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ボロボロの歯

治療を繰り返す負の連鎖から抜け出す|ボロボロの歯を本気で治すための包括的歯科治療という根本解決

2026.10.10

ボロボロの歯を本気で治すには、痛む箇所だけを削って詰める対症療法ではなく、虫歯と歯周病の根本原因である「細菌」と「噛み合わせの力」の両方をコントロールする包括的歯科治療が必要です。精密検査で口腔全体の現状を把握し、歯周病治療・根管治療・補綴治療・必要に応じた矯正治療を組み合わせて設計することで、治療を繰り返す負の連鎖を断ち切り、一生モノの健康な口元を手に入れることができます。

「真面目に歯医者に通っているのに、なぜ次々と歯が悪くなるのか」「治したはずの銀歯やセラミックの下がまた虫歯になり、やり直しばかりしている」。こうした悩みを抱えている方は決して少なくありません。実は、これらの問題は単なる偶然ではなく、歯の表面だけを修理する対症療法を繰り返してきた結果として起こる「負の連鎖」なのです。

歯がボロボロになる原因は、過去のトラウマや経済的な事情、忙しさだけではありません。治療そのものが根本原因に目を向けていなかったために、何度治してもまた悪くなる「モグラ叩き状態」に陥っているケースが非常に多いのです。この連鎖を断ち切るために必要なのが、口腔全体を一つのシステムとして捉え、細菌と力のバランスを整える「包括的歯科治療」という考え方です。

なぜ歯がボロボロになるのか――対症療法が生み出す負の連鎖

歯が次々と悪くなる背景には、「細菌」と「力」という2つの根本原因があります。虫歯も歯周病も、口腔内の細菌が引き起こす感染症です。治療で詰め物や被せ物をしても、細菌の数と活動性を減らさなければ、詰め物の境界や被せ物の下から再び感染が起こります。これが「二次う蝕」や「歯周病の再発」と呼ばれる現象です。

もう一つの原因が「力」、つまり噛み合わせのバランスです。特定の歯に過度な負担がかかると、歯の根や周囲の骨にダメージが蓄積します。たとえ虫歯がなくても歯にひびが入り、そこから細菌が侵入してしまうこともあります。詳しくは「銀歯・セラミックの下が再発する理由|「また虫歯になるかも」の不安から解放される根本治療という選択」で解説しています。

従来の歯科治療は、痛みのある歯だけを削って詰める「修理」に重点を置いてきました。しかし家の基礎が傾いたまま壁だけを塗り直しても、やがて再びひびが入るように、口腔環境全体を整えずに部分的な治療を重ねても、問題は繰り返されます。これが、真面目に通院しているのに歯が次々と悪くなるという負の連鎖の正体です。

細菌の温床を放置したまま被せ物をしても再発する

歯周病や根管内の感染が残った状態で被せ物をすると、見た目は治ったように見えても、内部では細菌が増殖を続けています。特に歯周ポケット(歯と歯ぐきの間の溝が深くなったもの)が4mm以上深くなっている場合、通常の歯磨きでは細菌を除去しきれません。この状態で高額なセラミックを装着しても、土台となる歯そのものが数年後にダメになってしまうのです。

日本歯周病学会の指針では、歯周基本治療によって歯周ポケットを改善し、細菌の数を一定レベル以下に減らしてから補綴治療(被せ物や詰め物)に移行することが推奨されています [1]。実際、当院でも過去に他院で何度も被せ直しを経験された50代の経営者の方が来院され、精密検査の結果、歯周ポケットが7mmに達しており、細菌が大量に検出されました。まず徹底した歯周病治療を3か月間行ってから最終的な被せ物を装着したところ、その後5年以上再発なく経過しています。

力の不均衡が歯を破壊する

噛み合わせの力が特定の歯に集中すると、歯の根が割れたり、被せ物が外れやすくなったりします。歯ぎしりや食いしばりの癖がある方、奥歯を失って残った歯に過剰な負担がかかっている方は特に注意が必要です。こうした力のバランスを整えずに治療を重ねると、治したばかりの歯が次々と壊れていく悪循環に陥ります。

包括的歯科治療が目指すもの――家を建て直すように口腔全体を設計する

包括的歯科治療とは、痛みのある歯だけを治すのではなく、口腔全体を一つのシステムとして捉え、細菌のコントロール・力のバランス・審美性・機能性のすべてを統合して設計し直すアプローチです。家づくりに例えるなら、傷んだ壁を塗り直すのではなく、基礎から設計図を引き直して耐震性と美観を兼ね備えた住まいを建てるイメージです。

この治療では、まず精密検査によって現状を正確に把握します。歯科用CTで骨の状態を三次元的に確認し、マイクロスコープで歯の細部や根管内の状態を観察し、口腔内スキャナ(iTeroなど)で噛み合わせのバランスをデジタル解析します。検査結果をもとに、歯周病治療・根管治療・抜歯が必要な歯の判断・補綴治療・矯正治療などを最適な順序で組み合わせた治療計画を立案します。

包括治療の最大の特徴は、「なぜ悪くなったのか」という根本原因を特定し、それを取り除いてから再建を行う点です。細菌が原因であれば、歯周病治療や根管治療で徹底的に感染源を除去します。力が原因であれば、矯正治療やナイトガードの使用で負担を分散させます。そして最終的な補綴治療では、審美性だけでなく長期的な機能維持を重視した材料と設計を選択します。

治療のゴールを事前に共有するデジタル設計

包括治療では、治療後の姿を事前にシミュレーションする技術が活用されます。DSD(デジタルスマイルデザイン)やiTeroによる3Dスキャンを用いることで、治療後の歯並び・色・形をモニター上で確認し、患者様と歯科医師が同じゴールイメージを共有した上で治療を進めます。治療中も仮歯を使って機能や見た目を試しながら微調整できるため、「思っていたのと違った」というミスマッチを防ぐことができます。

包括治療が適している人

包括的歯科治療は、以下のような状況にある方に特に適しています。複数の歯が悪くなっており、どこから手をつけてよいか分からない方。これまで何度も治療を繰り返してきたが、また悪くなることへの不安が強い方。「抜歯しかない」と他院で宣告され、残せる可能性を探したい方。審美性と機能性の両方を妥協したくない方。忙しく、通院回数を最小限にして効率よく治したい方。

包括的歯科治療は、単なる修理の繰り返しではなく、細菌と力の根本原因を取り除き、口腔全体を一つのシステムとして再設計することで、一生モノの健康な口元を実現するアプローチです。

包括治療の具体的な流れ――精密検査から設計、再建まで

包括的歯科治療は、いくつかの明確なステップで進められます。それぞれのステップが次の段階の成功を支える土台となるため、焦らず丁寧に進めることが重要です。

ステップ1:精密検査とリスク評価

治療の第一歩は、口腔全体の現状を詳細に把握する精密検査です。歯科用CTで顎の骨の厚みや形、炎症の広がりを三次元的に確認します。マイクロスコープで歯の亀裂や根管内の状態を拡大観察し、肉眼では見えない問題を発見します。口腔内スキャナで噛み合わせの接触状態をデジタル記録し、どの歯にどれだけの力がかかっているかを解析します。歯周ポケットの深さや出血の有無を測定し、歯周病の進行度を評価します。

これらの検査結果から、「なぜこの歯が悪くなったのか」「どの歯が残せて、どの歯は抜歯が必要か」「細菌と力のどちらが主な原因か」といったリスク評価を行います。この段階で得られたデータは、治療計画の設計図となる極めて重要な情報です。詳しくは「「もう大丈夫です」ボロボロの歯、どこから手をつければいいか分からないあなたへ」で解説しています。

ステップ2:治療計画の立案と説明

検査結果をもとに、包括的な治療計画を立案します。計画には、治療の優先順位・各段階で行う処置内容・通院回数と期間の目安・費用の総額と支払いオプションが含まれます。この計画は患者様一人ひとりの生活スタイルや価値観に合わせてカスタマイズされます。

たとえば、重度の歯周病がある場合、まず歯周基本治療で細菌を減らし、歯ぐきの炎症を落ち着かせることが最優先となります。その後、必要に応じて歯周外科や再生療法を行い、土台を安定させてから最終的な被せ物やインプラント治療へと進みます。噛み合わせに問題がある場合は、矯正治療やナイトガードの使用を組み込むこともあります。

計画の説明では、治療後のゴールイメージをデジタルシミュレーションで共有します。「治療が終わったらどんな見た目と機能になるのか」を事前に確認できるため、安心して治療に臨むことができます。

ステップ3:基礎治療――細菌のコントロール

包括治療の土台となるのが、細菌を徹底的にコントロールする基礎治療です。歯周病治療では、歯周ポケット内の歯石やバイオフィルム(細菌の塊)を専用器具で除去します。歯周ポケットが深い場合や骨の吸収が進んでいる場合は、歯周外科や再生療法(エムドゲイン、リグロスなど)によって歯周組織の回復を図ります。

根管治療が必要な歯には、マイクロスコープとラバーダム(治療する歯を隔離するゴムのシート)を用いて、根管内の細菌を徹底的に除去します。根管内は複雑な形態をしており、肉眼では見えない細い枝分かれや湾曲が存在します。マイクロスコープによる拡大視野と、精密な器具を用いることで、再感染のリスクを大幅に減らすことができます。

この段階で重要なのは、患者様ご自身のセルフケア能力を高めることです。どれだけ歯科医師が治療をしても、日々のブラッシングやフロスが不十分であれば、再び細菌が増殖してしまいます。歯科衛生士による個別指導を通じて、ご自身に合った清掃方法を習得していただきます。

ステップ4:力のバランスを整える

細菌のコントロールと並行して、力のバランスを整える処置を行います。歯ぎしりや食いしばりがある方には、ナイトガードを作製して就寝中の過剰な力を分散させます。歯並びや噛み合わせに問題がある場合は、矯正治療を組み込むことで、全体の歯に均等に力が分散されるようにします。

矯正治療というと「若い人がするもの」と思われがちですが、実は50代以降の方にこそ重要な治療です。残っている歯に過度な負担がかかっている状態を放置すると、治療した歯がまた壊れてしまうリスクが高まります。当院では、光加速矯正(オルソパルス)を導入しており、生物学的根拠に基づいて歯の移動を早めることで、矯正期間を大幅に短縮しています。

ステップ5:最終的な補綴治療――機能美の追求

土台が安定したら、最終的な被せ物や詰め物、インプラントなどの補綴治療に移ります。ここで重視されるのは、審美性だけでなく長期的な機能維持です。セラミックやジルコニアといった生体親和性の高い材料を使用し、精密な型取りと噛み合わせの調整を行います。

インプラント治療が必要な場合は、事前のCTデータをもとにサージカルガイド(手術用のテンプレート)を作製し、正確な位置・角度・深さでインプラントを埋入します。この方法により、手術時間の短縮、切開の最小化、術後の痛みや腫れの軽減が可能となります。骨が不足している場合でも、骨造成(GBR)や上顎洞底挙上術(サイナスリフト)といった高度な技術を用いることで、他院で「骨が足りないから無理」と断られた方でもインプラント治療を実現できるケースがあります。

たとえば、60代の女性の方が「複数の歯がグラグラして食事が楽しめない」と来院されました。精密検査の結果、重度の歯周病と噛み合わせの不均衡が原因と判明しました。まず6か月間の歯周病治療と部分矯正を行い、土台を安定させた後、セラミックブリッジとインプラント2本で全体のバランスを再構築しました。治療完了から3年が経過していますが、硬いものもしっかり噛め、定期メインテナンスでも良好な状態が維持されています。詳しくは「歯がグラグラする3つの警告サインと放置の代償|歯周病専門医が教える今すぐできる応急対処と根本治療の選択肢」で解説しています。

ステップ6:メインテナンス――一生モノにするために

包括治療の完了後、最も重要なのが定期的なメインテナンスです。治療直後の良好な状態を維持するため、3〜6か月ごとに歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングを受けていただきます。メインテナンスでは、歯周ポケットの深さや出血の有無を確認し、細菌の再増殖を早期に発見します。噛み合わせのチェックも行い、被せ物やインプラントに過度な力がかかっていないかを評価します。

包括治療を受けた患者様の多くが、メインテナンスの重要性を実感されています。ある50代の経営者の方は、「治療中は大変だったが、メインテナンスに通うようになってから、以前のように歯のことで悩む時間がなくなった。これこそ最高の時間投資だ」とおっしゃっていました。

包括治療のメリットとデメリット――正しい期待を持つために

包括的歯科治療には大きなメリットがある一方で、理解しておくべきデメリットも存在します。両方を正しく理解した上で、ご自身にとって最善の選択をすることが重要です。

包括治療の主なメリット

包括治療の最大のメリットは、治療を繰り返す負の連鎖から解放されることです。根本原因を取り除き、口腔全体を設計し直すことで、「また虫歯になるかも」「また被せ物が取れるかも」という不安から解放されます。長期的に見れば、何度も部分的な治療を繰り返すよりも、結果的に通院回数と費用を抑えられるケースも多くあります。

機能性と審美性の両立も大きな利点です。噛み合わせを整えることで、硬いものでもしっかり噛める喜びを取り戻せます。セラミックやインプラントによって自然で美しい口元が実現し、人前で自信を持って笑えるようになります。ビジネスの場面でのプレゼンテーションや、大切な会食での食事を心から楽しめるようになった方が多くいらっしゃいます。

包括治療では、治療のゴールが明確に共有されるため、「どこまで治療が進んでいるのか」「あとどれくらいかかるのか」といった不安が少なくなります。治療中も仮歯を使って機能と見た目を試しながら進められるため、納得感が高いのも特徴です。

包括治療のデメリットと注意点

包括治療のデメリットとして、治療期間と費用の負担が挙げられます。口腔全体を治療するため、軽度の場合でも3〜6か月、重度の場合は1〜2年程度の期間を要します。費用についても、保険診療の範囲を超える自費診療が中心となるため、数十万円から数百万円の投資が必要となる場合があります。

ただし、これは「時間対効果(タイパ)」と「費用対効果」の考え方次第です。部分的な治療を何度も繰り返せば、結果的に通院回数も費用も膨らみます。一度の包括治療で根本から解決すれば、その後の人生で歯科治療に費やす時間とお金を大幅に減らすことができます。経営者や管理職の方にとって、「貴重な時間を無駄にしない」という視点は極めて重要です。

もう一つの注意点は、治療完了後もメインテナンスが不可欠であることです。どれほど精密な治療を行っても、日々のセルフケアと定期的なプロフェッショナルケアを怠れば、再び細菌が増殖してしまいます。メインテナンスを「治療の終わり」ではなく「健康を維持するための習慣」として捉える必要があります。

包括治療を成功させるために必要なこと――患者と歯科医師の協働

包括的歯科治療を成功させるためには、患者様ご自身の理解と協力が欠かせません。治療は歯科医師が一方的に行うものではなく、患者様と歯科医師が同じゴールを目指して協働するプロセスです。

治療の全体像を理解する

包括治療では、「なぜこの順序で治療を進めるのか」「なぜこの処置が必要なのか」を理解することが重要です。たとえば、早く被せ物を入れたいと思っても、まず歯周病を治さなければ土台が安定せず、せっかくの被せ物がすぐにダメになってしまいます。治療計画の説明を受ける際には、疑問点をすべてクリアにし、納得した上で治療を開始してください。

セルフケアを習慣化する

治療中から治療後まで、ご自身の日々のケアが最も重要です。歯科衛生士の指導を受けながら、正しいブラッシング方法やフロスの使い方を習得してください。最初は面倒に感じるかもしれませんが、習慣化すれば苦にならなくなります。セルフケアの質が、治療の成功と長期的な維持を左右します。

定期メインテナンスを継続する

治療完了後も、3〜6か月ごとのメインテナンスを継続してください。メインテナンスは単なる掃除ではなく、細菌の再増殖や噛み合わせの変化を早期に発見し、問題が大きくなる前に対処する予防的な取り組みです。メインテナンスを継続している方とそうでない方では、10年後の口腔状態に大きな差が生まれることが研究で示されています [2]。

歯科医師との信頼関係を築く

包括治療は長期的な関係性の中で進められます。不安や疑問があれば遠慮なく伝え、歯科医師と率直に対話してください。治療中に痛みや違和感があれば、我慢せずにすぐに相談することで、早期に対処できます。患者様と歯科医師の信頼関係が、治療の成功を大きく左右します。

過去に「怒られた」「否定された」といった経験から歯科医院への不信感を抱いている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、包括治療を提供する歯科医院では、患者様を責めたり否定したりすることはありません。私たちは常にあなたの味方です。詳しくは「歯医者に行くのが怖い気持ちを和らげる5つの現実的な方法|恐怖心をコントロールして通院を再開できる環境の見つけ方」で解説しています。

予防策と日常ケア――治療後の健康を守るために

包括治療で一度健康な状態を取り戻しても、それを維持するための日常的な予防策が欠かせません。再び負の連鎖に陥らないためには、細菌と力のコントロールを日常生活の中で継続することが重要です。

細菌をコントロールする日常ケア

毎日のブラッシングとフロスは、細菌の数を減らすための基本です。歯ブラシは柔らかめの毛先を選び、歯と歯ぐきの境目を意識して丁寧に磨いてください。電動歯ブラシを使用する場合は、正しい当て方を歯科衛生士に教わることをお勧めします。フロスや歯間ブラシは、歯ブラシでは届かない歯と歯の間の細菌を除去するために不可欠です。

洗口液(マウスウォッシュ)は、補助的な役割として有効ですが、ブラッシングとフロスの代わりにはなりません。細菌の塊であるバイオフィルムは、物理的にこすり落とさなければ除去できないからです。洗口液は、ブラッシング後の仕上げとして使用するのが効果的です。

力をコントロールする生活習慣

歯ぎしりや食いしばりは、ストレスや睡眠の質と関係しています。日中、無意識に歯を食いしばっていることに気づいたら、意識的に力を抜くようにしてください。ナイトガードは就寝中の過剰な力から歯を守る重要なツールです。最初は違和感があるかもしれませんが、慣れれば快適に使用できます。

硬いものを噛むときの注意も必要です。氷や硬いキャンディーを噛むことは避け、食事では左右両方の歯をバランスよく使うように意識してください。片側だけで噛む癖があると、特定の歯に負担が集中してしまいます。

全身の健康と口腔の関係

口腔の健康は全身の健康と密接に関わっています。糖尿病は歯周病を悪化させる要因であり、逆に歯周病のコントロールが血糖値の改善に寄与することが研究で示されています [3]。喫煙は歯周病のリスクを数倍に高めるため、禁煙も重要な予防策です。

栄養バランスの取れた食事も、歯の健康を支えます。カルシウムやビタミンDは骨の健康に不可欠であり、ビタミンCは歯ぐきの健康を保つために重要です。唾液の分泌を促すために、よく噛んで食べることも大切です。唾液には細菌を洗い流す自浄作用と、歯の再石灰化を促進する作用があります。

包括治療を提供できる歯科医院の選び方

包括的歯科治療は、すべての歯科医院で提供されているわけではありません。高度な技術と設備、そして包括的な視点を持った歯科医師が必要です。ここでは、包括治療を提供できる歯科医院を見分けるポイントをお伝えします。

専門性と設備の充実

歯周病専門医やインプラント専門医といった専門資格を持つ歯科医師が在籍しているかを確認してください。日本歯周病学会や日本口腔インプラント学会の認定医・専門医は、厳しい試験と豊富な症例経験をクリアした証です。また、歯科用CT・マイクロスコープ・口腔内スキャナといった精密機器が揃っているかも重要なポイントです。

治療計画の説明とシミュレーション

初診時に詳細な説明の時間を設けているか、治療計画を視覚的に共有してくれるかも重要です。デジタルシミュレーションや模型を使って、治療のゴールを事前に確認できる歯科医院を選んでください。不明点や不安を質問しやすい雰囲気があるかどうかも、長期的な関係を築く上で大切です。

メインテナンス体制の充実

治療後のメインテナンス体制が整っているかも確認してください。専任の歯科衛生士が継続的にサポートしてくれる体制があると、長期的な健康維持がしやすくなります。メインテナンスの重要性を明確に伝えてくれる歯科医院は、患者様の将来を見据えた治療を提供している証です。

包括的歯科治療は、単なる修理の繰り返しではなく、口腔全体を一つのシステムとして再設計し、細菌と力の根本原因を取り除くことで、治療を繰り返す負の連鎖を断ち切り、一生モノの健康な口元を実現するアプローチです。精密検査・治療計画・基礎治療・補綴治療・メインテナンスの各ステップを丁寧に進めることで、長期的な健康と自信を取り戻すことができます。

よくある質問

包括的歯科治療にかかる期間はどのくらいですか?

口腔の状態により異なりますが、軽度から中等度の場合で3〜6か月、重度の歯周病や複数のインプラントが必要な場合は1〜2年程度を要します。治療計画の段階で具体的な期間の目安をお伝えします。急ぐあまり土台を安定させずに進めると、後で問題が再発するリスクが高まるため、焦らず丁寧に進めることが重要です。

包括治療の費用はどのくらいかかりますか?

治療内容により大きく異なりますが、セラミック治療やインプラントを含む包括治療では、数十万円から数百万円の範囲となることが一般的です。初診時の精密検査と治療計画の段階で、詳細な費用の見積もりをお伝えします。分割払いやデンタルローンなどの支払いオプションも用意されている歯科医院が多いため、経済的な不安がある場合は遠慮なく相談してください。

他院で「抜歯しかない」と言われた歯も残せる可能性はありますか?

すべてのケースで残せるわけではありませんが、歯周病専門医による精密検査と歯周再生療法により、他院で抜歯宣告された歯を残せる場合があります。歯を支える骨がどれだけ残っているか、歯の根が割れていないか、噛み合わせの力が適切にコントロールできるかなどを総合的に評価します。セカンドオピニオンとして一度相談されることをお勧めします。

包括治療中に痛みはありますか?

治療の内容により異なりますが、現代の歯科治療では麻酔技術が進歩しており、ほとんどの処置は痛みを感じることなく行えます。歯周外科やインプラント手術でも、適切な麻酔と術後の痛み止めにより、痛みは最小限に抑えられます。痛みに対する不安が強い方には、事前に鎮静法(リラックスした状態で治療を受ける方法)の選択肢もあります。不安があれば遠慮なくお伝えください。

包括治療後、どのくらいの頻度でメインテナンスに通う必要がありますか?

一般的には3〜6か月ごとのメインテナンスが推奨されます。歯周病のリスクが高い方や、インプラントを入れている方は3か月ごと、リスクが低く安定している方は6か月ごとが目安です。メインテナンスでは、歯周ポケットの状態や噛み合わせのチェック、プロフェッショナルクリーニングを行い、問題を早期に発見して対処します。メインテナンスを継続することで、治療後の良好な状態を長期間維持できます。

包括治療を受けるのに年齢制限はありますか?

年齢による制限はありません。50代、60代、70代の方でも、全身の健康状態が許せば包括治療を受けることができます。むしろ、歯を失うリスクが高まる中高年の方こそ、包括的なアプローチで口腔全体を安定させることが重要です。年齢よりも、全身の健康状態や治療への意欲が治療の可否を左右します。持病がある場合は、かかりつけ医と連携して治療を進めますので、ご安心ください。

包括治療を途中でやめることはできますか?

治療を中断することは可能ですが、お勧めしません。包括治療は各ステップが次の段階の土台となるように設計されているため、途中で中断すると、それまでの治療効果が十分に発揮されない可能性があります。経済的な事情や時間的な制約がある場合は、治療計画を見直して優先順位を調整することも可能ですので、まずは担当歯科医師に相談してください。

参考文献

[1] 日本歯周病学会『歯周治療の指針2015』(2016年)、医歯薬出版
[2] Axelsson P, Lindhe J, Nyström B. On the prevention of caries and periodontal disease. Results of a 15-year longitudinal study in adults. Journal of Clinical Periodontology. 1991;18(3):182-189. DOI: 10.1111/j.1600-051X.1991.tb01131.x
[3] Simpson TC, Weldon JC, Worthington HV, et al. Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes mellitus. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2015;(11):CD004714. DOI: 10.1002/14651858.CD004714.pub3

監修

院長

山脇 史寛Fumihiro YAMAWAKI

  • 略歴

    2009年
    日本大学歯学部卒業
    2009年
    日本大学歯学部附属病院研修診療部
    2010年
    東京医科歯科大学歯周病学分野
    2010年
    やまわき歯科医院 非常勤勤務
    2015年
    酒井歯科クリニック
    2021年
    泉岳寺駅前歯科クリニック 開院
  • 所属学会・資格

    • 日本歯周病学会 認定医
    • 日本臨床歯周病学会
    • アメリカ歯周病学会
    • 臨床基礎蓄積会
    • 御茶ノ水EBM研究会
    • Jiads study club Tokyo(JSCT)
    • P.O.P.(歯周-矯正研究会)
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