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むし歯

食べるだけで歯が強くなる!再石灰化を促進する「鉄壁の食事」と3つの習慣

2026.01.10

「検診で『初期虫歯(C0)』があると言われたけれど、削らずに様子見で大丈夫?」 「本当に自然に治るの?」

そのような不安をお持ちの患者様は少なくありません。実は私たちの歯には、ごく初期の虫歯であれば自ら修復する**「再石灰化(さいせっかいか)」**という驚くべき力が備わっています。

本記事では、泉岳寺駅前歯科クリニックが、削らない治療の鍵となる「再石灰化」のメカニズムと、それを最大限に引き出すための**「食事」と「習慣」**について専門的な視点で解説します。

導入:あなたの歯は毎日生まれ変わっている!初期虫歯を「治す力」を引き出す方法

はじめに:削らない治療の鍵。「再石灰化」とは何か?

虫歯は、細菌が作り出す酸によって歯の表面からミネラル(主にカルシウムやリン)が溶け出すこと(脱灰)で始まります。しかし、唾液の働きによって、溶け出したミネラルが再び歯に戻り、修復する現象が起こります。これが「再石灰化」です。削る必要のないごく初期虫歯(C0)とは、歯の表面が白く濁っているものの、穴は空いていない状態です。この段階であれば、「脱灰 < 再石灰化」というバランスを保つことで、歯を削ることなく元の健康な状態に戻せる可能性が高いのです。

※再石灰化のメカニズムについては、こちらの記事も参考にしてください。
歯の自己修復力!「再石灰化」で虫歯を防ぐメカニズム

虫歯予防の基本:脱灰(溶ける)< 再石灰化(修復)のバランスを整える重要性

口腔環境は、常に「脱灰」と「再石灰化」を繰り返すダイナミックな状態にあります。虫歯を予防し、歯を強く保つためには、脱灰が進行するスピードよりも、再石灰化が進むスピードを上回らせることが決定的に重要です。

この記事を読むことで得られる3つのメリット

  1. 歯科医が推奨する、歯を内側から強くする実践的な食事法がわかります。
  2. 再石灰化の力を最大化する、今日から取り入れられる簡単なライフスタイル習慣を習得できます。
  3. 初期虫歯の進行を食い止め、「削らない人生」を送るための具体的なセルフケア製品活用法がわかります。

Chapter 1:食べるだけで歯質強化!再石灰化を促進する「栄養素」ベスト5

再石灰化とは、いわば体内で行われる「歯の修復工事」です。この工事を滞りなく進め、丈夫な歯を再建するためには、コンクリート役となる良質な「材料(ミネラル)」と、それを現場で組み立てる優秀な作業員としての「サポート栄養素」の両方が不可欠なのです。

ここでは、特に再石灰化に直接関与する5つの最重要栄養素と、土台を守るプラスαの成分をご紹介します。

  • 【ベスト1・2】歯の原料となる「主役ミネラル」

    再石灰化のプロセスにおいて、絶対に欠かせないのが「歯の材料」となるミネラルです。これらは歯のエナメル質を構成する主成分であり、唾液中に十分な量が供給されていないと、いかにケアしても修復作業(再石灰化)はスタートしません。

    • 1. カルシウム: 歯の石灰化に必須の成分。
      • 人体のカルシウムの約99%は骨と歯に存在します。唾液中のカルシウム濃度が高まることで、脱灰した(溶けた)部分にスムーズにミネラルが補給され、エナメル質の密度が回復します。
    • 2. リン(リン酸): カルシウムと結びつき「ハイドロキシアパタイト」となって歯を硬くします。
      • ハイドロキシアパタイトは、人体で最も硬い組織であるエナメル質の大部分を占める結晶構造です。リンはこの結晶を形成し、酸に負けない強い歯を作るための重要なパートナー役を果たします。
      • ポイント: カルシウムとリンは「1:1 〜 2:1」のバランスで摂取するのが理想的です。
        • スナック菓子や加工食品に多く含まれる「リン酸塩(添加物)」を摂りすぎると、カルシウムの吸収が阻害され、逆に骨や歯からもカルシウムが溶け出す原因になりかねないため、摂取バランスには注意が必要です。

    【ベスト3・4・5】吸収と定着を加速させる「助っ人栄養素」

    材料があるだけでは工事は進みません。これらを効率よく運び、定着させる作業員が必要です。

    • 3. ビタミンD: カルシウムの「運搬役」。
      • 腸管からのカルシウム吸収を助け、血液を通じて歯への運搬を促進します。(魚類、日光浴で生成)
    • 4. マグネシウム: 酵素反応の「調整役」。
      • カルシウムの代謝を助け、歯の結晶構造を支える重要なミネラルです。カルシウムと密接に関係し、バランスを調整します。(ナッツ類、海藻、大豆製品)
    • 5. ビタミンK: 歯への「定着役(接着剤)」。
      • 取り込んだカルシウムを骨や歯にしっかりと定着させるタンパク質(オステオカルシン)を活性化させます。(納豆、緑黄色野菜)

    【プラスα】歯の土台を守るビタミン

    再石灰化を支える「歯茎」や「象牙質」の健康も忘れてはいけません。

    • ビタミンA: 歯のエナメル質の土台を作ります。(緑黄色野菜、レバーなど)
    • ビタミンC: 歯の土台となる象牙質の形成や、歯茎のコラーゲン生成を助けます。。。、

Chapter 2:今日からできる!歯質を強くする「鉄壁の食事」ガイド

栄養素がわかったところで、それをどう日常の食事に取り入れるかが重要です。ここでは、歯の修復力を高めるための具体的な食品と、食習慣の改善策をご紹介します。

2-1. 【積極摂取リスト】再石灰化を促す必須食品と成分

  • 乳製品の力: CPP-ACP(カゼインホスホペプチド非結晶性リン酸カルシウム)の効果
    牛乳やチーズなどの乳製品にはカルシウムとリン酸が豊富に含まれるだけでなく、タンパク質から分解されるCPP-ACPという成分が含まれています。これは唾液中のミネラルと結合し、再石灰化を強力にサポートする働きがあります。
  • 和食の知恵: 小魚、海藻類、大豆製品から効率的にミネラルを摂取する
    ちりめんじゃこ、ひじき、豆腐や納豆といった和食の定番食材は、カルシウム、マグネシウム、リン酸をバランス良く含み、ビタミンKも豊富です。
  • 実践レシピ例: 「カルシウム・リン酸たっぷり!食べるヨーグルトディップ(小魚とナッツ入り)」
    ヨーグルト(CPP-ACP)に、ちりめんじゃこ(カルシウム、リン酸)、くるみやアーモンド(マグネシウム、ビタミンK)を混ぜてディップにします。食後のデザートや間食に取り入れると効果的です。
  • 積極的に摂りたい食品(推奨リスト)

    食品カテゴリー おすすめの食材 期待できる効果
    乳製品 牛乳、チーズ、ヨーグルト カルシウム・リンが豊富。特に「CPP-ACP」成分は再石灰化を強力にサポート。
    魚介・海藻 しらす、煮干し、ひじき、鮭 骨ごと食べられる小魚はミネラルの宝庫。鮭にはビタミンDも豊富。
    大豆製品 納豆、豆腐 カルシウム、マグネシウムを含み、歯の質を高めます。
    繊維質な野菜 ごぼう、セロリ、ニンジン よく噛むことで唾液分泌を促進し、歯の表面を清掃する効果も。

2-2. 再石灰化を妨げない「賢い食べ方」の3つのルール

どんなに栄養のあるものを食べても、食べ方が間違っていると「脱灰」が優位になってしまいます。以下の3つのルールを守りましょう。

  • ルール①: 食後の「ダラダラ食い」を避け、口腔内pHを素早く戻す
    食事をすると口腔内は酸性に傾き、脱灰が始まります。この酸性の状態を長く続けることが虫歯の最大の原因です。食事が終わったら、間食は控え、次の食事まで4〜5時間の休息時間を設けましょう。また、食後はすぐに水を飲んだり、お茶を飲んだりして、唾液による中和作用を助けましょう。
    ※関連コラム:知らないと損!「だらだら食い」が最悪の理由
  • ルール②: 酸性の食品(柑橘類、炭酸飲料)を摂取する際の注意点と、直後のNG行動
    酸性の食品自体が歯を溶かす「酸蝕症」のリスクを高めます。摂取する際は、短時間で飲み込み、ストローを使うなどして歯への接触を最小限に抑えます。特に酸性食品を摂取した直後の歯磨きは、溶けたエナメル質を削り取ってしまうため絶対にNGです。最低30分経ってから磨きましょう。
  • ルール③: 食べ終わりのタイミングで、フッ素やキシリトールを活用する
    食事が終わる少し前に、キシリトールガムを噛んだり、フッ素入りの洗口液を使ったりすることで、再石灰化に必要なミネラルイオンの供給を助け、修復を加速させることができます。

2-3. 唾液の分泌を促す「噛む力」を意識した食品選び

再石灰化の「主役」は唾液です。唾液の質と量を高めるには咀嚼が欠かせません。

  • 硬いものや繊維質の多い食品を意識的に取り入れる重要性
    ごぼう、きのこ類、根菜類、硬めに炊いた玄米など、自然と噛む回数が増える食品を選びましょう。
  • 「一口30回」など、咀嚼を意識するための具体的なテクニック
    食事中に意識的にカトラリーを置いて「一口30回噛む」を実践してみましょう。噛むことで唾液腺が刺激され、再石灰化に必要なミネラルが豊富な唾液がたくさん分泌されます。

Chapter 3:再石灰化の力を最大化する3つのライフスタイル習慣

食事で土台を築いたら、あとは日々の習慣でその効果を最大化する番です。歯科予防のプロが実践している3つの習慣を取り入れましょう。

3-1. 習慣1:最強の自浄作用!唾液の質と量を高める「唾液力アップ習慣」

唾液は、再石灰化のミネラルを供給し、脱灰を中和し、細菌を洗い流す最高の天然の治療薬です。

  • 唾液腺マッサージの具体的な方法(耳下腺、顎下腺、舌下腺の3点刺激)
    食事前や寝る前などに行うと効果的です。

    • 耳下腺:耳の付け根から顎にかけて、頬を円を描くように優しくマッサージ。
    • 顎下腺:顎の骨の内側(あごのラインの下)を、数カ所優しく押す。
    • 舌下腺:顎の真下を舌で押し上げながら、下から優しく押し上げる。

    ※関連コラム:唾液の力を最大限に! 唾液量を増やして歯周病菌を洗い流す

  • 唾液分泌を促すガムやタブレットの選び方
    必ずキシリトール100%のものを選びましょう。キシリトールは虫歯菌の活動を弱め、再石灰化を助ける作用があります。
  • 口腔乾燥(ドライマウス)を防ぐ正しい水分補給のタイミング
    乾燥は唾液の力を弱めます。一気に大量に飲むのではなく、少量ずつこまめに水を飲む習慣をつけましょう。カフェインやアルコールは利尿作用があるため、乾燥しやすい方は控えめにします。

3-2. 習慣2:プロが勧める「再石灰化特化型」セルフケア製品活用法

再石灰化を劇的に促進し、歯質を強化するミネラルを取り込むには、「フッ素」の力が不可欠です。

  • フッ素の再石灰化における役割: ミネラルを定着させる「接着剤」としての機能
    フッ素は、歯の表面にあるミネラル(ハイドロキシアパタイト)を、より酸に強い「フルオロアパタイト」に変えることで、再石灰化を加速させ、脱灰を防ぎます。
  • 高濃度フッ素(1450ppm)入り歯磨き粉の正しい使い方(適切な量とすすぎの回数)
    大人の再石灰化ケアには、高濃度フッ素(1450ppm)配合の歯磨き粉が有効です。使用量は1cm程度、歯磨き後は少量の水(10~15ml程度)で1回だけ軽くすすぐのがポイントです。フッ素を口腔内に留める時間を長くしましょう。
  • フッ素入り洗口液(マウスウォッシュ)を効果的に活用するタイミング
    就寝前に使用すると、睡眠中にフッ素が作用し続け、効率よく歯を強化できます。

※関連コラム:フッ素って実際どうなの?虫歯予防のギモンを徹底解説!

3-3. 習慣3:専門家による「プロケア」でチェック&リチャージ

セルフケアだけでは届かない部分のケアや、生活習慣の癖をチェックしてもらうことが、再石灰化を継続させる鍵です。

  • セルフケアでは不可能な領域:歯垢・歯石の専門的除去(PMTC)
    歯石やバイオフィルム(細菌の塊)は、再石灰化を完全に妨げます。プロによる徹底的なクリーニング(PMTC)で、歯の表面をリセットしましょう。
    ※当院の予防歯科についてはこちら:予防歯科・定期検診は港区三田の泉岳寺駅前歯科クリニックへ
  • 歯科医院での集中ケア:高濃度フッ素塗布による再石灰化のブースト
    歯科医院で定期的に行う高濃度フッ素塗布は、歯の表面に集中的にミネラルを定着させるためのブースト効果があります。
  • 食生活と生活習慣のアドバイス(オーダーメイドの予防プログラム)
    再石灰化の進み具合や、生活習慣の癖は人それぞれです。歯科衛生士や歯科医師が、唾液検査なども含めたオーダーメイドの指導を行うことで、より効果的な予防が実現します。

よくある質問(FAQ)

患者様からよくいただく、再石灰化や初期虫歯に関するご質問にお答えします。

Q1. 初期虫歯(C0)はどれくらいの期間で治りますか?

A. 個人差がありますが、数ヶ月単位での観察が必要です。 再石灰化はゆっくりと進むプロセスです。食事や歯磨きの改善を徹底した場合でも、白濁が消えて元の状態に戻るまでには数ヶ月〜半年以上かかることが一般的です。当院では定期検診で経過をしっかりモニタリングします。

Q2. 子供の歯でも再石灰化は期待できますか?

A. はい、むしろお子様の歯は大人の歯よりも反応が良い場合があります。 生え変わり時期や生えたての永久歯は、フッ素を取り込みやすく、再石灰化による強化が非常に効果的です。お子様へのフッ素塗布は特に推奨しています。

Q3. 既に黒くなってしまった虫歯も再石灰化で治りますか?

A. 穴が空いてしまった虫歯(C1以上)は、自然治癒しません。 再石灰化が期待できるのは、表面が溶け出した「初期段階(C0)」までです。黒く穴が空いてしまった場合は、進行を止めるための治療が必要になりますので、早めにご来院ください。

まとめ:泉岳寺駅前歯科クリニックで「削らない」予防歯科を

初期虫歯(C0)は、適切な食事とケアを行えば、削らずに治せる可能性が高い段階です。「痛みがないから」と放置せず、むしろ**「今がチャンス」**と捉えて、生活習慣を見直してみませんか?

当院では、患者様一人ひとりのライフスタイルや食生活をヒアリングし、唾液検査などの結果に基づいたオーダーメイドの予防プログラムをご提案しています。

港区三田・高輪ゲートウェイエリアで予防歯科をお探しの方は、ぜひ泉岳寺駅前歯科クリニックへご相談ください。一生ご自身の歯で美味しく食事ができるよう、全力でサポートいたします。

泉岳寺駅前歯科クリニックのご案内

当院は泉岳寺駅A3出口から徒歩1分という通いやすい立地にございます。再開発が進む高輪ゲートウェイ駅や、ビジネス拠点である品川駅・三田駅からもアクセス良好です。お仕事帰りやお買い物のついでに、お気軽にお立ち寄りください。

  • 医院名: 泉岳寺駅前歯科クリニック
  • 住所: 〒108-0073 東京都港区三田3-10-1 アーバンネット三田ビル1階
  • アクセス:
    • 都営浅草線・京急本線「泉岳寺駅」A3出口より徒歩1分
    • JR山手線・京浜東北線「高輪ゲートウェイ駅」より徒歩圏内
    • 各線「品川駅」「三田駅」からもアクセス便利
  • 公式サイト: https://sengakuji-ekimae-dental.com/

参考文献

  • 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会「う蝕治療ガイドライン 第3版」, 2020.
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯の予防法 -フッ化物応用の基礎知識-
  • World Health Organization (WHO). “Guideline: Sugars intake for adults and children.” Geneva: World Health Organization, 2015.
  • Walsh T, et al. “Fluoride toothpastes of different concentrations for preventing dental caries.” Cochrane Database of Systematic Reviews, 2019, Issue 3. Art. No.: CD007868.
  • Featherstone, J. D. B. “The continuum of dental caries—evidence for a dynamic disease process.” Journal of Dental Research, 83(Spec Iss C), C39-C42, 2004.
  • 日本歯科医師会「歯とお口のことなら何でもわかる テーマパーク8020

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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