するメタアナリシスで、歯の喪失があらゆる原因による死亡リスクと関連していることを報告しています。歯がなくなることで、栄養不足や全身の慢性炎症など、さまざまな要因が複雑に絡み合って死亡リスクを高める可能性を指摘しています。
-
[13] Kim, S. Y., et al. (2022). Association between tooth loss and all-cause mortality in South Koreans: a nationwide population-based cohort study. BMC Public Health, 22(1), 1083.
- 概要: 韓国の全国的な大規模コホート研究で、歯の喪失とあらゆる原因による死亡リスクとの関連を調べています。歯を多く失っている人ほど死亡リスクが高いことを、具体的なデータに基づいて示しています。
-
[14] Al-Maweri, S. A., et al. (2023). Association between tooth loss and diabetes mellitus: A systematic review and meta-analysis. Journal of Oral Pathology & Medicine, 52(4), 312-320.
- 概要: 歯の喪失と糖尿病の発症およびその管理との関連について、これまでの研究をまとめたシステマティックレビューとメタアナリシスです。歯の喪失が糖尿病のリスクを高める可能性、またはその逆の関連があることを示唆しています。
-
[15] Spauwen, P. M., et al. (2023). Oral health and cognitive decline: A systematic review and meta-analysis. Journal of Alzheimer’s Disease, 93(1), 163-176.
- 概要: 口腔の健康状態と認知機能の低下に関する研究を網羅的に分析したレビューです。口腔内の問題(特に歯の喪失)が、認知機能の低下やアルツハイマー病のリスク増加と関連する可能性を示唆しています。
-
[16] Kim, Y., et al. (2022). Association between number of remaining teeth and cognitive decline in older adults: a systematic review and meta-analysis. Journal of Clinical Periodontology, 49(10), 1071-1082.
- 概要: 高齢者における残っている歯の数と認知機能の低下との関連を調査したシステマティックレビューとメタアナリシスです。歯の数が少ないほど認知機能が低下しやすい傾向があることを示しており、咀嚼機能と脳の健康の関連を指摘しています。
-
[17] Lertpimonchai, A., et al. (2023). Tooth loss and risk of cardiovascular disease: a systematic review and meta-analysis of prospective cohort studies. BMC Cardiovascular Disorders, 23(1), 213.
- 概要: 歯の喪失と心血管疾患(心臓病や脳卒中など)のリスクとの関連について、これまでの前向きコホート研究をまとめたシステマティックレビューとメタアナリシスです。歯の喪失が心血管疾患のリスクを高める可能性を示唆しています。
-
[18] Huang, S., et al. (2022). Association between tooth loss and sarcopenia in older adults: A systematic review and meta-analysis. Journal of Clinical Periodontology, 49(11), 1146-1160.
- 概要: 高齢者における歯の喪失とサルコペニア(筋肉量や筋力の低下)との関連を調べたシステマティックレビューとメタアナリシスです。歯の喪失が咀嚼機能の低下を通じて低栄養につながり、サルコペニアのリスクを高めることを示唆しています。
-
[19] Nishimura, M., et al. (2022). Association of oral frailty with physical frailty in community-dwelling older adults: a systematic review and meta-analysis. Journal of Oral Science, 64(2), 173-181.
- 概要: 地域に住む高齢者を対象に、「オーラルフレイル」(口の機能のわずかな衰え)と「身体的フレイル」(身体的な虚弱)との関連を調べたシステマティックレビューとメタアナリシスです。口の健康のわずかな衰えが、全身の虚弱につながることを示しており、早期の口腔ケアの重要性を強調しています。
-
[20] Locker, D., & Matear, D. (2000). Oral health-related quality of life: theoretical issues and empirical challenges. Community Dental Health, 17(1), 13-18.
- 概要: **口腔健康関連QOL(OHRQoL)**という概念の理論的な側面と、その測定における課題について論じている論文です。口腔の健康が、個人の日常生活や幸福感にどのように影響するかを評価する枠組みを提供しています。
-
[21] Haag, D. G., et al. (2017). Oral Conditions and Health-Related Quality of Life: A Systematic Review. Journal of Dental Research, 96(8), 864-874.
- 概要: 口腔内の状態が健康関連QOLに与える影響について、これまでの研究をまとめたシステマティックレビューです。虫歯、歯周病、歯の喪失など様々な口腔の問題が、身体的、心理的、社会的なQOLに悪影響を及ぼすことを示しています。
-
[22] Piwowarczyk, A., et al. (2022). Oral Health–Related Quality of Life and Missing Teeth in an Adult Population: A Cross-Sectional Study from Poland. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(3), 1626.
- 概要: ポーランドの成人を対象とした横断研究で、歯の喪失と口腔健康関連QOL(OHRQoL)の低下との関連を調べています。歯が失われることで、機能的な問題だけでなく、心理的・社会的なQOLも低下することを示唆しています。
-
[23] Sinha, N., & Mishra, B. (2025). Tooth Loss, Anxiety and Depression: A Viewpoint. Central India Journal of Medical Research, 4(01), 13-15.
- 概要: 歯の喪失が不安やうつ病といった精神的な健康に与える影響についての考察をまとめた論文です。歯の喪失が、見た目の変化や食事の困難さなどを通じて、心理的苦痛を引き起こし、精神疾患のリスクを高める可能性を論じています。
-
[24] Slade, G. D., & Spencer, A. J. (1994). Social impact of oral health among older adults. Australian Dental Journal, 39(1), 21-27.
- 概要: 高齢者における口腔の健康が社会生活に与える影響について調査した研究です。歯の喪失や義歯の不適合が、発音や見た目に影響し、人との交流を避けるようになるなど、社会的な孤立につながる可能性を示唆しています。
-
[25] Kraft, T. L., & Pressman, S. D. (2012). Grin and Bear It: The Influence of Positive Emotional Expressions on Stress Response. Psychological Science, 23(11), 1372-1378.
- 概要: 笑顔がストレス反応に与える影響を調べた心理学研究です。たとえ意識的に作った笑顔であっても、心拍数を下げたりストレスホルモンを抑制したりするなど、生理学的にストレスを軽減する効果があることを示しています。
-
[26] Routledge, C., et al. (2021). Smiling as a form of social support: The effects of smiling on self-esteem and belonging. Journal of Experimental Social Psychology, 92, 104068.
- 概要: 笑顔が社会的支援の一形態として機能すること、そしてそれが自己肯定感や所属感に与える影響について研究しています。笑顔が、他者とのつながりを深め、個人の心理的な幸福感を高める効果があることを示唆しています。
-
[27] Hess, U., et al. (1998). The impact of emotional expressions on perception of others. Journal of Nonverbal Behavior, 22(2), 115-132.
- 概要: 表情が他者の認識に与える影響を調べた研究です。笑顔などのポジティブな表情は、相手に友好的で好意的な印象を与えることを示しており、非言語コミュニケーションにおける表情の重要性を強調しています。
-
[28] Mehu, M., et al. (2007). Spontaneous display of happiness in an interaction context. Journal of Nonverbal Behavior, 31(3), 195-212.
- 概要: 実際の会話の場面で、自然な笑顔がどのように表れ、コミュニケーションに影響するかを分析した研究です。笑顔が円滑な人間関係や相互理解に貢献することを示唆しています。
-
[29] Miles, D., et al. (2018). The impact of smile on impression formation. Dental Update, 45(4), 312-317.
- 概要: 笑顔が第一印象の形成に与える影響について論じている論文です。魅力的で健康的な笑顔は、他者からよりポジティブに評価され、社会的な印象を向上させることを強調しています。
-
[30] Schmalz, G., et al. (2010). The impact of prosthodontic status on the daily performance of edentulous patients. International Journal of Prosthodontics, 23(1), 44-50.
- 概要: すべての歯を失った患者(無歯顎患者)における補綴物の状態(入れ歯など)が日常生活に与える影響を評価した研究です。不適合な義歯が、食事や発音、ひいては生活の質に悪影響を及ぼすことを示しています。
-
[31] Brennan, M., et al. (2008). Oral health, mental health and quality of life in people with periodontitis. Community Dentistry and Oral Epidemiology, 36(6), 551-561.
- 概要: 歯周病が精神的な健康と生活の質(QOL)に与える影響を調べた研究です。歯周病による痛みや不快感が、精神的なストレスを引き起こし、QOLを低下させる可能性を指摘しています。
-
[32] Fernandes, M. J., et al. (2019). Does oral health influence school performance and school attendance? A systematic review and meta-analysis. Community Dentistry and Oral Epidemiology, 47(5), 373-380.
- 概要: 口腔の健康が学業成績や学校への出席に影響を与えるかについて、これまでの研究をまとめたシステマティックレビューとメタアナリシスです。歯の痛みや問題が、集中力の低下や欠席につながり、学業に悪影響を及ぼす可能性を示唆しています。
-
[33] Newton, J. T., et al. (2006). The social and psychological impact of dental appearance: a review of the literature. Journal of Dental Research, 85(Suppl. B), 13-17.
- 概要: (10番と重複) 歯の見た目が社会心理的に与える影響に関するこれまでの研究をまとめたレビュー論文です。歯の見た目が、個人の自信、社会的な交流、さらには人生の質に深く関わっていることを包括的に論じています。
-
[34] Prado-Calleros, L., et al. (2020). Impact of Dental Appearance on Perceived Employability and Professional Success. Journal of Dental Education, 84(11), 1279-1287.
- 概要: 歯の見た目が、就職の可能性や仕事での成功に与える影響について調べた研究です。健康的で魅力的な歯の見た目が、より良い雇用機会やキャリアアップにつながる可能性があることを示唆しています。
-
[35] Pickett Family Dental Blog (2025). How Oral Hygiene Affects Personal Relationships.
- 概要: 個人の歯科クリニックのブログ記事で、口腔衛生が個人的な人間関係にどのように影響するかについて解説しています。口臭や歯の見た目が、異性関係や友人関係における自信や交流に影響を与える可能性を指摘しています。
-
[36] Al-Maweri, S. A., et al. (2017). The impact of oral health on quality of life among university students: A systematic review. Journal of Clinical Periodontology, 44(S18), S204-S212.
- 概要: 大学生における口腔の健康が生活の質(QOL)に与える影響について、これまでの研究をまとめたシステマティックレビューです。口腔内の問題が、学業、社会生活、心理状態など、大学生のQOLの様々な側面に影響を及ぼすことを示しています。
-
[37] Uzochukwu, N. A., et al. (2020). Association between Demographic Profile, Type of School and Dental Appearance Affecting Choice of Spouse among Undergraduates in Enugu, Nigeria. Asian Journal of Research in Medical and Pharmaceutical Sciences, 9(3), 1-8.
- 概要: ナイジェリアの大学生を対象に、歯の見た目が結婚相手を選ぶ際に影響するかを調査した研究です。歯の見た目が、若年層の長期的な恋愛関係や結婚の選択において重要な要素として認識されていることを示唆しています。